センサーからのフィードバック回路やヒートベッドを標準搭載する5万円の3Dプリンター「M3D Pro」
日進月歩で技術が発展していく3Dプリンターの世界では、数年前まで高価格帯モデルにしか搭載されていなかった機能が今では低価格モデルに採用されている、ということがあります。M3Dが開発した3Dプリンター「M3D Pro」は各移動軸に備わったセンサーからのフィードバック機構を搭載し、熱源を内蔵した「ヒートベッド」を搭載しながら約5万円という低価格を実現したモデルとなっています。
M3D Pro: Feature-Packed 3D Printer for Improved Reliability by M3D LLC — Kickstarter
https://www.kickstarter.com/projects/m3d/m3d-pro-feature-packed-3d-printer-for-improved-rel
M3D Proの大きな特長の一つが、全てのモーターに回転をセンシングするセンサーを内蔵しているところ。モーターからの情報をセンシングしてフィードバックする「クローズド・フィードバック回路」をソフトウェアで実装することで、高精度な制御を可能にしているとのこと。3Dプリント時の移動速度は80mm/秒、非印刷時には150mm/秒という高速移動が可能となっています。
また、高精度なプリントを可能にするために欠かせないのが、予熱機構を備えたプリント台「ヒートベッド」ですが、一般的にヒートベッドは高価格モデルに搭載されるもので、廉価版モデルの場合だとオプション扱いとなっていることが多く、その価格も決して安くはないというのがよくある状況とのこと。M3D Proはそんなヒートベッドを標準で搭載しているほか、消費する電力が低く抑えられているのもポイントです。
M3Dによると、一般的なヒートベッドの消費電流は1平方インチ当たり5ワットというのが標準的ですが、M3D Proは同面積当たりでわずか0.6ワットという低い消費電力を実現しているとのこと。
また、ヒートベッド表面が鏡面タイプとなっているのも大きなポイント。スマートフォンなどに用いられるクオリティのガラスを使うことで平面の再現度が高くなり、より品質の高い出力を可能にしています。
さらに、M3D Proのソフトウェアには「チュートリアルモード」が搭載されています。これは、同社が前モデルを販売した際に寄せられた声をフィードバックしたもので、ユーザーは各機能を一つずつ学びながら3Dプリンターの機能や使い方を覚えることが可能になっているとのこと。
M3D Proはスライサーの「Cura」などオープンソフトウェアを活用することで多くの機能を実現しており、さらにコンピューターによる数値制御機能「Gコード」をサポートすることでSimplify3DやOctoprintなど、サードパーティー製のスライサーを容易に活用できるのが特長。また、今後の開発では最大で10台のマルチプリンター機能やネットワーク経由でのプリント機能も実現される予定。
プリント時に使用するフィラメントは、業界標準規格である1.75mm径のサードパーティー製フィラメントを使用可能。また、通常のABSやPLA素材よりも耐久性が高いABS-Rにも対応することで、幅広い用途にも対応可能としています。
M3D Proの主な機能は以下のとおり。プリント可能なオブジェクトのサイズは高さ7.5インチ×幅7インチ×奥行き7インチ(約19×17.8×17.8cm)で、プリントレイヤーの厚みは25~350ミクロン。PCを接続しなくても単体で稼働が可能な「スタンドアローン」モードを備え、ARM製デュアルコアCPUを搭載することで高速かつ安定性の高い稼働を可能にしているとのこと。
また、2年間の保証がついてくるのも高いポイントです。
M3D ProはクラウドファンディングサイトのKickstarterで出資を募集中。目標金額の10万ドル(約1000万円)に対し、約38万ドル(約3800万円)の出資が集まっています。
早期出資優待割引制度であるEarly Birdプランのいくつかはすでに枠が埋まっていますが、499ドル(約5万円)の出資からM3D Proを1台ゲットできるプランに空き枠が残っているほか、以下のようなプランが設定されています。2017年1月から2月にかけて生産初期のモデルを優先的にゲットできる「Early Production tier」は499ドル(約5万円)で、開発最後期になるためソフトウェアに若干の制限が備わる可能性アリ。「Market ready production tier」は市販モデルとなり、出資額は499ドル(約5万円)となります。また、上記2プランよりも早く実機をゲットできる「Early-release tier」は2016年内に出荷されることになりますが、ベータテストへの対応が必要で、それぞれ出資額が100ドルから200ドル(約1万円~2万円)程度アップする内容となっています。
・Early Production tier
(ソフトウェアに若干の制限あり)
2017年1月分:499ドル
2017年2月分:499ドル
・Market ready production tier
(市販状態モデル)
2017年3月分:499ドル
2017年4月分:499ドル
2017年5月分:499ドル
2017年6月分:499ドル
・Early-release tier
(最速プラン・ただしベータテスト対応必要になる可能性あり)
2016年12月分:599ドル (限定的なベータテストあり)
2016年11月分:699ドル (いくつかのベータテストあり)
なお、日本への発送には、75ドル(約7500円)の送料が別途必要。出資の締め切りは日本時間で2016年10月1日(土)22時16分となっています。
M3D Pro: Feature-Packed 3D Printer for Improved Reliability by M3D LLC — Kickstarter
https://www.kickstarter.com/projects/m3d/m3d-pro-feature-packed-3d-printer-for-improved-rel
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