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なぜ80年代の映画は今なお広く愛され続けているのか?


「1980年代」と聞くと何となく景気が良さそうだったり、冷戦の終結が見えたりといった明るいイメージが思い浮かびますが、「30年前なんて大昔だな」と感じる人も多いはず。しかし、実際には80年代のポップカルチャーや映画は現代に至るまで大きな影響を世界に与えており、普段目にしているものの源流が80年代にあるということもしばしば。そんな後世にも大きな影響を与えた「80年代の映画ムーブメント」について説明したムービーが、YouTubeで公開されています。

Explaining the 80s Movie Craze


町中にたむろする男たち。


一緒にたむろしていた10代の少年が「80年代の映画ってダセえよな」と言うと……


「てめえ、80年代をバカにするなよ!」と突然、男が怒り出しました。怒り狂う帽子の少年のように、未だに80年代の映画に対して非常に愛着を持っている人は少なくありません。


映画は製作された時代を反映すると同時に、製作者たちが生まれ育った少し前の時代の影響を多大に受けているもの。製作時点で40代やそこらの中年である製作者が子どものころに見た映画・テレビ番組などが、作った映画に反映されているのです。


この考えを受け入れるならば、2010年代に作られた映画は1980年代の映画に影響を受けているといえます。しかし、80年代の映画は単なる一時のムーブメントとして扱うには、あまりにも大きなカルチャーとして時代に爪痕を残しています。


現代作られる映画やTVドラマは、80年代の映画やビデオゲーム、その他80年代に巻き起こったカルチャー全体に対する大きな敬意と細部にわたるこだわりが見られます。


80年代のカルチャーと憧れをカプセルに凝縮したような映画の最たるものが、4月20日(金)公開予定のレディ・プレイヤー1」になるでしょう。


同名の原作小説をもとにしたこの映画は、荒廃した近未来でVRの世界を舞台に大富豪の残したお宝を奪い合うというもの。80年代の映画やテレビゲームに登場するさまざまなキャラクターが登場したり、80年代のポップカルチャーが物語のヒントになったりと、まさに80年代の影響を色濃く受けている映画といえます。


では、いったいなぜ80年代の映画やポップカルチャーはこれほどまでに、現代に影響を与えているのでしょうか?


そこにはさまざまな理由が考えられますが、その最たる理由は「80年代への郷愁」が他の年代よりも、非常に強い感情となって現代人に残っているためです。


80年代は音楽と映像が融合したミュージックビデオが登場し、そこで実験的に行われた新たな手法は、今の映画にも大きな影響を与えています。


また、80年代は10代向けの映画の黄金期ともいうべき時代で、その時代に映画をむさぼるように見た少年少女たちが、現在の映画製作者たちになっているのです。


彼らは10代のころに映画に対して強く興味をひかれたため、80年代の映画をある種のロールモデルとしているのも事実。


しかし、ここで全く別の観点から80年代の影響を論じてみます。


新しい観点とは、「今の時代から見て、80年代の映画は『もう一度新しく映画にする』最高のタイミングである」という点です。


80年代に製作された映画の続編が今でも盛んに製作されているのがその証拠。


80年代に映画を製作したクリエイターたちは、60年代中盤から70年代後半におけるアメリカン・ニューシネマの影響を強く受けた人間です。アメリカン・ニューシネマとは、観客に夢と希望を与えるようなハッピーエンド全盛だったそれまでのハリウッド的映画製作の風潮にとらわれず、新しい角度から体制に反抗的な若者の生きる姿を切り取った映画群のこと。


その最高傑作が「俺たちに明日はない」でしょう。


世界恐慌の時代に各地で強盗や殺人を繰り返したボニーとクライドをモチーフにし、倫理を逸脱した暴力と性表現・錯綜した人間関係を通してカウンターカルチャーのはかなさを描いた傑作です。


80年代にはこのようなアメリカン・ニューシネマの影響を受けた映画人がパイオニアとなり、映画業界全体に大きな爆発を起こしました。80年代の映画人は幼少期を典型的なハリウッド映画に触れて育ち、その後に実験的映画が多数制作されたアメリカン・ニューシネマの洗礼を受けた最初の世代です。


彼らはそれまでの映画を手本としながらも、それをどうやって打ち破るのかという点に大きな力と労力を注ぎました。


80年代映画人がどのように映画を作ったのかを知るにあたり、最もいい例がスティーブン・スピルバーグジョージ・ルーカスというビッグネームがともに携わった「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」。幸いにも、スティーブン・スピルバーグとジョージ・ルーカスがこの映画の脚本について交わした会議の内容が、インターネット上にPDFファイルとして公開されています。


脚本会議の内容を読むと、「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」の脚本がどのような映画にインスパイアされ、同時にどのようにこれまでの映画から脱却しようとしていたのかがわかります。


ルーカスは初め、「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」をマカロニ・ウェスタンジェームズ・ボンドを好む層にヒットさせようとしていました。


2人は主人公の「インディ・ジョーンズを他の映画のキャラクターに当てはめてみよう」として、さまざまなキャラクターとインディ・ジョーンズを比較していきます。インディ・ジョーンズは「七人の侍」で三船敏郎が演じた菊千代のように跳ねっ返りで……


クリント・イーストウッドが「夕陽のガンマン」で演じた名無しの男のようにプロフェッショナル。


ハンフリー・ボガートが「ハイ・シェラ」で演じたロイ・アールのように薄汚れています。


さらに映画のアクションは「風とライオン」のようで……


舞台は「キングコング」のようにうっそうとしたジャングルの中。このように、彼ら80年代映画人の共通言語として、それまでに作られたありとあらゆる映画のオマージュが使われているのです。


彼らは古い映画をもとに、全く新しいキャラクターと新鮮なストーリーを作り上げました。アメリカン・ニューシネマの影響を受けつつもそれにとらわれることなく、アメリカン・ニューシネマ以前のハリウッド映画を好む人々の心をもつかみたいと考えていたのです。


80年代のマインドセットは、1977年に公開された「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」に色濃く反映されています。


監督脚本を担当したルーカスはこの映画について、「私がこの映画を作った理由は、若い人たちに私たちの世代が好きなさまざまな映画……たとえば西部劇・海賊映画・ロマンス映画・冒険映画などの素晴らしさを知ってもらいたかったからです」


「先人たちの素晴らしい作品がなかったら、私はこの映画を生み出せなかったでしょう」


ルーカスは70年代の映画やTVドラマに対し、よくできていると同時にあまりにもリアルすぎて寒々とした印象を与え、面白みを欠くと感じていました。80年代の映画人たちはそんなリアル志向の風潮を打ち破るかのように、エンターテインメントを追求した映画を作ったのです。


E.T.」や「ゴーストバスターズ」に登場する宇宙人や幽霊は、怖さやリアルさが非常に薄く、むしろ面白いものとして描かれています。


プリンセス・ブライド・ストーリー」はそんなスピルバーグやルーカスの精神を完璧に受け継いだ映画だといえるでしょう。


60年代から70年代のティーン向け映画の多くは、10代の少年少女を極度にセクシャルで問題を抱えている存在として、ある意味型にはめたキャラクターとして描いていました。


それが80年代になると、初めにジョン・ヒューズが等身大の若者を描いた映画を製作するようになります。


彼の製作した映画は、ティーンエイジャーの不器用な恋愛や楽しさだけを追求したどんちゃん騒ぎをしっかりと描いています。


これらさまざまな要因が重なって80年代映画は現代に至るまで愛され、現在進行形でさまざまな映画に影響を与えているのです。


第69回エミー賞で2冠を達成した「San Junipero」は80年代の奇妙な部分を反映しており……


伝説的なホラー映画「IT」が2017年になって再リメイクされました。これらも80年代の影響が未だに濃く残っている証。


80年代の映画はハリウッド全体を活気づかせました。そして今見てもなお、楽しむことができ……


現代の映画にも多大な影響を残しているのです。

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in 動画,   映画, Posted by log1h_ik

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