「深海の花火」と称される奇抜なクラゲのムービー撮影に成功
深海は宇宙と同じく人類未到の地が多く、新種の生物や地質の調査が現在も続いています。深海で光るクラゲ「Halitrephes maasi」は生態に謎の部分が多く、遭遇すること自体も希少なクラゲです。国際的な海洋探査プログラムの探査船Exploration Vesselのチームはそんなクラゲの姿を撮影することに成功したのですが、Halitrephes maasiは周りの光を反射して光っており、電気クラゲのように自分から発光するわけではないという生態が確認されました。
以下の写真に写っているのが、今回クラゲのHalitrephes maasiを撮影したROV(深海探査ロボット)のHerculesと同型のもの。Herculesは遠隔操作で深海を調査し、最高で水深4000メートルまで潜水でき、2本のアームでサンプル採取ができます。
By NOAA Photo Library
探査船Exploration VesselのYouTubeチャンネルEVNautilusでは、Halitrephes maasiを発見した時のROVクルーの様子が音声で分かるムービー「A Burst of Deep Sea Fireworks: Halitrephes Jelly」が公開されています。
A Burst of Deep Sea Fireworks: Halitrephes Jelly | Nautilus Live - YouTube
YouTubeの説明欄に「新年は深海の花火と始まります」という一文が添えられたムービーには、Halitrephes maasiを撮影した場所であるメキシコの「レビジャヒヘド諸島ソコロ島東沖の東沖水深1225メートル」が表示されており、男性の声で「進路をそのまま固定で」、別の男性が「了解」とROVを遠隔操縦しているクルーたちの会話も一緒に収められています。
神秘的なBGMが流れながら「これは近づくする価値がある。準備しろ」と男性クルーが言い、ROVがHalitrephes maasiに近づいて行きます。
「このクラゲはすごい」「美しいクラゲだ」とクルーたちの口々からこぼれます。
女性クルーの口からは「花火みたい」という言葉も。男性クルーは「知られているものより大きく成長している」「ROVのライトを反射しているように見える」と口々に印象を語っています。
「すぐに見失ってしまうぞ」Halitrephes maasiのフリルが付いたような触手が海流に合わせて優雅に流れて行きます。
「ちょっと距離を取ろう、後退しながらワイドに……ズームして……」別の男性クルーが「OK」と答えます。
クルーの会話からは、1909年にメキシコで発見されたっきりという貴重な生物を発見した、少し慌ただしい雰囲気が伝わってきます。ムービーの最後は、画面の左の方へとHalitrephes maasiが泳いでいくシーンで終わっています。
Halitrephes maasiはテングクラゲ科に属しているクラゲと思われ、ムービーの詳細によるとゼリー状の傘から透けて見える星形の管の束は栄養素が移動する放射管。体の全体は紫やピンク色に光っているように見えますが、ROVのライトを消すと真っ暗になり、自分で発光しているわけではないことがわかったとのことです。
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