ゼブラフィッシュに代わる実験動物としてコンピュータ上で再現したゼブラフィッシュの3Dモデルが登場
小型魚のゼブラフィッシュは年間2000万匹が脊椎動物のモデル実験動物としてさまざまな研究に利用されています。しかし、実験に用いられる動物の数を減らせるのではないかということで、ニューヨーク大学タンドン工科校がコンピュータープログラムの3D空間でゼブラフィッシュの動きを再現する仕組みを開発しました。
In-silico experiments of zebrafish behaviour: modeling swimming in three dimensions : Scientific Reports
http://www.nature.com/articles/srep39877
Swimming for Science | NYU Tandon School of Engineering
http://engineering.nyu.edu/press-releases/2017/01/12/swimming-science
研究グループは2015年に最初のゼブラフィッシュの2Dモデルを作成。その後、2017年の段階では速度調整や壁との相互作用、個体ごとの泳ぎ方の違いなどまでが反映された3Dモデルが登場しています。これらの改良により、コンピューター内の「ゼブラフィッシュモデル」を用いて、様々な動物実験が行えるようになるとのこと。
実験動物として利用されるゼブラフィッシュ(実物)
このゼブラフィッシュモデルで前臨床病期の研究を進める予定だと語ったのは、グループの一員であるMaurizio Porfiri氏。ちなみに、ゼブラフィッシュを入れた水槽の大きさと泳ぐスピードについて、研究グループでは相関性があると考えています。もしこれを本物のゼブラフィッシュを使って検証するのであれば、膨大な数のゼブラフィッシュが必要となるところですが、ゼブラフィッシュモデルであればシミュレーション用の計算時間さえかければ数を増やすことは容易です。
ただ、現時点ではまだゼブラフィッシュの動きを「完全再現」しているとはいえず、より正確なモデルを準備しているとのこと。
Porfiri氏は、ゼブラフィッシュモデルを利用することですべての動物実験を代替できるわけではないものの、動物を用いた実験の数は減らせるのではないかと語っています。
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