クッキーを食べた少女2人が死亡したアフリカで横行する「食品偽装」の実態とは?

by Andy Mudrak

2018年2月にナイジェリアの首都・アブジャに住む14歳の少女2人が、学校でクラスメイトの誕生日を祝っている最中に汚染されたクッキーを食べて死亡しました。他のクラスメイトたちの中には入院中の生徒もおり、生徒たちの両親が起こした脅迫やパニックによって、学校は一時閉鎖する事態になったのですが、原因が究明され企業の責任が問われることはありませんでした。このような事態の背後には世界的に広まる食品偽装があります。その中でも特に危険視されるアフリカの食品偽装の実態を、質のいい食料品の流通を目的とした「AACE Foods」や農業を支援する「Sahel Capital」を創設した一人である社会起業家のNdidi Nwuneli氏が語っています。

Fake food or fraud food in Nigeria, Kenya and other African countries — Quartz
https://qz.com/1226112/fake-food-or-fraud-food-in-nigeria-kenya-and-other-african-countries/

アメリカの食料品製造者組合によると、消費者をミスリードするような製品をあえて作る「食料品詐欺」が国際的に増加しており、食料品詐欺の影響は商業的に販売されている製品の10%に影響し、国際的な食品産業に年間100~150億ドル(約1兆~1兆6000億円)のコストを生み出しているとのこと。

特にアフリカ大陸において食料品詐欺の増加が懸念されており、タンザニア産業連合の調査によると、タンザニアに輸入された食品・薬品・建築材料の50%に詐欺や擬装が含まれているといいます。どのくらいの製品にウソが含まれているのかははっきりしておらず、食品のカテゴリや輸出国によって差はあるものの、食品のうち10~50%はウソの情報を含むと推測されています。


自身の経験を通してウソが含まれた食品がどれほど大量にスーパーマーケットに並んでいるのかを見てきたという社会起業家のNwuneli氏は、ナイジェリアの粉ミルクは動物性タンパク質ではなく、ケニアでは人間が摂取するのに適さないリサイクル油から植物油が作られていると説明します。また、ガーナでは、発ガン物質として広く知られているスダンIVを使ったパーム油が提供され、ウガンダでは生肉が新鮮さを保ち、ハエが寄らないようにするため、ホルマリンが使われているとのことです。

このような偽造食品が日常的に利用されることは、アフリカ大陸における発ガン率や飢餓率と関連し、また子どもの発育にも影響を与える危険性があります。


アフリカでは、原料のサプライ・チェーンが長く、基準や検査の方法も多岐に及ぶため、システムが複雑化し、食品の起源をわからなくしています。また、地元の製造業者は安価な輸入品との競争を余儀なくされていることから、基準を満たさない質の低い材料の食品を使用して製造コストを下げることがあるとのこと。規制基準や追跡の仕組みが不完全であることも抜け穴を作り出し、擬装食品を生み出す1つの原因となっています。

一方で、安全な食品の提供に力を入れ、国際基準であるコーデックスに署名する国や企業も増えています。南アフリカではスダンIやIVが禁じられ、危険だと見なされた食品は消費者のもとに届かないよう処理されます。しかし、このような取り組みでもまだ「不十分」だとNwuneli氏は考えています。

不正が起こってから問題を取り除くよりも「予防」を徹底した方がコストが低くなるとして、Nwuneli氏は食品やそのラベルについて高い基準を定め、原料がどのような流通をたどったのかを追跡する仕組みを作るべきだと主張。アフリカ連合がEUのように食品偽装ネットワークを形成し、国境を越えて行われる擬装を検知できるようにすることなどを提案しています。また食品偽装についての意識を高めるためにメディアから消費者に呼びかけを行うなど、あらゆる方面からの対策の必要性を語っています。

by Michael Stern

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