世界最大の旅客機「エアバスA380」の塗装を落として塗り直す一部始終を収めたムービー
機体の前から後ろまで全て2階建て構造である世界最大の旅客機「エアバスA380」は、最大で実に800人以上の乗客を飲み込むことが可能です。間近で見るとその巨大さに圧倒されるA380ですが、その機体を塗装する作業の大変さも普通サイズの機体を上回るもの。そんなA380の塗装をいったん全て落とし、再びピカピカの状態に塗り直す作業の様子を、世界でもっとも多くA380を運行しているエミレーツ航空がタイムラプス映像にまとめて公開しています。
Timelapse Painting of an Airbus A380 | Emirates Airline - YouTube
「エミレーツ航空では、34人の作業員が15日間にわたり、6000マンアワーの工数をかけてA380の塗り直しを実施しています。」
映し出されたのは、巨大なハンガー(格納庫)。ここにA380が運ばれてくるわけですが……
巨大なハンガーにもかかわらず、キツキツの状態で収められるA380の巨体。
ピッタリのサイズに設計されているハンガーにスッポリ収まります。
ハンガーに入ったらさっそく作業を開始。まずは、元の塗装をすべて落とす作業に取りかかります。
ハンガーの天井部分からぶら下がるゴンドラに乗って、塗装を溶かす剥離剤をスプレーで塗布する作業員。どうやら塗装の部位によって剥離剤を使い分けているのか、翼の上面以外は透明のマスキングシートでカバーされています。
地上からの高さがおよそ25メートルという巨大な垂直尾翼にも剥離剤をスプレー。
その後、操縦席のガラスにもマスキングを施し、機体全体に剥離剤を塗布。
徐々に落とされる元の塗装。よく見れば、主翼の上に立って塗装をこそぎ落とす作業員の姿が見えます。
垂直尾翼の塗装も徐々に落とされ……
ほぼ素材むき出しの状態に。もちろん機体に描かれている「Emirates」の文字も完全に落とされます。
塗装が落ちたら、再び最初の段階から塗装を行います。
黄色いサフ(サフェーサー:下地剤)を塗り……
色をのせていきます。キレイな塗装を行うため、エミレーツ航空では何層もの塗装を行っているとのこと。
ガラス部分や塗装を分けたい部分には厳重なマスキングを施しておきます。
サフをどんどんと塗り……
機体全体に下地処理が完了。
そして色を塗装。この巨体の塗装ということで、作業にかかる時間と人数も相当なもの。
機体のベース色の塗装が終わったら、次は別の色をのせるための準備。エミレーツ航空では、7~8年ごとのサイクルでA380の塗装を塗り直す計画を立てているとのこと。
ピッカピカになって、まるでゆで卵のようなA380。
真っ白な機体に、エミレーツのロゴを塗るためのマスキング作業。
同時に、垂直尾翼の塗装も進められます。
ロゴの形にマスキングをくりぬいたら……
ゴールドをどばっと塗装。
マスキングを剥がすと、見事にエミレーツのロゴが姿を表しました。
さらに、クリア塗料をスプレー。エミレーツではA380に7層の塗装を施しており、1機あたり1100kgの塗料を使用するそうです。
窓のマスキングを外すと、すっかり旅客機らしい姿が戻りました。
最後に、搭乗口の横にドバイ国際博覧会のロゴを貼り付けたら作業は完了。
巨大な機体ということで、総塗装面積は3076平方メートル。江戸間の畳に換算すると、およそ2000畳にも達します。
こうして塗装は完了。前輪にトーイングカーが装着されて……
晴れてハンガーから外に出るA380。エミレーツでは、2015年だけで33機の再塗装を実施したとのことです。
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