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広告ブロック用フィルタに追加されたドメインがDMCA侵害申し立てで削除される


2014年時点でネットユーザー全体の5%が利用しているという「Adblock Plus」や、Adblockよりも軽く動作する「µBlock」など、広告をブロックする拡張機能やアプリはいくつも存在します。しかし、その力の支えとなっているのは機能やアプリそのものではなく、どれが広告なのか判断しているフィルターです。特に広く使われているフィルターとして「EasyList」がありますが、登録された1件のドメインを巡り、ちょっとややこしい事態が発生していました。

Ad blocking is under attack
https://blog.adguard.com/en/ad-blocking-is-under-attack/


DMCA, Easylist, Adblock, Copyright Access Control & Admiral: 10 Things to Know
https://blog.getadmiral.com/dmca-easylist-adblock-copyright-access-control-admiral-10-things-to-know/


発端は日本時間2017年7月9日14時53分、EasyList制作者の1人であるFanboynz氏(ユーザーID:ryanbr)がGitHubで行った更新でした。更新内容は、easylist_adservers.txtへの「functionalclam.com^$third-party」の追加と、「easylist_specific_hide.txt」への「mathwarehouse.com##a[href*="?affiliateid="]」の追加という2つで、問題となったのは「functionalclam.com」です。

A: http://mathwarehouse.com/ (Reported, uBlockOrigin/uAssets@3fafc36)
https://github.com/easylist/easylist/commit/1ba8d4afeec6d562a5871fc7504c756e4b2bd5bc


この更新に対して7月18日22時57分、dmcahelperを名乗るユーザーが、「追加された内容は『著作権のアクセスコントロール回避』にあたると報告されています。ファイルかリポジトリを削除してください。GitHubのDMCA削除方針はリンク先を参考にしてください」とコメントを行います。しかし、Fanboynz氏は「GitHubが我々と直接連絡を取るのであれば、新規作成したアカウントは使わないでしょう」と返答しました。dmcahelper氏のアカウントはコメントをしたその日、2017年7月18日作成だったためです。プロフィールなどを見ても、dmcahelper氏がGitHubやその他組織に所属することを示すものはなにもありませんでした。

しかし、このときは突っぱねた形のFanboynz氏ですが、2017年8月10日6時6分になって「functionalclam.com^$third-party」をeasylist_adservers.txtから削除することになります。理由は当該ドメインが対「広告ブロック」回避に利用されていたことによる、DMCA侵害申し立てでした。削除を受け入れたFanboynz氏はGitHubのコメントで、同種の目的に利用されているドメインであればDMCA侵害申し立てがなくても削除されるべきであると語り、こうしたドメインの存在がEasyListへのフィルター追加が限定的になってきている理由であることを明かしました。

M: Removed due to DMCA takedown request · easylist/easylist@a4d380a · GitHub
https://github.com/easylist/easylist/commit/a4d380ad1a3b33a0fab679a1a8c5a791321622b3


実は「dmcahelper」というアカウントは、広告収入を回復するシステムを提供している企業・Admiralのものだったらしいことが、2017年8月11日付けのAdmiralのブログで明らかになりました。

Admiralが明かしたところによると、「functionalclam.com」は広告サーバーに用いられているドメインではなく、Admiralの提供するDMCA著作権アクセスコントロールプラットフォームとして提供されているもの。Adblock PlusやEasyListとは、2016年のうちに直接連絡を取り合って情報共有していたのですが、今回のEasyListへのドメイン登録があって、削除するよう依頼したものの「GitHub公式ではないから……」という反応だったため、GitHubのDMCA削除方針に則って正式に依頼を出し削除をしてもらった、という経緯だったそうです。


広告ブロックへの対抗策として、GoogleやAmazonはAdblock Plusにお金を払って広告を表示させていることが明らかになっていますが、このAdmiralの手法が新たな対抗策となるのかもしれません。

一方で、これを「広告ブロックへの『攻撃』だ」と表現しているのが、広告ブロックアプリを提供しているAdguard。広告をブロックできなくなってしまえばアプリの意味がなくなるので危機感を抱くのは当然のことです。

「広告ブロック」と「対・広告ブロック」のいたちごっこは、ひょっとすると、この事例が分水嶺となるかもしれません。

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in ソフトウェア, Posted by logc_nt

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