サイエンス

もし自分のクローンを作ったら何が起こるのか?

By Benjamin Linh VU

朝起きるのが辛かったり、学校や会社などで大きなイベントの大役を任されて、当日を迎えてしまった場合など「もう一人自分がいたら……」と考えた人は多いはず。YouTubeで身近な科学について解説するムービーを多数アップロードしているLife Nogginが本当に自分のクローンがいたら何が起こるのかをわかりやすく解説しています。

What Would REALLY Happen If You Cloned Yourself? - YouTube


まず、あなたにロンバスという親友がいたとしましょう。理由はよくわかりませんが、彼はサッカーを得意としています。


ある時、あなたが彼と全く同じ友人をたくさん欲しいと思ったとします。実現するにはどうすれば良いでしょうか。


この世界がコンピューターの世界であれば、コピー&ペーストを使用して、ロンバスを簡単に複製し何人でも同じ人物を作り上げることが可能です。


では、もし現実世界で親友や自分自身を複製するのであれば、どういうアプローチを取れば良いでしょうか。


遺伝子学的な方法として、生物の複製を行うクローニングと呼ばれるプロセスが考えられます。


このプロセスを用いると、基本的なDNAを複製して生き物のクローンを作り出すことができます。


科学者たちは過去100年間にさまざまな動物を複製してきました。


特に有名なものは、1996年に生み出されたクローン羊のドリーです。


複製された動物は羊だけでなく、牛や馬、猫、犬も複製されてきました。そして、新たに2匹の猿がクローン動物の仲間に加わっています


霊長類の猿をクローン化できたということは、クローン人間も作れるのでしょうか?


実際に生物をクローン化する方法として、よく知られた方法は体細胞核移植です。


まず、クローン化する生物と同じ種の未受精の卵子を用意し……


内部のDNAを取り除きます。


皮膚細胞などから体細胞の核を取り出し……


卵子に注入。そして、子どもが生まれるまで、この卵子を代理となる母体に入れます。


科学者たちが非ヒト霊長類のクローン化を実現した今、人類のクローン化に近づきつつありますが、まだ課題が存在します。


一番の問題点として挙げられているのは、猿のクローン化の成功率が極めて低いということです。実際、猿のクローン化に成功するまで、127個の卵子が使用されましたが、無事出産できたのは2匹のみで成功率はわずか1.6%。


なぜ霊長類のクローニングが難しいかというと、それはスピンドルタンパク質に関係しています。


スピンドルタンパク質は細胞分裂と細胞発生において、非常に重要な要素です。人間の場合、スピンドルタンパク質は卵子の核に存在しています。


このため、体細胞核移植のために卵子からDNAを抜いてまうと、スピンドルタンパク質も取り除かれてしまい胚発生が困難になってしまいます。つまり、胎児の成長が難しくなってしまうというわけです。


仮にこのような技術的問題点をクリアし、自分自身のクローン化が成功したとしましょう。実際に誕生したクローンは自分と全く同じ人物でしょうか?


おそらく、自分のクローンを見たあなたは、全くの別人という感想を持つはずです。


これは、遺伝子に関係します。あなたの誕生は遺伝子に基づいており、胎児のときにどの遺伝子を有効にして、どの遺伝子を無効にしたかによっても変わってきます。つまり、胎児の時にどのような環境で過ごしてきたかによっても影響してしまうというわけです。


さらに、このクローンは健康上の問題を抱えている可能性があります。


これは過去にクローン化された動物が、脳や心臓、肝臓そして免疫系の問題に苦しんでいたからです。


なぜ健康上の問題が起きるのかというと、多くのクローン動物は染色体の先端が通常よりも速く収縮し、細胞の老化が速く起こります。このため、自分のクローンは病気になりやすく、早期に亡くなる可能性が高いと考えられます。


さらにクローンは、コピー元の人物と全く異なる性格を持つことがあります。人格のいくつかは遺伝子学に基づくものですが、これまで行ってきた経験や過ごしてきた環境によっても大きく変化します。つまり、自分のクローンを全く瓜二つの人物にするのであれば、その人が過ごしてきた人生経験と同じことをさせなければならないというわけです。


「自分のクローンが欲しいと考えている人は、これらのリスクを全て受け入れても自分のコピーを作りたいと考えますか?」という問いかけでムービーは終わっています。

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