ディズニーが社員に政治活動の寄付金を募る
by Jane
ウォルト・ディズニー・カンパニーは1928年に発表されたミッキーマウスの著作権を延長させるためロビー活動を行ったことでも有名であり、その結果制定された著作権延長法は「ミッキーマウス保護法」という別名がついているほど。法律や政治を変える大きな影響力を持つディズニーですが、ディズニーの会長兼CEOボブ・アイガー氏が従業員に向けてディズニーの政治行動委員会である「DisneyPAC」に献金するようメールを送っていたことがわかりました。
Disney CEO asks employees to chip in to pay copyright lobbyists | Ars Technica
http://arstechnica.com/tech-policy/2016/02/disney-ceo-asks-employees-to-chip-in-to-pay-copyright-lobbyists/
ニュースサイトのArs Technicaは当該メールの内容をウォルト・ディズニー・カンパニーの従業員から入手。アイガー氏はメールの中でデジタル著作権法やTPP、地上波で放送されたテレビ番組をインターネット経由で有料配信してテレビ局から訴えられていたAereoの敗訴など、近年ディズニーに起こった政治的・法的な出来事について触れたあと、現在のディズニーが法人税率の引き下げに積極的な姿勢を見せていることを述べました。
「今年から来年にかけて、議会ではTPPの承認・実行や税制改革を含め、著作権に関する事柄が活発化してくると考えられます」とつづられたメールを読んだ情報提供者は、「ディズニー社員はディズニーの政治的立場に対して同意している」という仮定に非常に戸惑ったとのこと。「特にTPPに関しては論争があるところであり、会社としての意見ももちろんあるでしょうが、社内でさえも意見が分かれています」と語っています。
by Dommie Iaria
アイガー氏によれば、DisneyPACは従業員の給与から寄付金を差し引く形で実行されるとのこと。情報の提供者は匿名希望ですが、提供者によるとディズニー社員のうち何人がメールを受け取ったのかなどは不明。Ars Technicaは事実確認のためディズニーにコンタクトを取っていますが、記事作成現在のところ、返答はないようです。
社員に対して献金を求める会社はディズニーに限ったことではなく、2012年には金融機関のシティグループが「民間部門と企業部門の両方をサポートするために」という名目で従業員たちに寄付金を募っています。寄付を募る際に職務の妨害や脅迫などを加えない限り、アメリカの法律では許容範囲内とのこと。ディズニーでアイガー氏から社員に対して送られたメールには、寄付に協力的であったか否かが仕事に影響することはない、と触れられていたため、明らかに合法であるわけです。
なお、アイガー氏の2015年度の報酬は4500万ドル(約50億円)でした。OpenSecrets.orgによると、2014年の選挙に関してDisneyPACから支出した金額は37万5000ドル(約4200万円)と見られており、今期の選挙についてはさらなる支出を行っているとのこと。2016年1月だけを見ても集めた寄付金は29万5000ドル(約3330万円)に達し、既に23万1000ドル(約2600万円)も支出しているそうです。2002年から現在までの間にディズニー社員がディズニーに対して行った寄付の総合計は403万ドル(4億5400万円)に上ります。
by Tom Bricker
・関連記事
「ミッキーマウス」の著作権を守るため、これまでどのような著作権法の変更が行われてきたのか? - GIGAZINE
パロディ作品の著作権法における扱いが変化 - GIGAZINE
2016年1月にパブリックドメインになったかもしれない作品たちに見る著作権延長法の功罪 - GIGAZINE
「アンネの日記」が著作権切れで無料公開へ、アンネ・フランク財団は「法的措置を取る」と警告 - GIGAZINE
「ハッピーバースデートゥーユー」がアメリカの映画やテレビドラマであまり歌われていない理由 - GIGAZINE
「ハッピーバースデートゥーユー」の歌の著作権はワーナーに帰属しないとの判決が下る - GIGAZINE
・関連コンテンツ