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ケニアの女子高生が優れたアイデアからアプリを開発できた理由とは?

By ThoroughlyReviewed

エンジニアといえば女性よりも男性のイメージが強いかもしれません。これは単純に「エンジニアには男性の方が多い」というところからきたイメージと思われますが、実際にIT企業のエンジニアの男女比をみると大きな差があることがわかります。しかし、世界中に女性のエンジニアは存在しており、アフリカのケニアでも若い女子高生が優れたアプリを開発しています。

Kenyan girls who code: Mentors spur African tech innovations - BBC News
http://www.bbc.com/news/world-africa-37489006

16歳の少女であるハリエット・カランジャさんはケニアの首都であるナイロビ行きのバスのチケットを購入するための列に並んでいました。この時、チケットを購入してバスを待っていた人がチケットを盗まれるところを目撃したそうです。カランジャさんがこのエピソードをクラスメイトに話したところ、彼女の友達も同じような光景を見たことがあったそうで、これを聞いて「どうにかバスのチケット購入列をなくせないだろうか?」と考えるようになったそうです。


カランジャさんは学校の友達4人と共に、ケニアの携帯電話会社のひとつである「Safaricom」が支援する教育プログラムを用いてバスのチケットを購入するためのアプリを作りました。現在、アプリのプロトタイプがどのように動作するのかを確かめるべく、ケニアを走る長距離バスでのチケット購入テストを行っているそうです。

カランジャさんは「アプリはGPSを駆使し、乗りたいバス停までユーザーを連れて行ってくれます。なので、ユーザーはバス停まで行き、(チケットはアプリで購入済みなので)チケット購入列に並ぶことなくバスに乗り込むことができます」とアプリの機能を説明しています。なお、アプリの名前は「M-Safiri」というもので、これはケニアの公用語であるスワヒリ語で「旅行者」という意味だそうです。


「M-Safiri」を開発したカランジャさん含む5人の少女たちは、アメリカのサンフランシスコで開催された女子学生の技術力を競うコンペティションに参加しました。5人のチーム名は「Snipers」というもので、コンペティションの決勝まで勝ち抜いたそうですが、優勝賞金の1万ドル(約100万円)は惜しくも逃してしまったそうです。なお、優勝はメキシコの女子学生たちが作ったボランティア向けのソーシャルネットワークアプリでした。

国際的なコンペティションで賞を受賞したこと以上に、海外でさまざまな経験をしたことがカランジャさんたちにとっては大きな出来事だったそう。5人は高校を卒業したのち、チームをテクノロジー企業に転換し、アプリの特許取得と正式リリースを目指しています。

チームメイトのひとりであるプリシラ・ワンブイさんは、「私たちはどうやってコードを書くのかや、どうやってビジネスプランを立てるのかをまったく知りませんでした。これらを普通に学ぼうと思えばとても長い期間がかかりますし、そうなっていれば我々にとってはとても大きな問題になっていたでしょう」と、「Safaricom」の支援プログラムがアプリの開発には不可欠だったことを明かしています。


教育支援プログラムを受けて大きな躍進を遂げたのはカランジャさんたちだけではありません。ケニアで教師をしているダマリス・ムテチさんは、Intelの教育支援プログラムでコードの書き方を勉強した人物です。なぜ教師のムテチさんがコードの勉強を始めたのかというと、教え子である17歳の女子高生キャロライン・ワンブイさんが、臓器ドナーと患者や病院を結び付けるためのアイデアを思いついたから。

「ワンブイさんはとても良いアイデアをもっていました。そして、もし私がワンブイさんの手助けをできれば、彼女は他の若い女性にテクノロジー関連のアドバイスなどを行えるようになるのではと思ったのです。そうなれば、それはケニアだけでなく、アフリカ全体にとってコンピューターをどうやって使うのかを学ぶ良い機会になると思ったのです」と、ムテチさんはコードを学習した理由を語っています。


ワンブイさんとムテチさんはタブレットにアプリのプロトタイプを構築し、開発を進めるためのパートナーも見つけています。しかし、アプリをリリースする直前になって障害に直面したそうです。その障害というのは「死後の臓器提供」に関するもので、これが合法か違法かを審査待ちの状態に陥っているとのこと。現在、ケニアでは違法な臓器売買カルテルが暗躍しているのですが、ワンブイさんのアイデアが法律で認められることとなれば、この業界に大きなインパクトを与えることになるだろう、とBBC News。

なお、World Wide Web Foundationによると、ワンブイさんが住んでいるケニアのナイロビにあるスラム街ではインターネットを使用できる女性は全体の20%しかいないそうです。対して、同じ地域に住む男性の57%がインターネットを使用できるそう。こういった格差を改善していくことが、女性の社会進出や優れたアイデアの創出につながるのかもしれません。

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in メモ, Posted by logu_ii

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