スマートフォン紛失時の「探す」機能の結果が特定の家に集まる事例が続出
by Alexander Lyubavin
スマートフォンは通信している基地局の位置や内蔵しているGPSで、どこにあるのかを特定することができるので、紛失しても自力で探し出せるケースが結構あります。しかし、その機能で示される位置は必ずしも正しいとは限らず、「スマートフォンを探す」機能によって特定の家に無関係な訪問者がやってくるケースが、複数報告されています。
Why do people keep coming to this couple’s home looking for lost phones? | Fusion
http://fusion.net/story/214995/find-my-phone-apps-lead-to-wrong-home/
直近で報告されているのは、Fusionに掲載されている、アトランタ郊外在住のクリスティーナ・リーさんとマイケル・サバさんの事例です。2人は2015年2月から共同生活を始めたのですが、その生活を始めた月にさっそく「盗んだスマートフォンを返せ」と、怒った家族がやってきたそうです。2ヶ月後には別の友人グループが同じようにやってきて、あるときは1ヶ月に4組の訪問者があったとのこと。
リーさんとサバさんは毎回、「よくあるんですよ」と説明して帰ってもらっているのですが、当然、嘘をついているのではないかと疑ったままの人もいて、サバさんは「いつか、危ない人たちが同じようにやってくるかもしれないというのが、最大の懸念です」と語っています。
懸念は幸いにもまだ現実にはなっていませんが、2015年6月には警察の訪問を受けました。これは、行方不明になった10代の少女を捜してきたもので、2人は1時間以上にわたって屋外で取り調べを受けました。このとき、サバさんはトイレのために家に入っていいか尋ねると「家は犯罪現場だし、あなた方は関係者だからに入れるわけにはいかない」と言われてしまったそうです。
こうして「2人の家にある」と言われるのはiOS端末・Android端末の両方で、キャリアもAT&T、ベライゾン、T-mobile、スプリント、Boost Mobileとバラバラ。どうにかならないかと地元警察に相談したものの、何の助けにもならず、2016年に入ってもすでに2件の訪問を受けています。
実は、同様のことは2013年にラスベガスでも起きていました。
If you lose your cellphone, don't blame Wayne Dobson | Las Vegas Review-Journal
http://www.reviewjournal.com/news/las-vegas/if-you-lose-your-cellphone-dont-blame-wayne-dobson
Lost phones keep being tracked to house in Vegas - to owner's frustration - TODAY.com
http://www.today.com/money/lost-phones-keep-being-tracked-house-vegas-owners-frustration-1B8003116
ラスベガス北部に住むウェイン・ドブソンさんも、リーさん&サバさんと同様、スマートフォンを紛失した人に何度も問い詰められる経験をしています。ドブソンさんがこうした訪問を受けるようになったのは2011年ごろからで、最初の訪問を受けたときには「スマートフォンを盗まれた」と主張する若いカップルと、見知らぬ人の訪問を受けたドブソンさんの双方が警察を呼ぶ事態に発展しました。
また、あるときは「スマートフォンには入っている孫の写真は、何物にも代えられないものなんです。どうか、返してください」と懇願する女性も来訪。ドブソンさんは女性に警察を呼び、家の中を自由に探すようにと伝えました。この女性の携帯電話キャリアはスプリントで、ドブソンさんはスプリントの技術者に問題を伝えましたが「携帯電話のGPSシステムは正確な位置情報を提供できないことがある」という説明だったそうです。
ドブソンさんの事例は、スプリントの使っていたシステムのうち、ある1つのセクターの照射区域の中央がこの家で、正確な位置情報が利用できないときにデフォルト=中央の場所が表示されるようになっていたためだと判明しています。
しかし、リーさん&サバさんの場合は前述のように、キャリアは複数にわたっています。ニュースサイト・FusionのKashmir Hillさんは、2人の助けになれるかもしれないと、家の最寄りにあったのがT-mobileの基地局だったことから問い合わせをしてみたものの、返答は得られなかったそうです。同様に、AppleとGoogleにも問い合わせましたが、返答はなし。無線通信端末の規制を担当する連邦通信委員会からは、この種の問題は司法の管轄にはないと言われてしまったとのこと。
デジタル法医学専門家のJonathan Zdziarski氏は、異なる場所で同一のMACアドレスが使われたり、うまくGPS情報が取得できなかったりした時に、データベースに不良データが登録されているのではないかと、Wi-Fiマッピングが原因である可能性を指摘。しかし、サバさんはこの問題がわかってから、スカイフックに正確な情報を登録したものの改善されなかったと語っており、今なお正解は不明です。
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