メガネなしで立体映像を見ることができる「立体テレビ」の技術をNHK技研公開2016で体験してきた
テレビの世界では高画質・高精細化が次々と進んでいますが、その次に登場が期待されるのが立体テレビの登場。2016年5月26日(木)から29日(日)まで一般公開されているNHK技研公開2016の会場では、将来の立体テレビの実現に向けて開発が進められている技術が展示されており、実際に体験してみることができました。
NHK技研公開2016 〜進化が続く放送技術をご体感ください〜
https://www.nhk.or.jp/strl/open2016/
ということで実際に手に持ってカメラで撮影してみた映像がこちら。両目で見たときのような立体感はありませんが、見る角度によって対象物の見え方が変わる様子や、ガラス玉に写った背景がリアルに変化する様子を見ることができます。
NHK技研公開2016で展示されていた立体テレビを手にとって見てみた - YouTube
技研公開2016のエントランスロビーにある立体テレビのコーナー。白いパネルにはいくつかの立体ディスプレイが埋め込まれて展示されています。
展示されていたのは、幅およそ30cm弱の立体ディスプレイ。写真ではもちろん立体感が伝わりませんが、実際に目で見ると映像に奥行きが感じられるようになっており、見る角度を変えると見え方も変化します。
このディスプレイは、微細なレンズが敷き詰められた「レンズアレイ」を用いて立体感を得られるように作られた「インテグラル立体」と呼ばれる技術を使ったもので、映画館で使うような特別なメガネを必要とせず、見る位置に応じた立体像が見えるのが特長。一方、ディスプレイを細かいエリアに分けて分割して像を表示するため、解像度を上げるのが難しいという今後の課題があるとのこと。
パネルの横には、インテグラル立体の見え方を示すモックアップが展示されており、誰でも手にとって見てみることが可能です。
インテグラル立体とは異なる、ホログラフィーによる立体映像の研究も進められているとのこと。
サンプル展示されていたパネルがこちら。この写真を見るだけでも奥行き感が伝わってくるようですが、実際には厚さ数ミリのパネルです。このパネルは動作の様子をイメージしたモックアップで、実際に動く映像がこのレベルで表示されるまでには時間がかかる模様。
地下の展示スペースでは、さらに多くの展示を見ることが可能。その中でもひときわ目立つところに置かれていたのが、8Kプロジェクター1台と合計4台の4Kプロジェクターを使ったインテグラル立体表示の様子。このように、背面から8Kプロジェクターで映像を投影し、左右の90度横から投影した4Kプロジェクターの映像をハーフミラーで反射させて合成する仕組みになっています。
このシステムで投影された映像がコレ。写真では静止画ですが、実際の展示では動く映像を立体的に見ることができました。
また、将来の立体テレビ実現に備えた各種研究も進められています。インテグラル立体映像は奥行きのある映像を表示できますが、実際に高品位画質のまま表示できる奥行きには制限が存在しています。そんな弊害を回避すべく、奥行きをギュッと圧縮する処理を行うことで、自然な奥行き感を残しつつ高品位な映像を実現するという研究が進められているとのこと。
さらに、ホログラフィーを用いた立体画像の研究も進められています。
超微細な磁石で光の干渉縞を高速表示させる「スピン空間光変調器」と呼ばれるデバイスを用いて、広視域のホログラフィーを実現する技術の開発が進められています。
暗闇に浮かび上がる「イ」と書かれた立体像。こちらも実物を見ると、角度によって見え方が変わることがわかりました。
ここで紹介されている技術は、将来の立体テレビ実現に向けて開発されているものであり、今後いろいろと新しくて優れた装置が開発される模様。翌年にはどんな装置が展示されるのか期待が膨らみます。
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