FacebookはAIでユーザーの未来の行動を予測して広告商品の提供に活用していることが社外秘文書から判明


Facebookユーザーの個人情報が不正に流出したケンブリッジ・アナリティカのスキャンダルの一件以来、SNSにおける個人データの扱いには多くの関心が寄せられています。そんな中、Facebook社内から流出したという社外秘の文書からは、いかにしてFacebookがユーザーをトラッキングし、人工知能(AI)を使って今後の行動を予測して広告主に情報を提供していたのかが明らかになっています。

Facebook Uses Artificial Intelligence to Predict Your Future Actions for Advertisers, Says Confidential Document
https://theintercept.com/2018/04/13/facebook-advertising-data-artificial-intelligence-ai/

インターネット広告の多くは、ユーザー層を人口統計学や個人の好みの情報で分類してターゲティングすることが普通ですが、Facebookはユーザーが将来的に「どのように行動するか」「何を買うか」「どのように考えるか」という推測をもとに広告を提供するという仕組みを構築していたとのこと。そしてこれは、Facebookが2016年に発表していたAIによる予測エンジン「FBLearner Flow」によって実現に至ったものだといいます。

Facebookは20億人のユーザーを抱える世界最大のSNSであり、全てのユーザーデータにアクセスできる唯一の存在でもあります。膨大な量のユーザーデータを解析することでユーザーの行動パターンをはじき出し、例えば「あるブランドの商品から別のブランドへと心移りしそうなユーザー」といったクラスターを抽出。そしてそのユーザーに対して、見込みのありそうなブランドの広告をバンバンと打ち込むことで、通常よりも効率的にユーザーの心理に働きかけるという戦略を取っていたことが明らかにされています。

この時、各ユーザーに関する全てのデータはアグリゲート(集約)され、かつ匿名化された状態となっているために、個人レベルのユーザープライバシーは守られている状態となっているとのこと。つまり、Facebookはターゲットとなるユーザーのリストを広告主に販売していたのではなく、ターゲットを設定した広告枠を提供していたものと考えられます。

文書には、Facebookの予測エンジンがどのユーザー情報を内包または除外していたのかは明記されていないとのことですが、位置情報や端末情報、Wi-Fiネットワーク情報、動画利用履歴、婚姻関係、そして友人情報などが関連しているとみられています。これらの情報はFBLearner Flowに与えられ、AIを用いてユーザーの行動を予測することで広告枠の販売に役立てられていた模様。Facebookはこの一連の仕組みを「Facebook’s Machine Learning expertise(Facebookによる機械学習技能)」と呼び、自社の「core business challenges(核となるビジネスの挑戦)」のために活用していたとのこと。

The Interceptが作成したFBLearner Flowの概念は以下のような感じ。


Facebookはまず、(1)ユーザーに関する個人情報データを収集。


次に、(2)そのデータをFBLearner Flowへと流し込み、ユーザーが今後とるであろう行動を「決定ツリー」を使って予測し、(3)「商品購買活動」などの予測を立てます。


このようにして得られた行動予測をまとめ、(4)同じ系統の行動をとるであろうユーザーをグループ化し、(5)広告主となる企業に対してそれらのグループをターゲットにした広告枠を販売する、という仕組みになっています。


The Interceptの助言を求められた専門家の中には、文書に書かれたシステムには倫理的な問題点が存在すると指摘する人物もいたとのこと。Harvard-MIT Ethics and Governance of AI Initiativeでディレクターを務めるティモシー・ファン氏は、たとえその技術を外部に漏らすべきではない動機があったとしても、AIがユーザーのデータを何らかの形でマネタイズに利用していることを開示する「倫理的な義務」があると述べています。

またこの仕組みは、ユーザーの購買行動だけでなく、選挙において誰に投票するのかを予測することに活用することもできるとのこと。2016年のアメリカ大統領選で現トランプ大統領の陣営がFacebookを利用した戦略を展開していたことはすでによく知られており、その際にオンライン上のキャンペーンを支えたのがケンブリッジ・アナリティカでした。また、トランプ政権で一時「大統領上級顧問」を務めたスティーブン・バノン氏は、ケンブリッジ・アナリティカの役員でもあったことも知られています。

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The Interceptからの数回のコメント要請に対してFacebookは反応を見せていませんが、同社の広報チームは「FBLearner Flowは複数の異なるワークフローを管理すること」に用いられ、「機械学習はそのワークフローの一つである」ということを表明しており、今回公表されたようなマーケティングツールとしては利用していることを否定しているとのことです。

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