自らのやる気を引き出してモチベーションを維持し続けるには一体どうすればよいのか?
by marcovdz
目標に向かってひたすら努力し続けるのは時に難しいこともありますが、なぜ最初に設定した目標を達成できないのか、そしてどうすればモチベーションを保ち続けられるのかを科学的に解説したムービーが「The Science Of Motivation」です。
The Science Of Motivation - YouTube
職場で昇進したい、体重を減らしたい、禁煙したいなどの目標を持っていても、目標に向かって突き進むのは難しいこともあり、ある調査では、「新年の抱負を1カ月で諦める人が45%も存在する」という結果が出ています。やる気を維持するのは一体なぜ難しいのでしょうか?
MITで行われた実験では、学生を2つのグループに分けて、2種類のタスクを行ってもらいました。まず最初は「キーボード上の2つのキーを交互にタイプして、4分間で可能な限りたくさん打ち続ける」というタスクが課せられました。
キーを最も多く打った生徒には報酬がもらえるのですが、片方のグループの報酬は300ドル、もう一方のグループは30ドルという差をつけました。
実験結果からは、300ドルの報酬を得られるグループは30ドルのグループと比べてパフォーマンスが95%高かったとのことで、「お金」がやる気を引き出すひとつの要素であることが明らかになっています。
続いては、2つのグループに難しい数学の問題を解くタスクが与えられましたが、300ドルの高額な報酬を得られるグループのパフォーマンスが32%低くなるという結果が出ました。
この現象は「distraction effect(注意散漫現象)」と呼ばれるもので、難しい問題に取り組む際や、お金に関する問題、感情が影響する問題に立ち向かう場合に、人は「目標を達成して得られるもの」の方へ意識を向けて集中できなくなってしまいます。
脳をfMRIで見てみると、「報酬なしで何かに取り組んでいる人」と「報酬目的で何かに取り組んでいる人」の脳の動きは似通っていることが判明しています。
しかし、「最初は報酬をもらえていたのに、次第に報酬が得られなくなった」という場合は……
やる気に関係する脳の部位である線条体や前頭葉の活動が低下してしまい、報酬を得ることで人間が本来持っている「遊び」の感覚がなくなってしまうのではないかと言われています。
つまり、「遊び」の要素がやる気を維持するのに最もいい影響を与えるということ。ただ単にジムに通っているだけでは、適切な運動を選ぶことができず、実に67%もの人々がやる気を維持できずにジム通いを辞めてしまうとのこと。
また、目標をどのように設定するのかも重要です。「やせるために運動する」という人は、「運動すると気分がよくなるから運動する」という人に比べて、運動に費やす時間が32%も短いことが分かっています。
ただし、楽観主義的な目標が常にいい影響を与えるとは限りません。禁煙を試みている210人の女性を対象に行われた研究では、「禁煙を達成するとどのようないいことがあるのか」にのみ集中して、禁煙の難しさをあまり考えていない人は、禁煙を続けるのが困難であることが判明。楽観的な考えを常に持っていると、脳が既に目標を達成したものだと勘違いをして、モチベーションが下がってしまいます。
遊び要素を取り入れつつ、さまざまな障害が待ち受けていることを予測しながら目標に挑むことが一番とのこと。この考え方は「mental contrasting(心理対比)」と呼ばれています。
最後に、「what the hell」効果を避ける必要があります。ある実験では、ダイエットに取り組んでいる人に対してミルクセーキのL・M・Sサイズの中からひとつ選んでもらい、次にアイスクリームのS・M・Lサイズを提示しました。
ミルクセーキのLサイズを選んだ人はアイスクリームもLサイズを選ぶという結果が出ており、「最初にミルクセーキのLサイズを飲んでしまったから、もうダイエットはいいや!」という気持ちになってしまうことが分かっています。
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