地球温暖化の影響で鳥も小さくなっている
以前GIGAZINEでは温暖化の影響で年々体高も体重も小さくなっていくヒツジについてお伝えしましたが、オーストラリア国立大学の調査により鳥もサイズが小さくなっていることが明らかになりました。これもまた温暖化が原因だと考えられているそうです。
詳細は以下から。Global warming causing birds to shrink - Telegraph
Proceedings of the Royal Society Bに発表されたオーストラリア国立大学のJanet Gardner博士らによる研究で、オーストラリアに生息する8種の鳥において、過去一世紀で約2~4%体が小さくなっていることが明らかになりました。原因は地球温暖化だと考えられています。
もともと赤道に近いところに生息する鳥ほど体が小さく、高緯度に生息する鳥ほど大型な傾向(ベルクマンの法則)があります。恒温動物の体内での熱生産量は体重に比例し、放熱量は体表面積に比例します。したがって温暖な地域では放熱を十分に行う必要があるから小型(体重当たりの体表面積が大きい)であるほうがよく、寒冷な地域では放熱を抑える必要があるから大型(体重当たりの体表面積が小さい)のほうが有利となります。この法則に従い、温暖化の影響で高緯度の鳥も小型化してきているということのようです。
「わたしたちの調査結果は、分布地域にもとづく鳥の大きさが変わってきていることを示す初めてのものです。今のシドニーの鳥は、昔なら緯度にして7度赤道に近いブリスベンで見られた大きさとなっています」と語るGardner博士。
今回の研究では1860年から2001年にかけての約140年間に採集された517羽の標本を調査し、鳥の体の大きさの指標となる羽根の長さが1.8%~3.6%短くなっていることが確認されました。
小型化が最も顕著だったのはムナグロオーストラリアムシクイで、その次がYellow-rumped Thornbill(コモントゲハシムシクイ)だったそうです。Gardner博士によると環境の変化による栄養摂取の変化が小型化につながったという証拠は見られなかったとのこと。
ムナグロオーストラリアムシクイ
コモントゲハシムシクイ
興味深いことに、今回判明した鳥の小型化はショウジョウバエ科の数種に見られる小型化現象にそっくりだったそうです。ショウジョウバエは鳥の餌ともなります。
「高緯度(南極に近い方)の地域に生息するショウジョウバが、20年前にもっと北(赤道に近い方)に生息していたショウジョウバエの遺伝子構成を持つようになっています。地球温暖化を考えると、理にかなったことです」とGardner博士は語っています。
今回の研究結果は最近発表されたソアイヒツジが過去24年間に5%小型化しているという調査結果や魚の平均重量が過去20~30年間に半分も減っているという報告などと合わせ、温暖化が動物界に重大な影響を及ぼす可能性があるという科学者たちの見方を裏付けるものとなっています。
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