サイエンス

ゲノム編集技術「CRISPR/Cas9」を用いて中国ではすでに86人の遺伝子改変が行われたことが判明

by Nic Low

人間の遺伝子を改変する技術に対しては倫理面での問題が指摘されており、アメリカでは2017年にゲノム編集によるヒト受精卵の遺伝子改変がようやく実施されたのに対して、中国ではすでに3例の前例が報告されていました。しかし、実際には中国はもっと先を行っていて、2015年以降、86名に対してゲノム編集が施されていたことが明らかになりました。

China, Unhampered by Rules, Races Ahead in Gene-Editing Trials - WSJ
https://www.wsj.com/articles/china-unhampered-by-rules-races-ahead-in-gene-editing-trials-1516562360


China sprints ahead of the US in DNA dabbling with over 80 CRISPR patients and rising – BGR
http://bgr.com/2018/01/22/crispr-trials-china-gene-editing-research/

「CRISPR/Cas9」で遺伝子改変ができるということは2012年に確認されました。中国では安徽柯頓生物科技有限公司という新興企業が2015年から病院と組んで試験を開始。


前述のように、2017年にアメリカ・オレゴン保健科学大学の研究チームが初のゲノム編集を行った時点で、中国ではすでに3例の実施例が報告されていましたが、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、これまでに中国では86名の被験者に対するゲノム編集が行われているとのこと。

他国では倫理的問題などによってヒトに対するゲノム編集には厳しい制限があるのですが、中国では当局による規制が行われていないどころか、2016年からは国の五カ年計画の中に「ゲノム編集」が組み込まれており、むしろ推進する方向にあるようです。実際、この五カ年計画が打ち出されて以降に実施例が急増しています。

有効な治療法の見つかっていない疾病に対して、ゲノム編集による打開が期待される一方で、大きな不利益を被る可能性も考えられるため、科学者たちは懸念を示しているとのことです。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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