ゲームの評価を上げるために密かにワーナーがYouTuberに金を払って好評価のゲームプレイレビューをしてもらっていたことが発覚
by Global Panorama
家庭用ゲームやビデオを扱っているワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントが、自社製ゲームの評判を上げるために有名ユーチューバーにこっそりと金を払い、ゲームを高く評価する動画やレビューを投稿するよう依頼していたことが判明しました。連邦取引委員会は「スポンサー付き動画であると明示しないのはルール違反」としてワーナー・ブラザースを厳重に注意しています。
Warner Bros. Settles FTC Charges It Failed to Adequately Disclose It Paid Online Influencers to Post Gameplay Videos | Federal Trade Commission
https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2016/07/warner-bros-settles-ftc-charges-it-failed-adequately-disclose-it
FTC: Warner Bros. paid YouTubers for positive reviews | Ars Technica
http://arstechnica.com/tech-policy/2016/07/ftc-says-warner-bros-paid-youtubers-to-promote-shadow-of-mordor/
今回明らかになったのは、ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントが2014年に発売した「シャドウ・オブ・モルドール」というゲーム。「ロード・オブ・ザ・リング」と「ホビット」の世界が描かれていて、PlayStation 4、PlayStation 3、Xbox One、Xbox 360、Steam用に作られました。
シャドウ・オブ・モルドール【公式サイト】|ワーナー ゲーム
http://wwws.warnerbros.co.jp/game/shadowofmordor/
連邦取引委員会が発表した内容によると、ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントは影響力のある複数のユーチューバーに金を支払っていて、その中にはYouTubeの動画投稿で世界トップクラスの稼ぎを得ているPewDiePie氏の名前が挙げられています。また、実際にユーチューバーたちにお金を渡してゲームレビューを依頼していたのはワーナー・ブラザースが雇ったPR会社とのこと。
ユーチューバーたちは、「ゲームの内容について肯定的な意見を述べること」「ゲームの公式サイトに視聴者を誘導すること」など一定の基準に沿って動画を制作し、1回当たり数百ドル~数万ドル(数万円~数百万円)のお金を受け取っていたそうです。ユーチューバーたちに配布されたソフトは早期リリース版だったためバグが存在していたのですが、バグについて動画で触れることは禁止されていたそうです。また、動画の投稿に加えて、FacebookまたはTwitterに少なくとも1回はシャドウ・オブ・モルドールについて投稿することが義務づけられていたとのこと。
PR会社はユーチューバーたちに対して「広告主からお金を得て作った動画であることを明示するように」と指示していましたが、連邦取引委員会は「動画の説明欄の『もっと見る』ボタンを押さなければ、スポンサー付きの動画であることが分からない状態だったのが問題だ」と指摘しています。これは、FacebookやTwitterに埋め込まれた動画が再生された場合、視聴者はその動画がスポンサー付き動画であることを知る方法がないためです。また、投稿された動画の中には、スポンサー付き動画ということがどこにも明記されていないものもあった模様。投稿された動画は合計で550万回再生されていて、そのうちPewDiePie氏が投稿した動画の再生回数は370万回にのぼっています。
連邦取引委員会の消費者保護局長であるJessica Rich氏は、「消費者は、ゲームをレビューした人物が個人的な感想を述べているのか、それとも金を受け取ってレビューしているのかを、はっきりと知る権利があります。ワーナー・ブラザースのような企業は、オンライン上での広告キャンペーンを正しく行わなくてはいけません」と述べています。
なお、この件に関してワーナー・ブラザースは連邦取引委員会から罰金などを科せられているわけではなく、「今後レビューを依頼する場合は、スポンサー付き動画であることを明示するように」という注意のみにとどまっています。
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