2018年06月02日 21時00分レビュー

パズルゲームの新たな進化の形を絵本のような世界観で魅せる「Gorogoa」をNintendo Switchでプレイしてみました

「Gorogoa」は、イラストだけで描かれるストーリーを、パズルを解き明かしながら進めていくゲームで、世界のゲーム開発者によって選ばれる第18回Game Developer Choice(GDC) Awardsで、最も革新的なゲームに贈られるInovation Awardを、あの「ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド」をおさえて受賞したことで話題となりました。このGorogoaがNintendo Switchで配信されていたので、はたしてどんなゲームなのか実際にプレイしてみました。

Gorogoa
http://gorogoa.com/

Nintendo Switch｜ダウンロード購入｜『ゴロゴア』(Gorogoa)
https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000003783

Gorogoaというゲームの目的は、正方形の枠の中に描かれているイラストをクリックして拡大・縮小したり、ドラッグ＆ドロップの要領でイラストのコマを重ねたりしながら、5色の玉を集めることです。プレイヤーはパズルを解くことでイラスト内で展開されるストーリーに介入し、コマがかみ合うと仕掛けが発動して次のシーンに進んだり、コマからコマへ人物や物体が移動したりします。

以下のムービーを見ると、イラストをうまく組み合わせながらストーリーを進めていく様子がよくわかります。

「Gorogoa」はコマを重ねたり組み合わせたりするとストーリーが展開する - YouTube

例えば、以下のムービーでは「暗い部屋の中で本を読む少年」のコマに描かれる吹き出しが別のコマと組み合わさって、「玉を運ぶ少年」の世界につながっていく様子を見ることができます。

「Gorogoa」でコマの中に描かれる空間やストーリーがつながっていく様子 - YouTube

Gorogoaにはセリフや文字が一切ありません。プレイヤーは、イラストに描かれている人物・背景・ドアや窓の位置などから、どう組み合わせればストーリーが進むのかを考えなければいけません。イラストのパズルなので2次元の世界なのですが、奥行きや上下左右という空間の広がり、そしてストーリーという時間軸を意識しながらパズルを解いていく必要があります。以下のムービーでは、コマのつなぎ方がまったくわからず詰まっていたのですが、拡大や縮小をしているうちに「背景に描かれている『模様』がつながるのでは」と気付き、解くことができました。四苦八苦した末に得た気付きで解けた時の快感は計り知れません。

Gorogoaでコマの奥行きを考えてイラストをつないでいく様子 - YouTube

わからなくなった時は手当たり次第に組み合わせたり動かしたりしがちで、序盤は総当たりで解決してしまうこともありますが、チャプターが進むにつれてコマの組み合わせ方や動かし方がより複雑になっていくため、やがて総当たりではパズルを解くことができなくなります。パズルを解くためにはイラストをよく見ながら、想像力を働かせて正しいコマの組み合わせを考えなければなりません。ただし、ヒント機能もついているので、パズルが苦手な人でも安心して遊ぶことができます。

Gorogoaは、コマの中に描かれている世界を想像しながらプレイすることで、単にパズルゲームをプレイするというよりも、いろんな絵本を同時に読んでいるような感覚で遊ぶことができます。パズルに慣れている人であれば、2時間もあれば全てのチャプターをクリアできるので、ボリューム自体はそれほど多くはありません。しかし、観察と直感を駆使して自分の手で世界観を組み立てていくような体験を得られるGorogoaはこれまでにない新しいパズルゲームで、GDC AwardsでInnovation Awardを受賞したというのも納得の完成度でした。

なお、Gorogoaをデザインしたジェイソン・ロバーツ氏によると、漫画から発想を得たインタラクティブなカードゲームを作るつもりだったそうですが、あまりにも複雑過ぎる内容になるため、カードゲームの開発は中止されたとのこと。それでも、ロバーツ氏はその時に作った物語をビデオゲームで発表しようと考え、2013年のリリースを目指して開発を開始。2012年にはGorogoaのプロトタイプを公開しましたが、予算を使い果たしてしまったため、正式版の開発は一時中断してしまったという経緯があります。その後、2017年12月に正式版がリリースされました。2012年に公開されたプロトタイプは「Gorgoa」の全チャプターをクリアすると遊べるようになっています。