世界遺産に登録され「進撃の巨人」のロケ地にもなった廃虚マニア必見の「軍艦島」を見てきました
通称「軍艦島」で知られる長崎県の端島は、炭鉱の島として最盛期には人口密度が東京の約9倍になるなど多くの人々が集まり繁栄していました。しかし、エネルギー革命により石炭の需要が少なくなったため炭鉱が閉山となり、現在は無人島となっています。日本で最初に建てられた鉄筋コンクリート造の高層アパートなど、当時の建物は放置され廃虚と化し、実写版「進撃の巨人」でロケ地として利用されるなど、廃虚や近代遺産としての価値が評価され注目を集める島となっています。この軍艦島の観光ツアーがあるということなので行って見てきました。
軍艦島上陸・周遊ツアー/軍艦島コンシェルジュ
http://www.gunkanjima-concierge.com/
軍艦島として知られる端島は、長崎県長崎市に属しています。
見学当日、まずは長崎港の常盤桟橋にあるツアー受付事務所に向かいます。
事前に予約と見学料金4200円(税込)の振り込みを済ませていたので、名前の確認のみで受付は完了。見学者証とパンフレットが渡されます。
桟橋では順番待ちの列ができています。船は自由席なので早く並んでいたほうが良い席に座れるとのこと。
出航時間が近づきいよいよ入船、2階からの眺めも良く風も当たるので良さそうなのですが、すぐに満席となり空いている1階へ。
ガイドスタッフによる救命胴衣の説明を受けるといよいよ出航です。
スタッフに見送られつつ、船は桟橋から離れて行きました。
出航してすぐに見えるジャイアント・カンチレバークレーンは、日本で最初に設置された大型電動クレーンで世界遺産にも登録されています。
30分程たったところで、目の前に軍艦島が見えてきました。
見学者たちから「おぉ」という声が聞こえるなど、景色に驚いている様子です。
島をぐるりと1周、見学コースは島の一部に限られるのでこのタイミングでしか見られない建造物もあります。
上陸を待つばかりですが、島には桟橋が1つしかないため、他のツアーの船が桟橋から離れないと船が近づけません。しばらくは波に揺られて待つことになります。
いよいよ上陸です。見学コースはしっかりとコンクリートで舗装されており足元の心配はありません。なお、見学コース以外への立ち入りは禁止されています。
まずは港付近、掘り出された石炭が運ばれてくる場所です。奥に見える建物は学校などで、右側に並んで立っている支柱はベルトコンベアの支柱です。
ガイドによる案内も詳しく分かりやすいのでいろいろ勉強になります。この山の頂上にある施設は貯水槽。本土と直通の水道管が敷かれるまで活躍していた施設です。
崩れる途中の建造物などもあり、近づくと危険だというのが見て分かります。
見学方法は、3カ所ある集合場所をガイドの説明を聞きながら順番に回ります。ツアー団体ごとに滞在時間が決められているので、ガイドやスタッフの指示に従って移動しなくてはいけません。
2番目の集合場所にやってきました。右側にあるのが炭鉱の立て坑の出入り口となる建物。この階段は「命の階段」と呼ばれ、炭鉱作業員たちが「炭鉱から生きて戻り、無事この階段を降りること」を毎回誓いながら上って行ったと言われています。
レンガ造りの建物の中には共同浴場があり、炭鉱で真っ黒になった作業員たちが汗と汚れを流した場所です。風呂は海水を温めたもので3つに分かれており、汚れの段階ごとに順番に入っていくとのこと。最後に上がる際にだけ真水を使うことができるなど、島では水が貴重に扱われていたことがわかります。
手前で倒れている壁は、台風の被害で壊れた岸壁跡です。島の南側は風が強く当たるため建物の破壊が他の場所よりも進んでいます。
今すぐにでも崩れそうな建物を見つつ3番目の集合場所へ。
最後の集合場所からは、日本で最初の鉄筋コンクリート造の高層アパート「30号棟」を見ることができます。
1916年に建てられた7階建ての高層アパート。社宅として作業員たちが住んでいました。
建物の中もボロボロになっています。
階段も崩れかけていますが、奥には手すりも見られます。
建物は上から見るとロの字で中央部に吹き抜けがあるのですが、これ以上建物に近づくことはできず、中などを見ることはできません。
桟橋ある島の東部から30号棟が見られる南西部までが、ツアーで見学できる地域となります。30号棟の案内が終わると桟橋へとコースを逆戻りします。
帰り道で改めて見つけた設備なども記念に撮影。
帰りの船に乗る直前、桟橋の手前からの撮影。左側の65号棟の屋上には幼稚園がありました。
見学時間は45分ほどです。なお、島にはトイレもコンビニもありません。
帰りは2階席に座れました。行きは軽く船酔いしてしまい風の当たる2階席で帰りたかったので、これで何とかひと安心です。
自分たちの船が出ると、順番を待っていた船が桟橋に向かって行きました。奥にはその次の番を待っている船も見えます。
少し離れるだけで島全体が見えてきました。「これだけの建築物が建てられ繁栄した島に、今はもう誰も住んでいない」というのが不思議に思えます。
シルエットで見ると、本物の軍艦がそこに存在するように見えました。
ジャンケン大会も始まり、勝者にはお土産のプレゼントが贈られます。
船内販売でカステラアイス(300円税込)が売られていたので買ってみました。ザラメ付きの甘いカステラにバニラアイスが挟まっています。船の上で食べるというのもあってとてもおいしく感じます。もし、もう一度ツアーで来ることがあれば必ず購入したいと思うほどでした。
長崎港に戻り、三菱重工業長崎造船所で建造中の豪華客船など工場が見えてきます。2時間半のツアーもいよいよ終了です。
ツアーで見学できる場所は、図の赤いライン内のみとなりますが、じゅうぶん軍艦島の魅力と歴史的価値は伝わってきます。
30号棟など古い建物は、保存する手段が無くこのまま崩れるのを待つだけとのこと。近年の台風で崩れている建物もあることから、今のうちに見に行かないと貴重な建物が崩れてしまう可能性があります。現地を案内してくれるガイドさんも実際にこの島に住んでいた方や関係の深い方たちなので、ネットなどで得る知識よりも詳しく興味深い話がされていますので、興味のある方は是非軍艦島を訪れてみてください。ただし、船酔い対策は万全にしておくことをお勧めします。
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