人気テレビ番組制作会社の対応がパワハラのようで理解できない

一芸に秀でた人に「一緒に仕事をしませんか」と声をかけたのにも関わらず、「君はどれぐらい面白いの?」と上から目線で要求。希望に叶わなければ「今回の件はなかったことに」。あなたがたはそれでいいかもしれませんが、頼んでもいないのにつまらないという烙印を押された人間はたまったものではありません。
こんにちは、自転車で世界一周をした周藤卓也@チャリダーマンは、「♪はじめての酎(チュウ)、君と酎 #ストロングゼロ文学」「旅人の服を脱がすのは北風でも太陽でもなく美女」と、常日頃から笑いを心がけているのですが、テレビという華やかな世界で働く方々には通用しませんでした。敗北。
原因は私にトークスキルがなかったからだと思います。しかし、そういった人を値踏みするような行為を、仕事を打診してきた側が行うってどうなんでしょう。どんなに考えたところで答えが出てきません。
◆経緯
きっかけは、自転車世界一周の旅で集めた地図の記事でした。
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この記事を見た、深夜の人気バラエティ番組を制作する会社のスタッフさんから「世界中の様々なグッズを集めている人を探している」という連絡をいただきました。番組では一癖も二癖もあるマニアックなネタが受け、深夜にも関わらず大変な人気を誇っています。
150カ国13万kmという私の自転車世界一周の旅を仕事に繋げる、またとないチャンスでした。私も当然のように「よろしくお願いします」と引き受ける方向で返信を入れ、そこから、何度かメールのやり取りをして話を進めました。電話でも少しお話させて頂きました。「世界の地図」の他にも「世界の標識」についてもいろいろ聞かれました。ただ、いくらご協力したところで、出演が決まらないとタダ働き。つい最近にも同じような話があって流れてしまいました。
でも、今回は違いました。制作会社のスタッフから「打ち合わせをしたい」というご連絡。私が働いている東京郊外までわざわざ足を運んで頂きました。私の家の最寄り駅からちょっと歩いた喫茶店で対面。連絡を取り合っていたスタッフの方は20代前半でしょうか。物腰も柔らかく爽やかな若者でした。敬意を持って接していただけました。しかし、遅れてやって来た彼の上司には困惑させられました。30代前半の上司は私とさほど歳も変わりません。
上司の方は何年もテレビ番組を作ってきたのでしょう。連絡を取り合っていた若者とは違う軽いノリで「業界マン」という印象を受けました。番組司会者の方は私から見れば、長年にわたってテレビで活躍している雲の上の存在なのですが、上司の方はその人に敬称をつけず呼んでいました。業界では一般的なのかもしれませんが、私にはかなりの衝撃でした。
その後、上司の方がいろいろと質問を投げてくるのですが、まるでトークスキルを試されているようでした。「君が集めた地図について、もっとないの。熱く語ってよ」という要求に私はしどろもどろ。それでも何とか会話を試みるのですが、明らかに失望を隠せない白けた空気になって、いたたまれなくなります。ネジが1つも2つもぶっ飛んだようなキャラを欲しているようでした。ひと通り話し終わって、足早に喫茶店を出る制作会社の2人。見てもらいたくて持参した旅の思い出グッズを片付け、急いで身支度を整えて追いかける私。戦う前から終わっていました。私はピエロでした。
それでも打ち合わせの中で「実物を見たら何か閃くかもしれないので、着払いで構わないから地図を送っていただけないだろうか」という提案を受けました。「でも、採用されなければ無駄足になりますよね、それってかなりしんどいです」と渋りながらも、もしかしたら評価が覆るかもしれないと自分に言い聞かせて「いや、送らせて下さい」と何とか言葉を絞り出しました。地図を入れたコンテナケースは福岡にある実家のクローゼットの上に置いていました。年老いた実家の母に連絡して、重い荷物を運ばせたにも関わらず、何の成果も得ることができませんでした。地図が制作会社に届いた翌日に会議があったようで「今回はご出演を見送る形となってしまいました」というご連絡。

今回のできごとを時系列に並べると、
2018年1月21日:初めての連絡
2018年1月23日:電話取材
2018年1月26日:喫茶店で打ち合わせ
2018年1月27日:実家の福岡から地図を発送
2018年1月29日:東京の番組制作会社に地図が到着
2018年1月30日:会議の結果「今回はご出演を見送る形となってしまいました」という連絡
2018年2月3日:収録予定日
でした。
◆パワハラなのか

私もライターとして取材したい人がいますが、連絡を取ったならあとは記事にするだけ。記事がヒットするかヒットしないかは私の腕次第。取材対象が最高の人物であることはいうまでもありません。一方で、今回もそうですが、テレビ業界に関わる一部の人は頼んだのにも関わらず、取材対象を試す言動を取り、見込みがなければ容赦なく切り捨てることを平気でやっています。
ダンサー、芸人、漫画家、シンガー、ゲーマー……。なんだって構いません、たくさんの一般人に声をかけたにも関わらず、テレビ番組制作の方でふるいをかけて出演者を選び出すというシステムってどうなんでしょう。オーディションをやって向こうが応募したのであればふるいにかける行為は当然です。ですが、声をかけたのにも関わらず選別を行われると、ふるいから落ちた人間はたまったものではありません。
今回の件も、私は「パワハラのような扱いだった」と認識しています。私だけでしょうか。それとも、何人もふるいから落ちているのでしょうか。しかし、すべては制作会社の手の中。何が行われていたのか私は知る由もありません。名目は「打ち合わせ」でしたが、実際は審査でした。
◆タダ働きでもいい

2017年9月には、BSのテレビ番組から仕事のご相談を受けました。「独裁国家をはじめとした世界中を旅してきた人を取り上げたい」という企画でした。何度かメールや電話のやり取りをしたのですが、企画自体が没になったという残念な結末。しかし、誠意のある対応だったので仕方ないと思っています。
次のようなアンケートにも答えました。詳細は電話で聞くという感じだったので、ざっくらばんな解答です。
Q:
旅を始めたキッカケを教えて下さい
A:
死ぬまでに世界を見たかった。就活より終活をした。
Q:
旅費など渡航費などはどうやって稼いでいますか?
A:
高校の時にアルバイト。
工場で軽作業。
オーストラリアでワーキングホリデー。
インターネット記事の連載。
一時帰国の際に山小屋で短期のアルバイト。
Q:
これまで訪問した独裁国家の数と場所を教えて下さい
A:
中国、シンガポール、カザフスタン、ウズベキスタン、ガボン、モーリタニア、ウガンダ、モルドバ、ベラルーシ、ジンバブエ。
上に上げた国々は一党独裁or長期政権。いわゆる独裁国家らしい国々です。
定義が難しいです。
例えばイランやナイジェリアは大統領選挙やっていますし、独裁国家と言われるとウーンと考えます。失敗国家や腐敗国家と枠を広げた方が話しやすかったりしますが、いかがでしょうか?
Q:
・独裁国家に訪れた際に危険な目に遭ったことはありますか?それはどんな体験でしょうか?(複数あれば助かります)
・これまで独裁国家に訪れた際に体験した危険に感じた、あるいは恐怖だったと感じるエピソードを教えて下さい(複数あれば助かります)
A:
合わせて答えます。
ベトナム=ネットカフェで外国人拒否。ブチギレしたら、やくざみたいな人を呼ばれた……と思ったら警官だった。
モルドバ=自動小銃を持たせてもらう。写真を撮られる。親切な秘密警察の人たちのお世話になった。
ヨルダン=警察に連れて行かれる。そのまま署内でテント張る。
イラン=私服警官の尋問にあう。ひと目のある所で受け答えをする。
コンゴ共和国=マラリアで寝込む。
Q:
訪問された独裁国家で国々で変わった独自のルール、珍しい風習だと感じたエピソードがありましたら、教えて下さい。(複数あれば助かります)
A:
中国=中国人しか宿泊できない宿がある。でも私は泊まっていた。
ウズベキスタン=レギストラーチェという宿泊証明書が必要。
ウズベキスタン=外国人が通れない国境があり、遠回りした。
トルクメニスタン=ツーリストビザの取得が難しい。トランジットビザで訪問する。
アフリカ&中央アジア=ビザを取るのがめんどくさい。期日通りにビザが出来上がらない。
ジンバブエ=大統領が居眠りと伝える現地の新聞。独裁と聞くのに報道は意外とオープン。
エジプト、ヨルダン~アラブ圏の基本はボッタクリ。だから、喧嘩ばかりしていた。でも、イスラムにはお金を持つ人は、より多く払わないといけないルール。私たちからすると悪いことだが、彼らからすると悪いことではなく、難しいです。
Q:
独裁国家に訪れた際の体験談として大変だった。困ったことはありましたでしょうか?(複数あれば助かります)
A:
トルクメニスタン=国境で賄賂を要求される。断る。
ギニア=警官に賄賂を要求される。
ギニア=国境で賄賂を要求される。断る。
ナイジェリア=道路上に検問多すぎ。何も要求はされず。
ジンバブエ=首都ハラレ。路行く人の服装が小奇麗。私の方が小汚かった。
アフリカ全般=チンチョンチャンと馬鹿にされる。東洋人は全部中国人でからかいの対象。
スーダン、ウズベキスタン=闇両替をしないといけない。公定レートと闇レートがあります。
イラン=ATMがない。
ガボン=道路がガタガタしている。
Q:
もう二度と訪問したくない独裁国家とその理由を教えて下さい。
A:
旅が好きなので、また旅をしたい国ばかり。
Q:
今後行って見たい国はありますか?その理由はどんなことでしょうか
A:
キューバ。未訪問国。
ベネズエラ。未訪問国。第二のジンバブエ。中南米は貧富の差が激しい。
ブータン。未訪問国。ツアーでしか参加できない。高い。
サウジアラビア。未訪問国。観光ビザを個人で取ることは難しい。
北朝鮮。未訪問国。アメリカ人旅行者の件があったので、要検討。
また、南米走行中には日本の大手広告代理店から「アクションカメラのプロモーションに協力して欲しい」という依頼を受けました。私の旅も評価していただき「一緒に企画を通しましょう」という感じだったので、結果が駄目でも晴れやかな気持ちになれました。
このような経験も積んでいるからこそ、今回の件は理解できないでいます。せめて打ち合わせでは、私のキャラを殺すのではなく活かすことを考えて欲しかった。味方でいてくれたら、ふるい落とされたとしても結果を飲み込んだかもしれません。
◆私の事情

あふれるほどのお金が手に入れば、ゲストハウスを作るという夢も叶いますし、また海外にも行くことができます。そして何より結婚もできるでしょう。そんな未来を掴む武器といえば私には旅しかなく、旅を終えて一時期そのような方向で頑張ってみたのですが、芽を出すことがなかったので諦めました。そして、お金もすっからかんになったので東京の工場で働いています。
旅を終えてからの活動は、こちらの記事にまとめています。
チャリダーマンが喉から手が出るほどに待ち望んでいた講演依頼を断ってしまう気持ちの問題 - GIGAZINE

一度きりの人生もあっという間に(おそらく)後半戦。これまでをサボってきたツケは大きく、これから先の人生はなかなか厳しそうです。旅以外にも資格なり免許なり社会に通用する武器を作っておくべきでした。工場ワークも悪くはないのですが、上限は見えきっています。女性とろくにお付き合いもしていないのに性欲は衰えていくばかり。毛髪もかつて程の勢いがありません。もっと待ってほしいのに時間だけは過ぎ去っていってしまいます。
だからこそ、今回のテレビ出演は願ってもないもお話でした。テレビに出てお話することができたら、これまでの旅が新たな仕事に繋がる可能性もあったわけで、またとないチャンスをものにできずへこたれています。もっと名前を知っていただけたら、これまで書いた記事にもアクセスがあったりして、GIGAZINEにも恩返しができるはずでした。
◆相手方の主張
ただ、ここまで書いたのはあくまで私の主観。制作会社からは以下のような連絡を受けました。
・あなたを不快な気持ちにさせてしまったことについてお詫び申し上げます。
・今回のテーマは「世界の◯◯コレクター」で◯◯を集めるために旅行している方に出演をご相談。
・番組は「企画の趣旨がぶれないこと!」を大事にしています。
・直接会って具体的に話を聞かなければ、あなたのことが分かりませんでした。
・あなたの著書(電子書籍)は打ち合わせ後に読みました。
・あなたは地図より旅がメインの方なので、今回はお断りしました。
・旅がテーマであればお願いしていたかもしれません。
・また縁があったら相談させてください。
・時間を割いてしまったので規定の額をお支払させて欲しい。
このような回答に「私は謝罪や金銭による解決を望んでいるのではなく、やはり司会の方とお話したい」とお伝えしました。それにも関わらず、こうした記事を書いてしまいました。「蜘蛛の糸」じゃないですが、上らなければいけない糸を自ら切ってしまうようなスタイル。でも、黙って飲み込んだら救いの手が差し伸べられるのでしょうか。もともと私の知る世界には救いなんてありませんでした。仕方ない気がしています。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
Facebookページ https://www.facebook.com/chariderman/
DMM講演依頼 https://kouenirai.dmm.com/speaker/takuya-shuto/)
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in コラム, Posted by logc_nt
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