動画

SpaceXのロケット「Falcon 9」が大爆発して打ち上げ予定だった人工衛星もろとも破壊、今後の打ち上げにも影響は必至


2016年9月3日(土)の打ち上げに向けて準備が進められていたSpaceXのロケット「Falcon 9」が、打ち上げ準備に伴う地上でのエンジン試験中に突如大爆発を起こしました。ロケットにはFacebookが初めて打ち上げることになっていた人工衛星が搭載されていたのですが、この爆発でロケットもろとも破壊されてしまいました。

How the Falcon 9 explosion may change SpaceX's launch schedule | The Verge
http://www.theverge.com/2016/9/1/12751430/spacex-falcon-9-rocket-explosion-future-delay

Mark Zuckerberg is "deeply disappointed" by explosion that destroyed Facebook's first satellite - ScienceAlert
http://www.sciencealert.com/mark-zuckerberg-is-deeply-disappointed-by-explosion-that-destroyed-facebook-s-first-satellite

実際の爆発の瞬間を収めたムービーがコレ。遠目から見るとまったく何も問題なさそうな打ち上げ準備の様子でしたが、何の前触れもなく大事故が発生しています。

SpaceX - Static Fire Anomaly - AMOS-6 - 09-01-2016 - YouTube


爆発が起こったのは、アメリカ東部標準時の9月1日午前9時7分頃とのこと。日本時間だと9月1日の22時7分頃の出来事です。フロリダ州ケープカナベラルにあるロケット打ち上げ施設「ケープカナベラル空軍基地第40複合発射施設」で、9月3日に打ち上げられる予定だった「AMOS-6」ロケットの準備が行われていた時でした。


このテストは、ロケットを発射台に固定したままエンジンを動かして問題がないかを確認するためのもので、通常のプログラムに沿って進められていたものとのこと。作業は予定通り無人で進められていたため、負傷者などは出ていません。


機体に燃料が注入され、冷却による水蒸気を上げていたFalcon 9。これは至って普通の光景だったのですが……


突如閃光が走ります。


次の瞬間、巨大な火の玉がロケットを覆い尽くしました。


完全に炎に飲み込まれたFalcon 9。


ちょうど赤枠で囲ったあたり、ロケットの先端にはFacebookの人工衛星を収めた第2段ロケットの格納スペースがあったのですが……


ロケットが破壊されたことで、落下。


こちらも大爆発を起こしてしまいました。なお、爆発音は実際の爆発から10秒ほど遅れて聞こえているので、およそ3km離れた場所から撮影されていた模様。


炎は収まりましたが、その後も小爆発を繰り返す発射台。ロケットをサポートするためのタワーは、よく見れば先端が折れ曲がっていることがわかります。


SpaceXでは、事故の原因解明に向けた調査を開始しており、今後何らかの発表があるものと見られますが、原因の存在場所によっては今後の打ち上げスケジュールに深刻な影響を与える可能性も指摘されています。原因が打ち上げ台にあったとすれば、発射台の改修(あるいは建て替え)で原因を排除することが可能になりますが、仮にロケット側に原因があるとすると、設計の見直しが避けられない事態になるため、長期間にわたって打ち上げが中断される可能性が高くなります。

特に、2016年内に9回の打ち上げを予定していたSpaceXにとって打ち上げの延期は大きなダメージになることは必至といえます。また、これによる収益性の悪化も、民間企業であるSpaceXにとっては一定の痛手となることは避けられそうにありません。


今回使用されていたのは、SpaceXがアメリカ空軍からリース契約を結んで貸与されていたケープカナベラル空軍基地第40複合発射施設だったのですが、SpaceXではこれと隣接する第39A複合発射施設(39A)をリースしており、2016年内に打ち上げ予定の大型ロケット「Falcon Heavy」に使う予定をしていたとのこと。39AをFalcon 9向けに改修して使用することも可能ではあるようですが、SpaceXによると改修には2016年いっぱいまで時間を要するとのこと。そのため、年内のFalcon 9の打ち上げは危機的状況に陥っている状態です。また、Falcon 9を使って2017年に宇宙飛行士を国際宇宙ステーションに送る計画もありましたが、今回の爆発事故を受けて計画が遅れることは避けられそうにない状況。

なお、今回の事故では世界中にネットを提供するためにFacebookが進めているプロジェクト「Internet.org」に用いられる人工衛星が搭載されていました。事故を受け、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは「とてもがっかりした」とコメントを発表しています。

好調な打ち上げや先例のないロケットの地上への帰還を成功させてきたSpaceXですが、やはりロケットや宇宙開発は常に危険と隣り合わせであることを思い直す事故となりました。今後の原因解明と対策、そして打ち上げの再開が待たれます。

SpaceXが事故後初めてロケットの打ち上げに成功、ドローン船に着陸する瞬間のムービーも公開 - GIGAZINE

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
SpaceX「Falcon 9」ロケットがついにドローン船への垂直帰還に成功、その様子を収めたムービーなどまとめ - GIGAZINE

空中で大爆発するSpaceXのFalcon 9ロケット打ち上げ失敗高画質ムービーがYouTubeで公開中 - GIGAZINE

SpaceXのロケット「Falcon 9」の発射・切り離し・再突入などをハイスピードカメラで撮影した迫力映像 - GIGAZINE

Facebookが世界中の50億人をネットに接続させるべく世界のIT企業と組む「Internet.org」とは? - GIGAZINE

無料で使える100枚以上のロケット写真を「SpaceX」がFlickrで公開中 - GIGAZINE

イーロン・マスクのSpaceXはどのように人類を火星に運ぼうとしているのかをムービーで解説 - GIGAZINE

in ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.