取材

記録的大噴火から1年が過ぎたハワイ・キラウエア火山を車で行けるところまで走ってみたらこんな感じ


ハワイ島にあるハワイ火山国立公園は、マウナ・ケア山キラウエア山という二つの火山を抱える国立公園です。キラウエア山は2018年に大噴火し、ハワイ島東部の住民が避難を余儀なくされるという事態になり、ハワイ火山国立公園もその大部分が立ち入り禁止となりました。それから1年経った2019年はハワイ火山国立公園のどこまでいけるのか、実際に車に乗って行ってきました。

USGS: Volcano Hazards Program HVO Kīlauea
https://volcanoes.usgs.gov/volcanoes/kilauea/

Hawai'i Volcanoes National Park (U.S. National Park Service)
https://www.nps.gov/havo/index.htm

オアフ島のダニエル・K・イノウエ国際空港からハワイ島のヒロ国際空港に出発します。両空港間は、直行便でおよそ50分。


ぐんぐん離れていくワイキキビーチ


そしてハワイ島を上空から見るとこんな感じ。オアフ島よりもあまり人の手が入っていない印象で、深い森林がうっそうと茂っているのが見えました。


ヒロ国際空港に到着。


ハワイ島では、オアフ島と違って観光用の公共交通機関がそれほど充実しておらず、移動するには観光業者を予約するか、自分でレンタカーを借りるかの2択に絞られます。今回はレンタカーを借りて移動することにします。レンタカー業者はヒロ国際空港の敷地内に複数あるので、到着してすぐに借りることが可能です。


借りた車が以下の画像。なお、ハワイ島で車を運転する際には日本の運転免許証があれば基本的にOKとのことですが、現地でトラブルにあった時に備えて国際運転免許証を取得するのがおすすめです。


今回、日本語のカーナビゲーション付きの車を予約したところ、受付の係員から渡されたのが以下のケース。


ナビの本体はスマートフォン


スマートフォンを取り付けるマウントと重り


ダッシュボードの上にマウントを取り付けた重りを乗せて、スマートフォンを固定します。


そんな訳で出発。ハワイでは日本と逆の右側通行なので、日本と少し感覚が異なります。


ヒロ国際空港からハワイ火山国立公園のキラウエア・ビジターセンターまでおよそ47㎞、車でだいたい50分弱ほどの距離です。基本的にハイウェイ11をずっと進んでいくだけなので、特に複雑なルートではありません。


街を出ると家や電柱が一気に見られなくなり、森と森の間を走っていく感じに変化。やや単調な景色が続くため、休憩を取りながら進むのがおすすめです。


キラウエア・ビジターセンター手前にあるThe Volcano Storeに到着。ハワイ火山国立公園内では飲み物はほとんど販売されていないので、飲み物を買うタイミングはここが最後。


ハワイ火山国立公園に到着。個人がレンタカーで入場する場合は、1人あたり25ドル(約2700円)を入口で支払う必要があります。


入場ゲートをくぐってすぐのところにキラウエア・ビジターセンターがあります。


屋外には巨大なハワイ島の模型がどんと置かれていました。


資料館ではキラウエア火山の自然に関する展示のほか、2018年に起こったキラウエア火山大噴火の映像も上映されていました。また、日本語の地図や情報も入手できるので、ここでゲットしておくのがおすすめです。


そして、キラウエア・ビジターセンターでは当日の火山の活動や溶岩の様子といった情報も掲示されています。あいにく訪園当日は雨が降っていたこともあり、「ハワイ島全域において溶岩は一切活動が見られません」とのことでした。


まずは「クレーター・リム・ドライブ」と呼ばれる道に沿って、キラウエア・ビジターセンターから北西の方角へ進みます。5分ほどで着いたのは、キラウエア米軍キャンプ近くにあるスチームベンツ。地面に開いた穴からもうもうと蒸気が噴き出している様子、そしてスチームベンツの奥にある巨大なキラウエア・カルデラを一望できる展望台からカルデラを見たところが以下のムービー。

蒸気が常に噴き出るスチームベンツとキラウエア・カルデラを一望できる展望台 - YouTube


辺りに広がる野原のところどころから白い蒸気が吹き上がっているのが見えます。しかし、日本の地獄谷とは違い、硫黄の匂いが立ち込めているといったことはありませんでした。


そして、眼下に広がる広大なキラウエア・カルデラ。カメラのフレームどころか、視界にすら収まらないほど広大で、見渡す限りの景色がすべてカルデラに占められるほど。


本来であれば、このキラウエア米軍キャンプよりさらに奥へ進むこともできるのですが、この日はこの先で二酸化硫黄ガスが検出されたとのことで、ここで終わり。活火山ではキラウエア火山では有毒な火山ガスがいたるところで検出されることがあり、日によって進入が禁止されるエリアが指定されることがあります。そこで、引き返してキラウエア火山の南の方へ向かうことにしました。


キラウエア火山から噴出した溶岩の多くはハワイ島の南部へ流れ出ていくため、一面に野原が広がっていた北側と違い、南側は森の中に突如溶岩が溶けて固まったエリアが出現するのが印象的。


実際にキラウエア山の南側を走っているところを2倍速で再生しているのが以下のムービー。木々が生い茂っている場所をしばらく走っていたかと思うと、突然周囲に木が一本もなくなり、黒く渦巻いた溶岩が広がります。

雨が降る中でハワイ火山国立公園で突然広がる溶岩原 - YouTube


見渡す限りに木が文字通り一本もなく、地平線が見えそうなほど。周囲に立体物がほとんど何もないので、車を運転していて体感速度がわからなくなってしまうことも。


キラウエア・ビジターセンターから30分弱のところに広がる「マウナ・ウル溶岩流」で車を止め、溶岩の広がるエリアを歩いてみました。マウナ・ウル溶岩流は1969年から1974年に流れた溶岩によるもので、トレッキングコースも設置されています。


地面には、粘度の高い溶岩が折り重なるように流れてしわのような模様を刻んでいるところがいくつも見られました。


ごろごろと転がっている岩の表面には、マグマが冷え固まった際にガスが抜けてできた小さな穴が無数に開いています。


どこまで歩いてもただ溶岩が広がっているだけで、まるで崩壊してしまった世界を一人で歩いているような感覚に陥りました。


他にも小さなクレーターや溶岩流がいくつもあり、車を止めてその都度見ることができます。


マウナ・ウル溶岩流から西に抜けるケアウホウ・トレールという道は、車での乗り入れは不可能。トレッキングコースとなっていて、多くの人が徒歩でずんずんと進んでいます。


木が一本もなかった溶岩流と同じエリアにあるのが信じられないくらい、うっそうと森が茂っていて、散歩にぴったりのコースといえます。


マウナ・ウル溶岩流からさらに南に10分ほど走り、チェーン・オブ・クレーターズ・ロードとよばれる道を進むと、遠くの方に海が見えてきました。なお、空港からずっと続いていた小雨はこの辺りで途切れ、一転して好天に変化。


キラウエア山の南側は傾斜がきつく、道はカーブが多くなります。以下の画像はマウナ・ウル溶岩流から15分ほど進んだところにあるアラヌイ・カヒコ(古い道)と呼ばれるエリア。かつてはここから先の道は舗装状態が悪く、車で進むのは非常に困難で、レンタカー会社によっては進入禁止を契約に盛り込むことも多かったそうですが、改めて舗装が行われたとのことで、問題なく快適に走ることができました。


海が見えてからさらに走り続けて、ハワイ火山国立公園の南端であるホーレイ・シー・アーチに到着。キラウエア・ビジターセンターから車でおよそ45分~50分ほどかかりました。なお、キラウエア・ビジターセンターからホーレイ・シー・アーチまでの間にはトイレがほとんどないので、気になる人はあらかじめビジターセンターで用を足しておくべき。


この先には1986年以降までの溶岩流が広がっているそうですが、2003年の溶岩によって道が遮断してしまったため、車の侵入は禁止となっていました。徒歩なら進むことはできますが……


「火山の噴煙はあなたの健康を害し、命を脅かす危険があります」という注意書きが掲示されていました。


なお、ドローン禁止の注意書きも発見。


ホーレイ・シー・アーチは太平洋に面していますが、砂浜ではなく溶岩で形成された岸壁となっています。


目に飛び込んでくるのは溶岩と海と空だけ。同じ火山大国である日本でもなかなか見ることができない光景はものすごいスケールで、思わずその場に立ち尽くしてぼーっと眺めてしまうほど。周りには同じようにその迫力に圧倒され、立ち尽くして眺めるしかできなくなっている観光客が数人いました。


火山灰や溶岩で形成された黒い土は粒がそろっておらず、ざらっとした感じ。乾燥して水を含んでいないからか、かなり軽い印象です。


「ハワイ島はここで生まれた」という看板に、勢いよく吹き出す溶岩の写真が描かれています。


実際に地面を引き裂いてマグマが噴き出たことを思わせるような、大きな裂け目もいたるところにありました。決して人間の力では不可能なほど、分厚い溶岩の地層がべろりとめくれあがっています。


足を踏み外すとどこまでも落ちていってしまいそうな裂け目があちこちにあります。足元はかなりボコボコとしていて歩きにくく不安定なので、この辺りを散策するのであればスニーカーのような歩きやすい靴を履く必要があります。


裂け目の断面を見ると、長い年月にわたって溶岩が何層にも積み重なってできた地層が顔をのぞかせていました。


海沿いの岸壁の下には太平洋の荒波が押し寄せていて、白いしぶきを散らしている様子を見ることができます。以下のムービーはGoPro HERO7で岸壁の下をのぞき込むところ。岸壁は押し寄せる波によって削れています。

ハワイ火山国立公園「ホーレイ・シー・アーチ」の岸壁を覗いてみた - YouTube


車で進めないホーレイ・シー・アーチの西側が遠くに見えます。火山の活動が活発だと、西側ではドロドロした溶岩が海に流れ込んで大量の水蒸気を発生させる「オーシャンエントリー」を見ることもできるそうです。また、タイミングによっては間近で溶岩を見ることもできるそうで、溶岩の活動が見られない日に訪れた運の悪さがなんとも残念。


なお、溶岩が流れ出るオーシャンエントリーの様子は以下のムービーで見ることができます。オーシャンエントリーは、海から船に乗って見ることができるツアーが組まれることがあるそうです。

Lava Ocean Entry~Kalapana, Hawaii - YouTube


ホーレイ・シー・アーチにあるお土産屋兼資料館。


2016年から2018年にかけてのキラウエア火山の活動についての情報が追加されていました。


ホーレイ・シー・アーチからハワイ火山国立公園の入り口まで戻る途中、坂を上りながら走っていると、傾斜が強く周りに何もないこともあり、まるで青空の中に車が昇っていくような体験をすることができました。

ハワイ火山国立公園のアラヌイ・カヒコは空に向かって走るような気持ちになる - YouTube


2018年に大噴火したキラウエア火山ですが、1年経ってそのほとんどが復旧し、大部分を車で進むことができます。ヒロ国際空港からレンタカーを使えば、往復およそ4時間でハワイ火山国立公園の大自然を楽しむことができました。国土の狭い日本ではまず見ることができない自然の迫力を体験することができるので、車の免許を所有しているのであれば、ぜひ行ってみるべきスポットといえます。

ただし、自然が相手なので、当日に見れるエリアの中には進入禁止になるところがあったり、テレビで見るようなドロドロと流れ出る溶岩を見れなかったりすることもあるので注意が必要です。

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in 取材,   動画, Posted by log1i_yk

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