みんなにトラウマを植え付けた映画「パンズ・ラビリンス」の知られざる7つの真実


パシフィック・リム」やアカデミー賞で4部門を受賞した「シェイプ・オブ・ウォーター」を作り出したギレルモ・デル・トロ監督による映画「パンズ・ラビリンス」は、ファンタジー作品のような美しい映像とは裏腹に、激しい暴力描写やグロテスクなクリーチャー「ペイルマン」が描かれ多くの人の心にトラウマを植え付けました。そんなパンズ・ラビリンスについて、あまり知られていない7つの真実が公開されています。

7 Things You (Probably) Didn't Know About Pan's Labyrinth - YouTube


◆1:パンズ・ラビリンスは実現しないはずの映画だった
ヘルボーイ」の成功を受けて、デル・トロ監督のもとには「スーパーヒーローの映画を作って欲しい」というオファーが舞い込みました。


しかし、パンズ・ラビリンスのような暴力的で、子ども向きでなく、売り物になるかどうかがわからない映画にお金を出してくれる人は誰もいませんでした。


映画制作会社の人々と話しあったあと、デル・トロ監督はパンズ・ラビリンスのアイデアを棚の奥にしまっておくことを決意します。


流れが変わったのは、その後、デル・トロ監督が自身のノートをタクシーの中に忘れてしまったとき。


このノートにはパンズ・ラビリンスのアイデアが詰め込まれていたため、ノートの紛失についてデル・トロ監督は「莫大な予算に目がくらみ、情熱をないがしろにしたから宇宙が罰を下したのだ」と考えます。


この考えに至ってから数分後、デル・トロ監督のもとにタクシー運転手から電話があり、ノートは手元に返ってくることに。


「これこそがカルマの力かもしれませんが、もしかするとノートの中にデル・トロ監督の電話番号が『500ドル(約5万2000円)のお礼を渡します』というメッセージとともに書かれていたのかもしれません」とCineFixは語っています。


◆2:「パン」は実際にデル・トロ監督が幼い時に見たもの
デル・トロ監督がパンズ・ラビリンスを書いた時、頭の中にはいくつかのインスピレーションがありました。「不思議の国のアリス」や……


デイヴィッド・コパフィールド


そして「オズの魔法使い」


しかし、「パン」というキャラクターはギリシャ神話のパーンやピーター・パンを意味するものではないとのこと。


映画の小説版でも、ギリシャ神話のパンとして描かれていません。


幼い頃、デル・トロ監督は祖母の家にある衣装だんすの後ろから「パン」が現れるのを見たそうです。これが、作中のパンのアイデアの源泉とのこと。


ただ、パンズ・ラビリンスに取り掛かるためにデル・トロ監督は「ナルニア国物語」のオファーを断っています。ナルニア国物語にはパンも衣装だんすも出てくるので、ナルニア国物語がインスピレーションに関連しているのかもしれません。


デル・トロ監督は、これまでに2度、幽霊に遭遇したことがあり……


UFOを見た体験についても語っています。


単純に、パンのような存在はデル・トロ監督にとって当たり前のものなのだという可能性もあります。


◆3:激しい暴力シーンも実体験に基づくもの
映画の中ではすさまじいほどに暴力的な描写がありますが、これらの中にはデル・トロ監督自身の経験に由来するものも。


ヴィダル大尉が男性を瓶で何度も殴りつけるシーンは……


デル・トロ監督が乱闘に巻き込まれている時の経験によるもの。相手にチェーンで打たれている時にデル・トロ監督が顔を上げると、友人が瓶で殴られている姿が目に入ったそうです。


ハリウッド映画の多くで描かれているような「殴った瞬間に瓶が割れる」ということはなく、友人が何度も殴られている様子がデル・トロ監督の頭に残ったといいます。


また、映画の中でヴィダル大尉は顔面を撃ち抜かれて死亡します。


このインスピレーションは、デル・トロ監督が精神病院でボランティアをしていた時に由来します。


昼食を墓地で食べていたというデル・トロ監督。墓地に行く近道は死体安置所を通ることだったのですが、ある日、安置所で顔面を撃たれた死体を目にしました。


「顔面を打たれると目が回転するのだ」ということを知ったデル・トロ監督は、作中でもきっちりとそれを表現しています。


◆4:パンはほぼ実写
パンは作中で印象的なキャラクターですが……


パンを生み出すまでには大きな労力が必要とされました。


デルトロ監督とアルフォンソ・キュアロン氏は、映画の試作を行うために自己資産を10万ドル(約1000万円)ほど映画に投入。


コストをカットするため、パンをフルCGにするのではなく、「作ったコスチュームを役者に着せる」という方法が採用されました。


これが撮影の様子。足の一部だけがグラフィックで処理できるようになっています。


つまり、役者は撮影の度に毎日5時間かけて準備をする必要があったということ。


足が処理されるとこんな感じの映像になります。


また、パンの頭部には、耳を動かすための機械が入っており、他の役者の声が聞こえなくなっていました。


加えて、パン役のダグ・ジョーンズさんはセットの中で唯一スペイン語が話せない人物であったため、人に主人公の少女・オフェリアの台詞と自身の台詞を教えてもらっていたそうです。ジョーンズさんはヘルボーイやバットマン リターンズなど数々の有名作品に出演した着ぐるみ俳優であり、デル・トロ作品の常連です。スペイン語を話せなくともパン役はジョーンズさんであるべき、という判断があったのかもしれません。


最終的にパンの声は吹き替えられていますが、演じる時にぎこちなくならないよう、ジョーンズさんは1つ1つ内容を把握して演技を進めていったわけです。


◆5:予想外の部分にCGが使われている
作中では「実物」が多く用いられましたが、これは映画で全くCGが用いられなかった、という意味ではありません。


映画の撮影はマドリードの山の中で行われましたが、干ばつのため山の中では爆発を起こすことも空包を打つことも禁じられていました。


なので、映画の終盤で描かれる爆発シーンは、CGで……


かと思いきや、実写。クルーたちは、撮影のラストにこの爆発シーンを撮り、レンジャーらともめる前にサッサと撤退したとのこと。


では、どこにCGが使われたのかというと、このシーン。フレームから出る前にカメラに目線をやっていたため、この俳優はCGで消されました。


◆6:動物と子ども
子どもと動物は扱いが難しいので、映画などの撮影においてはできれば避けるものとされています。


しかし、デル・トロ監督は主人公・オフェリア役のイバナ・バケロさんと熱心に取り組み……


動物を登場させることにも積極的です。


馬が登場するシーンは、デル・トロ監督の馬に対する憎しみがいかんなく発揮されています。


馬は扱いにくく、危険であり、このシーンで馬から投げ出された役者は骨盤を折りそうになりました。デル・トロ監督は「この役者は生きているだけでも幸運」「馬は猟奇的な生き物だ」と語っています。


◆7:スティーブン・キングの反応
デル・トロ監督は映画を完成させるためには、自分の給料を諦める必要があると考えていました。


しかし、映画を見た時のスティーブン・キングの反応で、映画を製作する価値はあったと思えたそうです。


映画の試写会で、デル・トロ監督はスティーブン・キングの隣に座っていたのですが、ムービーの序盤、「ペイルマン」が登場するシーンでスティーブン・キングが身を震わせている様子を目撃。スティーブン・キングの反応は「オスカーを得ることに等しい」とデル・トロ監督は語っています。

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