Falcon Heavyロケットと火星を目指す「スターマン」をWestworldのクリエイターが描いたショートムービーが公開される
SpaceXのイーロン・マスクCEOが2018年3月10日、事前に予告していたFalcon Heavyロケットと、火星を目指す「スターマン」の新映像を公開しました。この映像は音楽・映画・インタラクティブの祭典である「サウス・バイ・サウスウエスト」(SXSW)の中で公表されたもので、テレビドラマシリーズ「ウエストワールド」のクリエイターによって制作されたもので、これまでは明らかにされていなかった「3本目のロケットが海に不時着する様子」も収められています。
Falcon Heavy & Starman - YouTube
路肩に車を停めて何やら集まっている人々
道路脇を埋め尽くす人々も。2018年2月6日に実施されたSpaceXの超大型ロケットFalcon Heavyの打ち上げを見守るために、フロリダ州のケネディ宇宙センターの近くに詰めかけた人たちです。
場面は変わって、格納庫の中でカバーを外される一台のオープンカー。
大型バスがスッポリ収まるほど巨大な「フェアリング」に格納されるオープンカー。これはもちろん、マスク氏が所有していたテスラ・ロードスターで、今回の打ち上げでFalcon Heavyに載せられ、一路火星を目指す旅に出かけます。
格納庫から運び出されるFalcon Heavy。3本のロケットを束ねたFalcon Heavyは、横向きに寝かされた状態で打ち上げ台まで搬送されます。
専用の台車に載せられて運ばれるFalcon Heavy。その下にいる人と比べると、いかに巨大なものであるかが実感出来ます。
打ち上げ当日、周囲は大渋滞。
小さな子どもも、打ち上げを見守ります。
夜が明け、ついに打ち上げの瞬間がやってきました。
猛烈な煙を吐き出し、とてつもないエネルギーを放出して発射する瞬間。
現存する中では最も巨大なロケットであるFalcon Heavyが、まばゆい光と共に上昇していきます。
その様子を遠くから見守る人たち。
テレビでその様子を見ていた子どもも、Vサインで祝福。
猛烈な勢いで宇宙めがけて上昇を続けるFalcon Heavy。
無事に左右のブースターの切り離しも成功。今回の打ち上げはあくまでFalcon Heavyの「試射」で、マスク氏の心の中にも成功するかどうか不安な気持ちが残っていたそうです。
打ち上げを見守る人々の様子。ムービーを見ると、このシーンでは後ろのガラス窓がビリビリと震えている様子がわかります。
双眼鏡で見守る子どもと、飛び交う紙吹雪。
ロケット先端のフェアリングがパカッと開き、テスラ・ロードスターと運転席に乗った「スターマン」がついに宇宙空間へ。
沸き立つSpaceXのスタッフたち。この場所は、いつもの打ち上げライブ中継の際に登場しているSpaceXの打ち上げ管制センターとみられます。
マスク氏とおぼしき人物がガッツポーズを見せる様子も。
そしてこのムービーのハイライトの一つが、これまでは様子が伝えられていなかった3本目のロケットが海に不時着する様子が収められていること。打ち上げを終えた第1段ロケットのうち、センターのロケットは海上で待機するドローン船に着艦する予定となっていたのですが……
ドローン船のカメラには、着艦ポイントを数十メートル外れて海の上に落ちたロケットの様子が記録されています。
水しぶきを上げて海に落ちたセンターロケット。
なお、このセンターロケットは時速300マイル(約480km/h)で海面に落下したことが確認されています。
The middle booster of SpaceX’s Falcon Heavy rocket failed to land on its drone ship - The Verge
https://www.theverge.com/2018/2/6/16980954/spacex-falcon-heavy-rocket-middle-core-failed-landing
青い地球を背に、火星に向かうスターマンを象徴するワンシーン。いまスターマンが宇宙のどこにいるのかは、ウェブサイトで確認することが可能です。
こちらは、地上への帰還に向けて逆噴射を行うブースターロケット。9基のロケットエンジンのうち、真ん中の1基だけを使って落下の速度をコントロールしています。
ほぼ同時に帰還地点へと舞い戻ってきた2本のブースターロケット。
ほんの5分前まで地表から60kmの高さを約7000km/hで飛んでいた2つの物体が、地表の極めて正確なポイントに、しかも2つともほぼ同じタイミングで戻ってくる技術力の高さには、「はぁ……」というため息しかでません。
帰還したブースターと、それを見上げる男性。
一方のスターマンは火星への旅路の途中。予定されていたよりもスピードを出しすぎた状態になっているため、火星の軌道を通り過ぎてしまうことも明らかになっていますが、ひとまずは着実に火星への行程を進んでいる模様。ただし、遠い将来には地球に衝突する可能性も指摘されており、100万年以内に地球に衝突する確率が6%、300万年後に衝突する可能性が11%になるとみられています。
ムービーの最後は、この車に隠されている「*Made on Earth by humans*」(地球において人類によって作られた)という一文で締めくくられています。
Falcon Heavyの打ち上げを成功させたSpaceXの次なる目標は、人類を火星に送り届けて地球に戻ってくることを可能にする超巨大ロケット「BFR」の開発に移ります。マスク氏はBFRの初期テストを2019年前半にも実施することを明らかにしています。
東京~ハワイを30分で結ぶことも可能なスペースXの新型巨大ロケット「BFR」とは? - GIGAZINE
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