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エリート校は裕福な学生だらけ、貧しさの連鎖は続いている


貧しい家庭に生まれただけで、学力や将来の収入や健康状態で不利になる」というショッキングな研究結果が発表されているとおり、貧しさは親から子へと連鎖すると言われています。アメリカの大学に通う学生3000万人の家庭収入を調べた大規模な調査で、「名門」と呼ばれるいわゆるエリート校には裕福な生徒が集中している実態が明らかになっています。

The Equality of Opportunity Project
http://www.equality-of-opportunity.org/

Some Colleges Have More Students From the Top 1 Percent Than the Bottom 60. Find Yours. - The New York Times
https://www.nytimes.com/interactive/2017/01/18/upshot/some-colleges-have-more-students-from-the-top-1-percent-than-the-bottom-60.html

スタンフォード大学のラジ・チェティ教授らの研究チームは、1980年から1991年にアメリカで生まれた約3000万人の学生を追跡調査して、学生の大学への進学と家庭の所得との関係を調べました。その結果、豊かさと大学進学との間には極めて強い相関関係があることが判明しています。

以下の図は、左が所得上位1%の富裕層の学生、右が所得下位20%の貧しい家庭の学生について、進学者数を図示したもの。注意すべき点として、日本と違ってアメリカの名門大学は私学に多く、一般的に私立大学は公立大学よりも人気があり、いわゆるエリートは私立大学を目指すという特徴があります。下の図では水色が私立大学に進学した学生、オレンジ色が公立大学に進学した学生、赤色が大学に進学していない学生の数を面積で表しており、富裕層の多くが私立大学に進むのに対して貧しい学生ではごくわずかしか私立大学に進学していないことや、貧しい学生では4割以上が大学に進学していないことがわかります。


上位1%の富裕層と下位60%の貧困層・中間層とでは、人口比が大きく異なるにもかかわらず、中には富裕層の学生の方が、貧困層・中間層の学生よりも人数が多い大学が38校もあったとのこと。裕福層の学生と貧困層・中間層の学生の割合の差が最も大きかったのはワシントン大学セントルイス校。富裕層の学生が全体の約5分の1を占め、貧困層・中間層の学生はわずか6.1%しかいません。富裕層の学生の方が貧困層・中間層の学生よりも人数が多い大学の中には、ダートマス大学、プリンストン大学、イェール大学、ペンシルバニア大学、ブラウン大学の5つのアイビー・リーグが含まれています。


名門大学に進学するのは富裕層の学生ばかりであることを露骨に示すのが以下の所得別の進学先の割合を示すグラフ。「Ivy plus」(アイビー・リーグ以上)の名門校は所得上位0.1%の富裕層の学生が最も多く、以下、所得上位1%、5%、10%と所得が下がるにつれてIvy plusやEliteといういわゆるエリート校の学生の割合は低下しています。


また、エリート校に占める割合は、所得下位10%、20%の学生は5%を下回るのに対して上位1%の学生は近年10%を上回ります。そして、エリート校における所得上位1%の学生の占める割合は近年増え続けており、所得格差の広がりがエリート校の学生の割合にも現れていることが確認できます。


しかし、エリート校のなかにも中間・貧困層の割合が比較的高い大学もあります。所得が下位40%の学生の割合が最も高いのはカリフォルニア大学・ロサンゼルス校で割合は19.2%。


学生の卒業後の収入と家庭の所得を示すのが、1980年から1982年に生まれた現時点で35歳前後の学生を追跡調査して得た以下のグラフ。縦軸が学生の収入ランク、横軸が家庭の所得ランクで、赤色がIvy plusの学生、青色がすべての学生を示しています。このグラフからは、家庭の所得が低くてもアイビー・リーグに通う学生は収入ランクが75と、将来高い所得を得やすいということと同時に、すべてのグラフが右肩上がりであることから、大学のランクや進学の有無を問わず家庭の所得が高いほど将来得る収入が高くなること、すなわち「富める者は裕福になりやすく、貧しい者は貧しくなりやすい」ことを示しています。


なお、低い所得の家庭出身でありながら将来高い所得を得る「成り上がり」型の学生が多い大学も判明しています。所得下位40%の家庭の学生で、卒業後、上位40%の所得を手にすることになった学生の割合が最も高いのはヴォーン航空技術大学。このランキングに入っている大学は、貧しい環境から豊かになった人を多く輩出していることから、富の再配分や流動性に寄与していると言えそうです。


・おまけ
アメリカとは違って優秀な学生が国公立大学を目指しやすい日本ですが、東京大学の学生の半数以上の家庭が所得950万円以上というデータもあり、日本でもエリート校には裕福な学生が多いという傾向がありそうです。

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