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クリントン陣営が選挙運動のデータ分析に使っていた「Ada」アルゴリズムが敗北の原因か?

by Kristopher Harris

世論調査では優勢だったヒラリー・クリントン氏がなぜ選挙戦で負けたのか?ということについては、さまざまな分析がなされています。クリントン氏は選挙戦においてデータ分析を重視していたのですが、このとき分析に使われていたのが「Ada(エイダ)」によるアルゴリズム。Adaとは何なのか、なぜ正しい分析を出せなかったのかについて、The Washington Postが考察しています。

Clinton’s data-driven campaign relied heavily on an algorithm named Ada. What didn’t she see? - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/news/post-politics/wp/2016/11/09/clintons-data-driven-campaign-relied-heavily-on-an-algorithm-named-ada-what-didnt-she-see/


Hillary Clinton’s Powerful Concession - The New Yorker
http://www.newyorker.com/news/benjamin-wallace-wells/hillary-clintons-powerful-concession

19世紀、数学者のチャールズ・バベッジが機械式汎用コンピューターである解析機関を開発しましたが、イタリア語であったバベッジの講演を英語に翻訳し訳注を付けたのが、詩人・バイロンの一人娘であり数学愛好家だったエイダ・ラブレスです。ラブレスの文章はバベッジ自身も気づかなかった解析機関の可能性について言及しており、コンピューターの発展に大きく寄与しました。しかし、ラブレス自身の歴史的重要性は見落とされがちでした。このため、1980年にアメリカ国防総省は新しいプログラミング言語に彼女の名を取って「Ada(エイダ)」と名付けました。

Adaは信頼性・保守性に優れたプログラミング言語です。クリントン陣営がAdaによって書かれたアルゴリズムを「Ada」と呼んでいるためか、The Washington PostとThe New Yorkerではクリントン陣営が使っているアルゴリズムを「Ada」として紹介しているので、ここではクリントン陣営が使っていたアルゴリズムを「Adaアルゴリズム」として、どのように活用されていたのかを説明します。


クリントン氏の選挙活動はデータ分析に基づいて行われていましたが、補佐官はAdaアルゴリズムを特に重要視していました。クリントン氏がいつ・どこで演説を行うのか、どこでテレビCMを流すべきかや、ビヨンセやジェイ・Zが行ったクリントン氏支援のコンサートなど、あらゆる決定でAdaアルゴリズムが使用されたとのこと。そして、この時アルゴリズムはセキュリティに万全を期すため異なる複数のサーバーによって運用され、アクセスできるのは上級補佐官だけでした。

公的・私的なものを含め、多数の世論の数字やデータがAdaアルゴリズムに与えられました。これらのデータからAdaアルゴリズムは、「対トランプとの選挙戦がどのようになっているのか」について1日あたり40万ものシミュレーションを出しました。選挙事務長のロビー・ムック氏に手渡された、「どの激戦区が危ういのか」「どこにリソースや時間を割くべきなのか」という資料もAdaアルゴリズムがはじきだしたものです。

by jalexartis

選挙に分析論を用いることは決して新しいことではありません。しかし、クリントン陣営が行っていた分析は、2008年・2012年の大統領選でオバマ大統領やロムニー氏がやってきた分析より複雑なものだったと言えます。では、なぜクリントン氏は敗北したのでしょうか。

例えば、Adaアルゴリズムの分析は早くからペンシルベニア州が非常に重要になってくることを示していたため、クリントン氏はペンシルベニア州を頻繁に訪れ、7日(月)に行われた最後の集会の1つにもペンシルベニア州を選んでいます。このように、Adaアルゴリズムの分析は正しい部分もあったのですが、一方で他の州に関しては重要性が示されなかったり、示されるのが遅すぎたという問題が生じました。激戦となったミシガン州については、クリントン氏は選挙直前に行われた最後の集会で初めて訪れたとのこと。

政界の多くがそうであったように、Adaアルゴリズムはラストベルトに位置する田舎の投票者を過小評価しすぎたのです。未来を予想することは人間にとってもコンピュータにとっても困難であることには変わりなく、現在論争の的となっている多くの法律や政治的な物事は、データに頼りすぎている可能性があると、The Washington Postは示唆しています。

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in ソフトウェア, Posted by logq_fa

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