サイエンス

わずか2世代で新しい種に「進化」した鳥がガラパゴス諸島には生息する


東太平洋の赤道直下に位置するガラパゴス諸島の離れ島には、研究者から「ビッグバード」と呼ばれる鳥が生息しています。プリンストン大学とウプサラ大学の研究者たちがこのビッグバードについて数十年にもわたる追跡調査を行い、「ビッグバードはわずか2世代で新しい種に進化した」という研究結果を学術誌のScienceで発表しています。

Rapid hybrid speciation in Darwin’s finches | Science
http://science.sciencemag.org/content/early/2017/11/20/science.aao4593


Galapagos study finds that new species can develop in as little as two generations
https://phys.org/news/2017-11-galapagos-species.html

Researchers Say New Species Are Evolving at an Unbelievable Rate
https://futurism.com/new-species-evolving-unbelievable-rate/

新しい種として誕生したとされる「ビッグバード」と呼ばれる鳥は、ダーウィンフィンチ類に属する種から派生したと思われる小型の鳥です。ガラパゴス諸島は大陸と陸続きになったことのない土地であり、独自の生態系を育んでいるため、研究者の多くがこの土地に住むさまざまな種類の動物たちがどのような進化を果たすのかを調査しています。ローズマリー・グラント氏とピーター・グラント氏もそんなガラパゴス諸島の生態系を観察してきた研究者で、2人はなんと過去40年間にわたって島で生物の観察を続けてきたそうです。

「この研究の新規性は、我々が野性で誕生した新種の動物を追跡調査できるという点です。ダフネ・メジャー(ガラパゴス諸島の小島)での研究では、異なる種の2頭の鳥によるいわゆる異種交配を観察し、その後どのように新しい種の誕生が起きたのかを調べました」と、進化生物学の名誉教授であるローズマリー氏は語っています。

グラント夫婦が調査の中で見つけた、新種の鳥「ビッグバード」


1981年、グラント夫婦が教授を務める大学の院生のひとりが、ダフネ・メジャーに生息する鳥よりも大きな体とくちばしを持ち、異なる歌を歌う雄鳥の存在に気付きました。血液とDNAのサンプルから、この鳥はダフネ・メジャーから100km以上離れたエスパニョーラ島に生息するオオサボテンフィンチという種の鳥であることが判明。その後、長距離の飛行を苦手とするオオサボテンフィンチは自分の住んでいた島に帰れなくなってしまったため、ダフネ・メジャーに生息するガラパゴスフィンチと交配します。その結果、新種の「ビッグバード」が誕生したというわけです。

ガラパゴスフィンチ

by putneymark

オオサボテンフィンチ

by putneymark

今回観察されたような急速な進化は、生殖環境が完全に隔離された状態であったため起きたものであり、2つの異なる種が異種交配したことによる成果である、と研究者は記しています。これまでは新しい種が誕生するには非常に長い時間がかかると考えられていましたが、ガラパゴス諸島のような独特の環境下では、ビッグバードのようにごくわずかな年月で新種の生物が誕生する可能性があることを示しており、生物の進化について調べる上で目の離せない事例となりそうです。

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in サイエンス,   生き物, Posted by logu_ii

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