「DeepSeekが禁輸対象のNVIDIA製高性能GPUをシンガポール経由で輸入した可能性」についてアメリカが捜査中
中国のAI企業・DeepSeekが2025年1月20日に、推論モデル「DeepSeek-R1」をオープンソースとして公開しました。アメリカによる厳しい半導体輸出規制が課せられる中で開発されたDeepSeek-R1はOpenAIの推論モデル「o1」と同等の性能を発揮するとされており、App Storeの無料アプリランキングで1位を獲得するなど、多くの注目を集めています。しかし、アメリカ商務省は「DeepSeekがアメリカによる輸出規制のかかった高性能AIチップをシンガポールの仲介業者を通じて不正に入手したのではないか」という懸念のもと調査を行っていることが報じられました。
US Probing If DeepSeek Got Nvidia Chips From Firms in Singapore - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-01-31/us-probing-whether-deepseek-got-nvidia-chips-through-singapore
US reportedly investigating whether China's DeepSeek used restricted AI chips | Fox Business
https://www.foxbusiness.com/technology/us-reportedly-investigating-whether-chinas-deepseek-used-restricted-ai-chips
U.S. investigates whether DeepSeek smuggled Nvidia AI GPUs via Singapore | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/tech-industry/artificial-intelligence/u-s-investigates-whether-deepseek-smuggled-nvidia-ai-gpus-via-singapore
DeepSeekはDeepSeek-R1について、アメリカによる半導体輸出規制に適合する「性能低下版のNVIDIA製GPU」を用いて開発を実現したと主張しています。DeepSeekはDeepSeek-R1のトレーニングに使用したGPUの具体的なモデル名を明らかにしていませんが、6710億のパラメーターを持つ「DeepSeek-V3」を2024年12月にリリースした際には「2048枚のNVIDIA H800で約280万GPU時間を要してトレーニングを実施した」と述べていました。
中国のAI企業・DeepSeekがGPT-4oに匹敵するAIモデル「DeepSeek-V3」をリリース、パラメーター数は脅威の6710億個 - GIGAZINE
対照的に、MetaはLlama 3のトレーニングについて「NVIDIA製高性能GPU・H100を1万6384個搭載したスーパーコンピューターを用いて、4050億のパラメーターを持つLlama 3をトレーニングしました。また、トレーニング完了までに要したGPU時間は3080万GPU時間です」と報告しています。
DeepSeek-R1はLlama 3よりも高い性能を示しているため、「Llama 3で使用されたものよりも強力なGPUクラスターでトレーニングされたのではないか」という疑念が浮上し、輸入規制下にある高性能NVIDIA製GPUを用いている可能性がささやかれるようになりました。
そこでアメリカ商務省ならびに連邦捜査局(FBI)などは、DeepSeekがシンガポールのサードパーティー企業を通じて高性能NVIDIA製GPUを入手した可能性について調査を行っています。シンガポールは高性能GPUの輸出規制対象外の国で、中国へのAIチップ規制が導入された2023年第3四半期以降、NVIDIAのシンガポールからの収益は急速に増加しています。
More accurate representation of Singapore's contribution to Nvidia revenue over the past few quarters.
— tphuang (@tphuang) January 30, 2025
$7.7B (22%) in most recent quarter (Q3)
Ignore my last chart that I deleted. pic.twitter.com/OZf5Jc0yng
なお、NVIDIAは「シンガポールに関連する収益は、中国への転用を示すものではありません」との声明を発表しており「当社の顧客の多くはシンガポールに事業体を持っており、アメリカおよび西側諸国向けの製品にそれらの事業体を使用しています。私たちは、パートナーがすべての適用法を順守していることを主張し、これに反する情報を受け取った際には、ただちに対処しています」と述べています。
ハワード・ラトニック商務省長官は「DeepSeekがアメリカの輸出制限を回避することに成功したようです。中国はアメリカのハードウェアを使用せずに公正に競争すべきで、承認があればAIチップの販売制限の強制を強化します」と語っています。なお、今回の報道に対してDeepSeekはコメントを残していません。
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in ソフトウェア, ハードウェア, Posted by log1r_ut
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