キノコで作った革のような素材「Mylo」
動物を殺さず環境負荷の少ない「サステイナブル・ファッション」の実現を目指しているBolt Threadsが、人工のクモの糸を使った「スパイダーシルク」に続く新しい素材として、キノコの菌糸体を使用した革のような素材「Mylo」を発表しました。
Bolt Threads – Mylo
https://boltthreads.com/technology/mylo/
Bolt Threads Debuts New 'Leather' Made From Mushroom Roots
https://www.forbes.com/sites/amyfeldman/2018/04/16/synthetic-spider-silk-maker-bolt-threads-debuts-new-bio-material-leather-made-from-mushroom-roots/#7d80051e1837
Local company that creates material from mushrooms now partnering on spider silk - Times Union
https://www.timesunion.com/business/article/Troy-company-creates-leather-like-material-made-12840393.php
菌糸体とはキノコの根の部分で、見た目はカビとほとんど変わりません。通常、食用のキノコで食される部分は子実体と呼ばれる「傘」と「太い柄」からなる部分です。このため、菌糸体を食べたことのある人や見たことのある人は少ないはず。
By Alison Harrington
Myloを作るには、トウモロコシの茎を敷き、その上でキノコの菌糸体を栽培します。このとき、温度や湿度を正確に管理することで、菌糸体が複雑に絡み合い、強度を生む形状に成長するそうです。
その後、通常の革と同じ「なめし」と染色の工程を経て、菌糸体が革と同じような外観を持つ素材になります。また、見た目同様にMyloは本物の皮素材のように柔らかく、しなやかな肌ざわりが特徴とのこと。
なお、Myloの製造に使用される菌糸体には遺伝子操作は行われておらず、野性の胞子の成長をコントロールしているだけだとのこと。また、動物から皮を採るには成長するまで何年も待つ必要がありますが、菌糸体は数週間で成長します。そのため、Bolt Threadsによると通常の革よりもMyloの方が生産効率が高いとのこと。
Bolt Threadsは2018年4月21日(土)に、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館でMyloを使ったバッグを展示する予定。また、2018年6月にはバッグの予約注文を開始するそうです。
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