マーティン・スコセッシ監督が語るフレーミング・西部劇・初作品に対する家族の反応
映画「タクシードライバー」「グッドフェローズ」「ディパーテッド」など、数々の名作を手がけたマーティン・スコセッシ監督が、1990年に受けた貴重なインタビューがYouTubeで公開されています。スコセッシ監督が幼少期に実践していたフレーミングに関する話や西部劇、初作品を見た家族の反応など、興味深い話が登場します。
Martin Scorsese on Framing | Blank on Blank | PBS Digital Studios - YouTube
インタビューはスコセッシ監督が幼少期に描いていたスケッチの話から始まります。
「確か8歳か9歳のころだったと思います。私はフレームで遊ぶことが好きだった。私が言っているのは動くフレームのこと。もちろん、フレームの中に描く絵は止まっているんだけど、フレームは私の脳内で動き回っているんだよ。次に描くのはコレ、次はアレを描こう、みたいな感じです」
「11歳か12歳のころかな。もっとフレームに対してまじめに取り組もうと思い始めました。当時の私は神聖な風景や、古代の風景にはまっていました」
「そういった風景をフレーミングし始めて、特にワイドフレームの使い方を勉強していましたね」
幼少期のフレーミングついて話すスコセッシ監督にインタビュアーが「つまり、絵コンテを作っていたということですか」と聞くと、スコセッシ監督は「そうなりますね。でも、そのころは絵コンテが何を意味するかなんて全然知らなかった」と答えます。
「絵コンテは私にとって映画ではないし、マンガでもない、そのちょうど間にあるものでした」
フレーミングの次は西部劇の話へ。スコセッシ監督によると、西部劇はとても好きな映画のジャンルの1つで、馬の使い方や広大なオープンスペースのショットが興味を引くとのこと。
また、「もし西部劇を作るならどんなものになると思いますか?」という質問には「わからないよ。ただ、リアルさを求めるのではなく神話的なテーマを扱うストーリーにするかもしれませんね」と話しました。スコセッシ監督と言えば、ギャング映画や重厚なストーリーのサスペンス映画などが知られていますが、西部劇にも興味があったようです。2003年にはスコセッシ監督が初の西部劇に挑戦するという話もありましたが、続報はありません。
スコセッシ監督は14歳のときに神学校に入学。神学校の後は神父にならずにニューヨーク大学に通い、そこで初めて短編映画を撮影。このときに将来は自分のやりたい映画の道に進むことを決めたそうです。
初めて作った映画はニューヨーク映画祭で上映され、スコセッシ監督の両親も映画を見ることになりましたが、スコセッシ監督の映画を見た父親は「二度と劇場で見ない!」と怒ったそうです。でも、これは「他の観客が息子の映画をバカにするかも」「ブーイングをする人がいるかもしれない」などスコセッシ監督を心配したから。
一方、母親は映画館から出てきたときに「あれがあなたの息子さんの映画ですか?」と聞かれて、「そうです、でも1つだけ理解してください。私たちは映画で登場したような言葉使いを家でしていませんから!」と答えました。スコセッシ監督の初監督作品には「ディパーテッド」のディグナム巡査部長や「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のジョーダン・ベルフォートのように放送禁止ワード&Fワード連発のキャラクターが出ていたのかもしれません。
インタビューの最後では、「私が映画で一番好きなのは『動く感覚』と『演技』です。カメラの動き方や場面転換のことですね。ライティングはその次。重要ではない、とは言いませんが、インスピレーションはいつもレンズの視点から生まれます。インスピレーションが生まれるときは、何かが体の中を動くのを感じる。まるで体の一部のように。そのときは、僕自身が映画になっているんですよ」と話すスコセッシ監督でした。
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