3Dプリンターでぜんまい仕掛けのトゥールビヨン式時計を自作した猛者が登場、パーツデータや組み立て方法などを公開中
時計の心臓部には「テンプ」と呼ばれる一定の振動を生み出すパーツがあります。このテンプは重力の影響を受けやすいものなのですが、回転するキャリッジと呼ばれるパーツの中に組み込むことで重力の影響を解消し、時計の精度を向上させることができる複雑機構が「トゥールビヨン」です。そんなトゥールビヨン機構を搭載した時計を、なんと3Dプリンターで出力したパーツで自作した猛者が登場しています。また、この時計はパーツのデータや組み立て方まですべて公開されているので、3Dプリンターでパーツを出力して自作することも可能です。
3D-printed Watch with Tourbillon - How it's made - YouTube
これが3Dプリンターで作成された時計。見た目は時計っぽくありませんが、秒針・分針・時針の3つが備わったれっきとした時計。
時計の動力はぜんまいばねで、時計の背面に専用の取っ手を差し込んでクルクル回せば動きます。1回で約35分動作するそうですが、ぜんまいばねを3Dプリンターで出力したものからスチール製のものに換えれば、より長時間動作させることも可能とのこと。
時計はこんな感じで動きます。内部の動きが時計正面からも見られるようになっているのが特徴で、トゥールビヨン機構を採用しているからか、1分間での誤差は0.5秒未満となっています。
側面にも穴が開いており、内部構造がいろんな角度から観察出来るようになっています。
また、時計上部にはストラップホールがあるので、ここにチェーンなどを通せば持ち運びに便利。
内部をのぞき込むと、ぜんまいばねのようなものがクルクル動いているのがよく分かります。しかし、実際にはもっと長くて太いぜんまいばねが中に内蔵されています。なお、時計のど真ん中に彫られた「LAIMER CHRISTOPH」というのは、時計の作者の名前です。
パーツを分解して、内部機構をチェック。
こんな感じで複数の歯車が折り重なって時計となっています。
歯車をひとつ回せば、他のパーツも連動して回転。
パーツ数は実に51個で、その他にネジとシャフトを別個で用意する必要あり。
よくよく見ると、パーツの一部にネジが使われていることが分かります。なお、ほとんどのパーツが積層0.1mm、ピッチ0.8mmで出力されているのですが、ひげぜんまいやガンギ車、一部の歯車などはより解像度の高い積層0.06mm、ピッチ0.8mmで出力されている模様。なお、時計のケース部分は曲げや衝撃に強いPETG素材を利用し、歯車パーツにはプラ系素材を使用しているそうです。
白色の枠が文字盤になっており、赤色の丸が時針、赤色の三角形が分針、白色の枠の内側にある矢印型のパーツが秒針です。
各パーツは3D CADソフトの「Fusion 360」で作成。
これを3Dプリンターで出力しています。作者のChristoph Laimerさんは、Ultimaker 2という3Dプリンターを使って出力したそうです。
出力したパーツはこんな感じ。間近で見ると3Dプリンターで出力したものと分かる表面のざらつきがあります。
このパーツとは別個に、ネジ・シャフト・ワッシャーを複数個用意する必要あり。
時計の各パーツは作者のChristoph LaimerさんがFusion 360を使って作成したわけですが、その3Dモデルデータが以下のページでまとめて公開されています。
3D-printed Watch with Tourbillon by TheGoofy - Thingiverse
さらに、パーツを出力したあとの組み立て手順が以下のアニメーションムービーで紹介されています。
3D-printed Watch with Tourbillon - Assembly Animation - YouTube
アニメーションではイマイチ分かりづらいという場合は、Christoph Laimerさんが実際に組み立てた際の様子をタイムラプスムービーとして撮影した以下のムービーをチェックすればOK。
3D-printed Watch with Tourbillon - Assembly Time Lapse - YouTube
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