第3の目・第4の目を持つ古代トカゲの存在が報告される
約4900万年前に存在した「Saniwa ensidens」というトカゲは頭の上に第3の目・第4の目を持っていたことが、ドイツにあるセンケンベルク研究機関の子人類学者Krister Smith氏らの研究によってわかりました。有顎脊椎動物として初めて4つの目を持つトカゲとして報告されています。
The Only Known Jawed Vertebrate with Four Eyes and the Bauplan of the Pineal Complex: Current Biology
http://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(18)30206-9
Here's Why an Ancient Lizard Had 4 Eyes
https://www.livescience.com/62195-ancient-four-eyed-lizard.html
Saniwa ensidensは松果体・副松果体が存在する頭の上に第3・第4の目を持っていました。これらの目は方向を認識したり、太陽の動きを検知し24時間周期・1年周期を感じたりするのに用いられていたとのこと。
感光性の松果器はこれまで、魚やカエルといった水辺に卵を産む数種の下等脊椎動物において報告されていました。「目」という呼び方が適切かどうかには議論はあるものの、研究者らは下等脊椎動物が有する頭頂眼のことを「第3の目」と呼んでいます。鳥や哺乳類といったさまざまな脊椎動物のグループにおいて、第3の目は消えていき、陸生する脊椎動物の中ではトカゲだけが第3の目を持ち続けています。このことから、「トカゲの第3の目は副松果体と呼ばれる別の器官から発達したのではないか?」と考える研究者もいたとのこと。第3の目が松果体から発生したという説と副松果体から発生したという説は相いれないものとして捉えられてきました。
しかし、松果体と副松果体の2つを頭頂に持ち、計4つの目を有するSaniwa ensidensが発見されたことで、長年の謎を解くヒントが得られたとのこと。トカゲの持つ第3の目は、有顎脊椎動物が持つ第3の目とは異なった起源を持つことが示唆されたためです。
研究者らは150年前に収集されたSaniwa ensidensの標本をCTスキャンにかけ、何千枚も撮影した画像から3Dイメージを作り出すことで、頭蓋骨頭頂に第4の目が位置するための空間を発見したとのこと。これは研究者が予期していなかった発見だったそうです。この発見によって、松果体と副松果体はペアではないが縦に並べて配置されること、またトカゲの第3の目は他の脊椎動物が有する第3の目とは異なった形で進化したことも明らかにされました。
なお、現存する生き物の中ではヤツメウナギが頭頂眼を持っています。
by NOAA Great Lakes Environmental Research Laboratory
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