「Uberドライバーは儲かる」と感じるのは自家用車の維持コストを考慮していないからに過ぎない


ドットコムバブルに沸くIT業界のエンジニアを30代半ばで早々リタイヤし、余生をブロガーとして謳歌するMr. Money Mustache(MMM)氏が、配車サービスUberのドライバー実体験から、Uberドライバーが感じている「稼げる」という感覚は自動車のガソリン代やメンテナンス費用などの「維持・管理コスト」を考慮していないだけの幻だとブログで発表しています。

Mr. Money Mustache, UBER Driver
http://www.mrmoneymustache.com/2017/11/22/mr-money-mustache-uber-driver/

2年前に空港からUberを利用したMMM氏は、空港に自家用車を乗り付けて駐車代金を払う費用よりもUber代金の方がはるかに安いことに感銘を受けました。それ以降、従来ならばレンタカーを借りていたであろう90%のケースでUberやLyftなどの配車サービスを利用するようになったMMM氏でしたが、ドライバーからは「本当に儲かっているんだ」という話を聞くことが多かったそうです。

以下はその会話の一例。

Uberドライバー:
「稼ぎは良好さ。良い日には100ドル(約1万1000円)は稼げるし、遅くまで熱心に働いたなら200ドル(約2万2000円)稼げることさえあるよ」

MMM:
「それって、自動車の運転コストを引いた後の利益?」

Uberドライバー:
「いいや。ガソリン代は含まれてないよ。だけど、満タンだったとしても30ドル(約3400円)くらいなもんさ」

数字に強いMMM氏は、「この運転手が30ドルのガソリン代を払うなら250マイル(約400キロメートル)は走っただろう。仮に250マイル走れば自動車のメンテナンスなどの費用は125ドル(約1万4000円)かかるはずなので、結局多くても1日に50ドル(約5600円)程度の利益しか出ず、時給にすれば5ドル(約560円)程度なんじゃないか?」とはじき出しました。

振り返って考えると空港からよく利用するUberは、V8エンジン搭載のダッジ・ピックアップやハマーH3などの燃費の悪い車もちらほらいたとのこと。彼らは自分の自動車を運転するのに必要な「経費」についてまったく無知なのではないかとMMM氏は感じたそうです。好奇心旺盛なMMM氏は、ならばUberで本当に稼げるのかどうかモノは試しと、Uberドライバーの求人に応募してみることにしました。


友人の紹介コードを利用してUberシステムに新規IDを登録したMMM氏は、求人の指示通りに背景チェック、健康診断、自家用車の安全性検査などの面倒な作業を行い、「Greenlight Centers」と呼ばれる施設に、自家用車の日産リーフで向かいました。Greenlight Centersに到着すると、Uberドライバーになることを希望する応募者が待機しており、実験のためにUberドライバーになろうとしている自分を省みると少々、居心地が悪かったとのこと。待機室のそばの小さなカフェでコーヒーを注文したMMM氏は3.85ドル(約430円)の代金を支払い、かつて勤めていたIT企業ではコーヒーや軽食がすべて無料だったことを懐かしんだそうです。


手続き完了後、Uberコンシェルジュから「これでおしまい。外に出て車に乗ってすぐにお金を稼げますよ!」と祝福されたMMM氏でしたが、IT業界を離れて「おいしい」仕事だけをつまみ食いする生活をするMMM氏にとって、オフィスに来るのに費やした往復80マイル(約130キロメートル)分の燃料代(正確には電気代)と貴重な火曜日の午前中の3時間を無駄にしたと感じたとのこと。

ついにUberドライバーになったMMM氏は早速、洗車をしてフロントガラスにUberステッカーを貼り付けて、ダッシュボードに取り付けたスマートフォンのアプリを起動させて配車サービスの提供を開始。わずか5分後に「ジョン」さんからのリクエストがあったそうです。なお、Uberアプリはデフォルト状態で乗客のリクエストの通知音量がMAXの状態で驚かされたとのこと。


「受け入れボタン」をスライドさせて向かい、ジョンをピックアップすることに成功。しかし、わずか1.9マイル(約3キロメートル)離れたマリファナショップ前でジョンは降車。

乗車1:5分間の待機、5分間の運転、1.2マイル(無賃)の移動、1.9マイル(Uber収入あり)で、ネット収益(実利益)は3.37ドル(約370円)也

短い移動距離にがっかりしたMMM氏は、そのまま付近で待機することに。案の定、15分後、Uberアプリが再びアラートを通知すると、ジョンからのリクエスト。しかも、今回は気分が良くなったのかどうかは不明ですが乗車運賃の3.37ドル(約370円)に対して5ドル(約560円)のチップ付き。

乗車2:15分間の待機、5分間の移動(無賃)、1.9マイルの移動(Uber収入あり)、チップ5ドルで、ネット収益は8.37ドル(約930円)也

次のお客さんは若いカップルでGPS不具合で居場所の特定ができず、アプリのメッセージ機能を使って探し出しました。レストランまでの移動距離は12.4マイル(約20キロメートル)。

乗車3:10分間の待機、4マイル(無賃)の移動、112.4マイル(Uber収入あり)で、ネット収益は13.96ドル(約1600円)也

その後、夜間に繁華街周辺に移動したMMM氏は、配車サービスの利用客が圧倒的に多い「サージモード」であることに気づきました。空き時間を作ることなく、すぐに客を得ることができ収益性は20~30%アップの状態。ただし、ここには落とし穴があり、都心部の交通量は多いため信号待ちや渋滞にはまることが多く、思うようには稼げなかったそうです。自転車の3分の1の速度で渋滞を脱したMMM氏が得たのはわずか5ドル(約560円)の運賃で、都心部ではなく郊外を重点的に攻める決意を固めています。

ということで、Uberドライバー初日の成果は以下の通り。4組の客を拾ってチップも含めて32ドル(約3600円)稼ぎましたが、自動車の維持・管理コストは最大18ドル(約2000円)で、時間あたりの実質賃金は約7ドル(780円)という、散々な結果になりました。


その後、Lyftにも登録したMMM氏は、UberとLyftでの稼ぎを数カ月間にわたって調査しました。ちなみにUberの応募時に準備した「面倒な作業」はすべてLyftに流用可能だったため、Uber登録ドライバーはLyftに登録する手間はほとんどないそうです。

13歳の少女を中学校前で乗せて、途中に小学校で妹を乗せて自宅まで無事に送り届けるという興味深い体験をしたり、想像以上に客と名刺交換やメールアドレス交換する機会が多いことや、場合によっては友だち作りやロマンスを求めてUberドライバーをする価値があることなどを発見したりして、非常に楽しい時間を過ごせたMMM氏でしたが、結論から言えば全然稼ぐことができなかったそうです。MMM氏にとって、「Uberドライバーは稼げるのか?」という実験を継続することは困難だったとのこと。

自動車にかかるコストを計算に入れると決して稼ぎが良いとは言えないUberのドライバーですが、MMM氏は稼ぎを最大化するための良策として以下のようなアドバイスをしています。

・ボーナスシステムの活用
他のドライバーをUberに紹介することで得られる紹介料は高く、300~500ドル(約3万300円から5万6000円)のボーナスがアプリ経由で与えられるので、これを活用するのは賢い手段だとのこと。ただし、身元保証をさせられることを考えると、紹介する人は吟味する必要があります。

・燃費の良い車を選ぶこと
車の維持・管理コストに占める燃料代は大きいため、なるべく燃費の良い自動車を選ぶ必要があります。なお、Uberは製造から10年未満の比較的新しい自動車であることを要求するので、2009年式のプリウスなどがオススメです。

・サージプライシングを最大限に使う
数カ月かけてUberやLyftのドライバーをしたMMM氏は、いつ、どこで配車サービスの需要が高いのかについてなんとなく理解できたそうです。週末の深夜やスポーツイベント開催日など、見込み客が多い時間を集中的に狙うと収益性は高まります。

・高速道路を利用する優良客
Uberなどの配車サービスのほとんどが、賃走距離に応じて支払いがされる仕組みです。つまり、6Mph(時速約10キロメートル)よりも60Mph(時速100キロメートル)で走行すれば収益性は単純計算で10倍になるというわけです。そこで、高速道路などの長距離路線でのサービス提供を狙うのがよく、そのために目的地設定などのフィルタリング機能を活用するとよいとのこと。

・停止時間の有効活用
客待ちの時間は収益を生むどころか、場合によっては燃料コストが必要な経費になりかねません。そこで、客待ちの停止時間を読書、ノートPCでの作業、ビジネス関連の通話などに利用することをMMM氏はオススメしています。なお、MMM氏は待機時間はUberドライバーをするよりも効率的なビジネスを学ぶ絶好の機会だと、身もふたもないアドバイスをしています。

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