1億円越えの現代アートを作るお手軽な方法を解説した「HOW TO MAKE MODERN ART」
青いキャンバスに白い線を引いただけの抽象絵画が44億円で落札されたことからもわかるように、現代アートの世界は常人の理解をはるかに越えています。そんな中、落書きにしか見えない絵画に1億円を超える値段がつくのには理由があるに違いない……ということで、YouTubeのコメディチャンネルのh3h3Productionsが現代アートを作る法則を導き出し、実際にオークションに出して「1億円のアート」として売れるのかどうかを実験しています。
HOW TO MAKE MODERN ART - YouTube
壁に掛けられた黒く巨大な三角を見て、あなたは何を思いますか?何も思い浮かばない、という人は想像力が足りないのかも。
壁にいくつも掛けられた長方形や……
巨大で茶色いものの場合は?
これらがいかにも貴重そうに美術館に展示されている、それが現代アートの不思議なところです。
現代アートは1960年代、ジャクソン・ポロックが現れたことによって始まりました。
ポロックはアートのことを「ちょっとバカっぽい」もので、アーティストたちは「がんばりすぎ」だと考えていた、とムービーは解説。
これがポロックの1963年の作品で「A Bit of a Goob(ちょっとバカ)」……と紹介されます。
1965年の「A Dab Will Do Ya'(軽く塗るだけでOK)」という絵画も有名作品として登場。
現代アートは意味あることを何も示していないばかりか、見る人を混乱させ、バカにしているようにも見えます。
現代アートの多くは作者が有名だったり作品が古かったりすることから価値が生まれていますが……
中には現代進行形で生み出されているものもあります。
この男性は何をしているのかと言うと……
下着に鉄の棒のようなものをつけ、腰を激しく振ることでそれを鉄棒にぶつけて音を奏でています。これも現代アート。
何も書かれていない白紙をただ見つめる男性はバカっぽく見えますが……
このような絵画が数百億円で落札されるのが現代アートの世界です。1億円越えなのに落書きにしか見えない抽象絵画の例はここから見ることができます。
一見すると落書きにも見えるのに億越えする現代アートとは何なのか?どうやったら作ることができるのか?ということで、やってきたのがニューヨーク近代美術館(MoMA)
ここで見つけたのは、まず、2つのブレスレットがカウンターに置かれた様子がVHSで再生されている作品です。
タイトルは「I Really Don't Give a Shit(むちゃくちゃどうでもいい)」
この映像に男性は何かアイデアを得たようです。
男性が学んだのは「アートを作るには『物を古く見せる』ことが大事」ということ。
続いて男性が見つめているのはガラスのショーケースに入った石。石に何か特徴があるのではなく、本当にただの石です。この作品は20万ドル(約2300万円)とのこと。
ここから学んだアートを作る方法は「アートはガラスに入れる必要がある」ということです。
次の作品へ。壁にズラリと並べられたのは額縁に飾られた電話帳の1ページたち。この作品も先ほど導き出した「古く見える」「ガラスの中に入れられている」という2つの条件を満たしています。
これらの電話番号は全て本物。ということで、現代アートの作り方の3つ目のポイントは「本物のゴミをアートとして再販する」ということ。
これだけMoMAで学んでも「何億円も生み出すアート」の真実からはまだまだ遠い気がしていた、と男性。
しかし、突然アイデアが降ってきます。「違う、私はただ事実から目を背けていたのだ……」ということで男性が導き出した法則とは……。
「私は犠牲を払わなくてはならなかったのだ……」
PCのスクリーンにポロックと自身の頭部の写真を放置し、席を立った男性。
私の持っているゴミは何か?他の誰にとっても意味がなく、そして私にとってだけセンチメンタルな意味のあるもの……。
自分がずっとかぶっていた帽子を手にする男性。
新のアートとは、犠牲を払い、愛するものを手放すこと。
さらば友よ……と窓の外に投げ出される帽子。
地面に落ち、男性にとって何より価値があるものが、通行人によって踏みつけにされます。
そして傷ついた帽子を再び手にする男性。
額縁に入れて……
壁に飾ります。
もしこの作品に100万ドル(約1億1300万円)の値段がつかなければ、これはアートではない!ということで、男性の帽子はオークションサイトのeBayに出品されました。
なお、真偽のほどはわかりませんが、eBayでの落札額は日本円で「11億3521万3986円」となっています。
Artist's Beanie | eBay
http://www.ebay.com/itm/-/111913567870
ムービー中に登場するポロックの1963年の作品「A Bit of a Goob(ちょっとバカ)」はもちろん本当の作品名でなく、正しくは「Convergence(収斂)」で、1952年の作品。このことからわかるようにムービー中に登場する作品名・発表年はデタラメで、YouTubeのコメント欄ではそれを含めて「このムービーチャンネル自体が現代アートだ……」と捉えられているようです。
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