ハードウェア

「Apple Pencil」がバラバラに分解されて自力で修理不可能なレベルの精密構造が明らかに


新しいハードウェアが発売される度にバラバラに分解して中身を公開している分解集団iFixitが、iPad Pro専用スタイラスペン「Apple Pencil」を早速分解しています。Apple Pencilは表面にボタンや継ぎ目が一切ないため分解作業はかなり難航したようで、最終的に力業でApple Pencilをバラバラにして内部構造を公開しています。

Apple Pencil Teardown - iFixit
https://www.ifixit.com/Teardown/Apple+Pencil+Teardown/52955

Apple PencilはiPad Pro専用に開発されたスタイラスペンで、サイズは長さ175mm、直径8.9mm、Bluetooth 4.1でペアリングして使用します。ディスプレイを指でタップする際に比べてApple Pencilでは2倍のデータポイントを検出し、満充電後は12時間連続して使用可能です。


同時期に発売されたSurface Pro 4用の新型Surfaceペンと比べると、Apple Pencilの方が軸が細身で長め。


スケッチアプリ「Paper」用に開発されたスタイラスペン「iPad Pencil」と比べると以下のようになっています。


Apple Pencilには予備のペン先と、Lightningケーブルで充電するためのアダプタが付属しています。


消しゴムのような見た目のキャップは磁石でくっついていますが、「充電中にキャップをペンに固定することができないため、なくしてしまう可能性が大きい」とiFixitは語っています。



ペン先は何度かクルクル回せば、簡単に取り外し可能。


ペン先を外すと、軸の奥の方に小さな金属部品が見えます。iFixitは「この部品がエミッターに接続していて、Apple Pencilのスクリーンに対する傾きや方向を測り、Apple Pencilのストロークをディスプレイに反映しているのではないか」と分析しています。


Lightning端子を取り外すため、先端を温めて接着剤を溶かしていきます。


Lightning端子の型番は「A1603」で、これまでのApple製品にはなかった新しい型番とのこと。


ペンの両端から部品を取り外した後、プラスチック製のペン軸の表面を見てみると継ぎ目が全く見つからなかったため、電動カッターを使って無理やりペン軸をこじ開けていきます。


軸の端から端までカッターで切り、コテのような道具で切り目をぐりぐりと開き……


ようやくペンのシリンダー部分を取り出すことに成功。


シリンダーとカバーを固定しているネジは、既存のドライバーでは扱えない小さく特殊なネジが使われています。


そのため、Apple Watchを分解した際と同じドライバーでネジを取り外していきます。ネジの近くには金色の4ピンコネクターがあり、iFixitは「Appleが端末診断用に使うコネクターではないか」と推測しています。


ネジを外した後、さらにレーザーカッターでシリンダーを横半分にカット。


シリンダーの大部分は、画像上部に写っている円筒形の3.82V・0.329Whリチウムバッテリーとアンテナが占めていて、バッテリー容量はiPhone 6sの約5%程度とのこと。なお、新型Surfaceペンは単6電池を使用していて、消費電力は0.4~0.9Whとなっています。


ロジックボードは指先でギリギリつまめるほど小さく、重さはわずか1g。極薄のロジックボードを半分に折りたたんだ構造で、iFixitは「これまで分解してきたマシンの中で最も小さいロジックボードだ」と評価しています。


ロジックボードを詳しく見てみると、オレンジで囲まれた部分がSTマイクロエレクトロニクス製のチップAS5C Y533で、赤で囲まれたチップが同じくSTマイクロエレクトロニクス製のマイクロコントローラの STML151UCY6。


裏面の水色で囲まれた部分は、Qualcommが買収したCambridge Silicon Radio製のBluetooth制御用チップのCSR1012A05。


続いて筆圧検知センサーを探すため、ペン先を包んでいるケースをはがしていきます。


ペン先には筆圧を判定するための基板があり、ペン先と基板は3つの小さいコネクタで接続されています。「接続部分の動きを測ることで筆圧を検知しているのではないか」とiFixitは推測。基板の赤枠で囲まれたチップには「8529043 343S00008-A1」と型番が書かれています


これ以上の分解は不可能だと判断したiFixitは、Apple Pencilのレントゲン写真を撮影。レントゲン写真からは、バッテリー部分にバネ状の部品が使われていることと……


軸に2つのエミッターが使われていることが判明しました。


iFixitが下したApple Pencilの分解難度は、10段階中で最も難しい「難度1」。分解が困難な理由として、「軸を破壊しないと中身を取り出すことができない」「中身を細かくちぎらないとロジックボードにたどり着けない」とのことで、もしバッテリーが劣化してしまっても自力で交換するのは不可能とのこと。なお、ペン先とキャップだけは誰でも簡単に外すことができる、とコメントしています。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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