「Ryzen 5 2400G」ではメモリ性能がゲーミング性能にどれくらい影響を与えるのかを検証
AMDが2018年2月に発売したAPU「Ryzen 5 2400G」&「Ryzen 3 2200G」は、好調な滑り出しをみせています。Ryzen 5 2400Gの内蔵GPUの性能は搭載するメモリの性能に大きく左右されるということが知られていますが、Tom's Hardwareがメモリ速度ごとのゲーミング性能を詳細に検証しており、予想通り「Ryzen APUでは高速メモリを使うのがキモ」という結果が出ています。
AMD Ryzen 5 2400G Tests: How Much Does Memory Impact Gaming?
http://www.tomshardware.com/reviews/raven-ridge-memory-scaling-benchmarks,5489.html
検証はAPUがRyzen 5 2400G、マザーボードがMSI B350 Tomahawk、ストレージがSamsung PM863(960GB)、OSがWindows 10 Pro(64ビット)という構成で行われています。肝心のメモリは、 Ryzenへの完全対応をうたうG.Skill FlareX DDR4-3200(8GB)が用いられており、各種メモリクロック数の他、アクセスタイミングは、14-14-14-34(CL14)と16-16-16-36(CL36)の2種類が検証されてます。なお、Ryzen CPU・APUではメモリの「ランク」がクローズアップされていますが、今回使用したメモリはシングルランクのものだとのこと。ちなみに、ランクについてはセンチュリーマイクロ株式会社の嶋野氏の解説を見ればよく分かります。
◆シングルチャンネル
シングルチャンネル状態で「Civilization VI」のフレームレートを各クロック数、アクセスタイミング別に計測すると以下の通り。グラフ左の数字が最小値、右の数字が平均値を表しています。メモリクロック数の増加に比例してコンスタントにフレームレートが向上すると共に、CL14とCL16の差はクロック数の増加に応じて開く傾向にあることが分かります。
なお、Intel Core i3-8100やPentium G4620にNVIDIA GeForce GT1030を組み合わせた構成とも比較すると、シングルチャンネル環境ではかなり苦戦しています。当然ながら、Intel CPU+グラフィックボードNVIDIAグラフィックボードの構成では、メモリ性能によってゲーミング性能が体感できるほど向上することはなかったそうです。
平均フレームレートはこんな感じ。グラフが交わることなく、すべてのシーンでメモリ性能通りであり、性能が逆転することはない模様。
「The Witcher 3: Wild Hunt」の結果も、Civilization VIと大きくは違いません。
◆デュアルチャンネル
続いて、メモリをデュアルチャンネルにしてベンチーマークを計測。Civilization VIのDDR4-3200(CL14)設定の平均フレームレートは「57.6」となり、「33.9」だったシングルチャンネルに比べて、明確なフレームレートアップが確認できます。
The Witcher 3でも性能は確実にアップし、Intel Core i3-8100+NVIDIA GeForce GT1030に匹敵する性能に到達します。
◆DIMMの4枚挿し
MSI B350 TomahawkはDIMMスロットを4本持っており、今回のシングルランクのメモリを4枚挿しで使うことは可能。ということで、メモリ4枚挿しでの性能についても検証されています。なお、シングルランクメモリの場合、2枚挿しではDDR4-2933まで、4枚挿しではDDR4-2133までのサポートというAMDの公式発表どおり、4枚挿しではクロック数に限界があり、CL16でもDDR4-3200の設定はパスせず、DDR4-2933でも問題があったとのこと。
Civilization VIのベンチマーク結果は以下の通り。
The Witcher 3の結果。クロック数の上限に余裕がない以外は、2枚挿しと同じ傾向の結果が得られました。
◆まとめ
以上の通り、ベンチマーク結果からRyzen APU(Ryzen 5 2400G・Ryzen 3 2200G)では、シングルチャンネルではほとんど性能を引き出すことはできず、デュアルチャンネルは必須と言えます。そして、可能な限り周波数の高いメモリを用いることがゲーミング性能を高めるのに有効である事も確認されています。なお、Tom's Hardwareは、すでにマザーボードのBIOSが改善されており、Ryzen 7シリーズの発売当初にあったメモリのシビアさはRyzen 5 2400Gのテストでもほぼでなかったとのこと。メモリ回りの最適化によってゲーミング性能がさらに高まる期待を抱いています。
クロック数の高い、いわゆるオーバークロックメモリ(OCメモリ)は、一般的なメモリに比べて高価なわりに性能差を体感できるシーンは少ないことが多いものでした。しかし、ことRyzen APUに関して言えば、内蔵GPUの性能を引き出すためにはメモリ性能が圧倒的に重要で、OCメモリの価格に見合ったゲーミング性能アップを期待して良さそうです。
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