中国のAI開発企業「DeepSeek」が急速に台頭してテクノロジー業界で話題に、App Storeの無料アプリランキングでも1位を獲得

中国のAI開発企業・DeepSeekは2025年1月に、OpenAI o1と同等の性能を発揮すると主張する推論モデル「DeepSeek-R1-Zero」と「DeepSeek-R1」をオープンソースとして公開しました。それ以来、DeepSeekはテクノロジー業界の間で注目の的となっており、App Storeの無料アプリランキングでも記事作成時点で1位となっています。
DeepSeek gets Silicon Valley talking | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/01/26/deepseek-gets-silicon-valley-talking/

DeepSeekは中国の浙江省杭州市に拠点を置くAI開発企業であり、2024年11月に推論に特化した大規模言語モデル「DeepSeek-R1-Lite-Preview」を発表しました。R1-Lite-Previewは「思考の連鎖」による推論を行うモデルで、ユーザーからの入力に対してさまざまな連鎖や「思考」の流れをユーザーに示し、プロセスを文書化できるという特徴があります。
さらに12月には、6710億個ものパラメーターを持ち、場合によってはGPT-4oを上回る性能を発揮するという大規模言語モデル「DeepSeek-V3」を発表。そして2025年1月に、DeepSeek-V3に基づいてトレーニングされた推論モデル「DeepSeek-R1-Zero」と「DeepSeek-R1」を、MITライセンスの下でオープンソースとして公開しました。DeepSeekは、「DeepSeek-R1」はベンチマークでGPT-4やClaude 3.5 Sonnet以上の性能を示し、OpenAI-o1-1217と同等かそれ以上の性能を持っていると主張しています。
OpenAI o1相当の推論モデル「DeepSeek R1」を中国AI企業が商用利用や改変が可能なMITライセンスでリリース - GIGAZINE

ソフトウェア開発者であり、ベンチャーキャピタル企業のアンドリーセン・ホロウィッツの共同創業者であるマーク・アンドリーセン氏は、「Deepseek R1は私がこれまで目にした中で最も驚くべき、そして最も印象的なブレイクスルーのひとつです」と評価しました。
DeepSeekが注目される理由のひとつに、トレーニングコストの低さが挙げられます。大手AI開発企業はモデルを訓練するために数億ドル(数百億円)を費やしていますが、DeepSeekは1つの最新モデルのトレーニングにわずか560万ドル(約8億7000万円)しかかからなかったと主張しています。
また、アメリカが中国への高性能半導体の輸出を厳しく制限している中で、中国企業DeepSeekが高性能なAIモデルを開発した点も注目を浴びています。なお、DeepSeekの創業者兼CEOを務める梁文锋氏は、1月20日の会議で中国の李強首相に対し、依然としてアメリカによる半導体輸出規制がボトルネックになっていると語ったとのことです。
DeepSeekがAI分野での存在感を増したことで、多くの消費者もDeepSeekのAIを試そうとしています。その影響で、記事作成時点のApp Storeのアプリランキングでは、無料アプリカテゴリーの1位が「DeepSeek - AI」になっていました。

中国企業であるDeepSeekが急速に台頭してきたことは、既存のAI開発企業に衝撃を与えました。Metaの従業員を名乗る人物は匿名プラットフォームのBlindに、Metaの生成AI部門はパニックモードになっており、DeepSeekのモデルを分析して可能な限りコピーしようと試みていると投稿しました。
また、AIヘルスケア企業のCurai HealthでCEOを務めるニール・コースラ氏は、「DeepSeekはアメリカのAIの採算を悪化させるための、中国共産党による国家的な心理作戦+経済戦争です。彼らは価格を低く設定することを正当化するため、コストが低いと偽っているのです」と自論を展開しています。
経済アナリストのホルガー・ツァエピッツ氏は、「中国のDeepSeekは画期的なAIモデルを極めて低価格で、しかも最先端のチップにアクセスすることなく構築したとみられ、これはアメリカ株式市場にとって最大の脅威となる可能性があります。これはAI業界に注ぎ込まれている数千億ドル(数十兆円)相当の設備投資の有用性に疑問を投げかけています」とコメントしました。
一方で、DeepSeekの台頭を歓迎する声も上がっています。ベンチャーキャピタルのYコンビネータでCEOを務めるギャリー・タン氏は、「トレーニングモデルがより安価で、より速く、より簡単になれば、推論(現実世界におけるAIの実際の使用)の需要はさらに急速に成長・加速し、使用されるコンピューティングの供給が確実になるでしょう」と述べています。
MetaのチーフAIサイエンティストであるヤン・ルカン氏は、DeepSeekの台頭を「中国がアメリカを上回った」と捉えるのではなく、「オープンソースが独自モデルを上回った」と捉えるべきだと主張。「DeepSeekは、オープンリサーチとオープンソース(PyTorchやMetaのLlamaなど)から利益を得ています。彼らは新しいアイデアを思いつき、他の人々の研究の上にそれらを構築しました。彼らの仕事は公開され、オープンソースであるため、誰もがそこから利益を得ることができます。これがオープンリサーチとオープンソースの力なのです」と訴えました。
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