動画

ハリウッド映画は中国の影響でどのように変化したか?


ここ数年のハリウッド映画では、これまでに比べて中国の存在感が大きくなっていることを感じます。これは気のせいでも何でもなく、中国市場が2017年には世界最大になるという流れを受けてのもの。また、中国で映画を公開するために、いろいろな策を講じる必要もあるようです。

How China is changing Hollywood - YouTube


著名な事例の1つが映画「トランスフォーマー/ロストエイジ」です。例えば、香港で敵戦闘員との戦いに助太刀してくれる男を演じたのはボクサーの鄒市明です。


この作品では、実在の製品・サービスを作品中に登場させる「プロダクト・プレイスメント」が多用されました。たとえば大手乳製品メーカー・伊利集団の牛乳や……


テキサスの砂漠に置かれた中国建設銀行のATMなどです。


中国では「中流階級」が増加中で、2020年には4億7200万人にも上るとみられます。


消費対象の1つが映画。これまで映画大国といえばアメリカでしたが、2017年には中国の映画市場はアメリカの市場を上回る規模になるとみられています。


また、2016年に中国では1日27スクリーンというペースで映画館が増加。11月にはスクリーンの総数は4万を突破し、こちらもアメリカの数を追い抜きました。こうなってくると、ハリウッドの映画制作者たちは当然、いかにして中国市場へアプローチするかを考えるようになります。


たとえば「トランスフォーマー/ロストエイジ」は全世界興行収入が10億ドル(約1130億円)というヒット作になりました。


内訳を見てみると、北米での興行収入は2億4543万ドル(約280億円)。


中国ではそれを上回る3億2000万ドル(約360億円)を稼ぎ出しました。


問題は、中国では政府が上映する海外映画の数を決めているということ。また、政府の検閲を通過する必要があります。


1990年以前、中国の観客にまで届けられたハリウッド映画はわずかでした。その一例が1982年の「ランボー」


1970年の「ある愛の詩」


1953年の「ローマの休日」


1960年の「スパルタカス」


残りの大多数は、中国製のプロパガンダ映画が上映されていました。たとえば、1970年の「智取威虎山」。


そして1961年の「红色娘子军(紅色孃子軍)」。


しかし、この戦略は失敗。1979年には239億枚売れていたチケットが……


1993年には95億枚にまで落ち込みました。


そこで1994年に海外新作映画が上映できるよう変革が行われました。その第1弾が「逃亡者」。このとき、映画館の外ではチケットを2倍の価格で売るダフ屋が出ていたそうです。


1994年に公開された海外映画は10本。


2001年に20本まで増やされ、2012年には34本になりました。


アメリカ映画を中国で上映するには3つの方法があります。


1つはレベニューシェア、もう1つは共同制作、最後は定額制です。


もっともポピュラーなのがレベニューシェアで、この場合のスタジオの取り分は25%です。


しかし1年間に公開できる作品の数は34本。


この34本に選ばれるために、ここ10年、アメリカ映画は戦略的に中国要素を映画に取り入れてきました。


たとえば、2012年公開の「レッド・ドーン(Red Dawn)」は1984年に公開された「若き勇者たち」のリメイク映画です。


もともとはソ連を中心とした共産圏の軍隊が攻めてくるという作品で、リメイクに当たってソ連を中国に変更して制作が行われていましたが、「中国向け戦略」のため、敵が北朝鮮に変更され、再編集が行われました。


ほかに「2012」「ワールド・ウォーZ」「オデッセイ」「ハリー・ポッター」で中国の扱いが向上しています。


34本制限をかいくぐるべく、ほかの手法を採る作品もありますが、「定額制」はほとんど用いられません。


なぜなら、スタジオに入るのは最初のフィルム代だけで、興行収入はすべて中国側に入ってしまうためです。


残る選択肢は、中国資本との共同制作です。


これはこれでいろいろと厳しい条件がつきます。たとえば、上海など中国国内で撮影したシーンを入れること、金銭面の条件などなど。


そして「トランスフォーマー/ロストエイジ」のように中国人俳優を起用すること、です。


かつ、中国は映画の中で大きな役割を果たす必要があり、悪役ではいけません。


「LOOPER/ルーパー」の場合、映画公開前に制作会社が中国のメディアグループ・DMGと提携。


作中で、主人公が上海にいるシーンが出てきます。


しかし、このシーンは脚本ではパリにいる部分が変更されたものでした。


上海でのシーンはかなり長かったため、国際版ではカットされました。つまり、中国公開版では上海でのシーンが15分多く含まれています。


これが中国での興行収入を作られた国で分けたもの。赤で示された中国・香港製が上位に入ってきています。


ハリウッドからすればうまくやっていきたいマーケットである中国ですが、一方の中国は単なるマーケットに甘んじるつもりはなく、自分たちの「ハリウッド」を作ろうとしています。


巨額の投資を受けてさらに伸びていく中国とハリウッドの関係は、これからどうなっていくのか……。

・関連記事
世界の映画の中心地であるハリウッドで働く人たちの給料は一体どれくらいなのか? - GIGAZINE

中国語を喋る紳士な宇宙人が地球にやってくる映画「宇宙人王さんとの遭遇」予告編 - GIGAZINE

「20年ぶりにヤツらが戻ってくる」2016年公開の映画インデペンデンス・デイ続編の正式予告編が公開 - GIGAZINE

あの「ソードアート・オンライン」がハリウッドで実写ドラマ化、「アバター」の脚本家が担当する見込み - GIGAZINE

ハローキティがハリウッドで映画化、制作費200億円超の超大作になる見込み - GIGAZINE

「マルドゥック・スクランブル」がハリウッドで実写映画化へ、「時砂の王」も - GIGAZINE

ハリウッド超大作映画のプロデューサーは一体何をしているのか、「アバター」プロデューサーのジョン・ランドーに聞いてみた - GIGAZINE

in 動画,   映画, Posted by logq_fa