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Appleより早く世界初のパーソナルコンピューターを作った男とは?

By Kathryn Greenhill

パーソナルコンピューターの歴史が語られる時、1960年~1970年に登場した「オリベッティ」「Apple」「IBM」の歴史的な革命が挙げられる一方で、Apple Iの5年前となる1971年に販売されていたパーソナルコンピューター「Kenbak-1」についてはあまり知られていません。そんな知られざる「世界初の市販パーソナルコンピューター」の開発者であるJohn Blankenbaker氏に対して、BBC Newsがインタビューを行っています。

The man who made 'the world's first personal computer' - BBC News
http://www.bbc.com/news/business-34639183

John Blankenbaker氏はアメリカ・カリフォルニア州のブレントウードに住んでいたコンピューターエンジニア兼コンサルタントの男性。1970年にいくばくかの資金を得たBlankenbaker氏は「全ての人に影響を与える小型コンピューターを構築する時がきた」と考えました。完成した世界初のPC「Kenbak-1」についてBlankenbaker氏は「マイクロプロセッサは使っておらず、すべて自宅のガレージで作った」と語っています。


1970年当時広く使われていたオフィスコンピュータは小型の端末でさえ数千ドルが相場だったのですが、Blankenbaker氏には機能をシンプルに絞り、組み立て式にすることで1台あたりのコストを500ドル以下に抑える狙いがあったそうです。Blankenbaker氏は「教育的であること」「シンプルなプログラミングだけでユーザーを満足させられるもの」「できるだけ多くのプログラミングの概念を実証できること」という端末のアイデアを持っており、「Kenbak-1は手軽にコンピュータ・プログラミングを体験できる実証機と考えていました」と話しています。

Blankenbaker氏はKenbak-1を学習教材として学校市場に売り込みをかけていましたが、Kenbak-1が生産段階に入ったとき、予算の承認に時間がかかる学校では市場の拡大が見込めないことに気付きました。マーケティングは失敗に終わったものの、1971年に750ドル(現在の価値に換算すると4400ドル・約54万円)という価格で、Kenbak-1が販売されました。Kenbak-1は256バイトのメモリを備えた8bitのマシンで、約1000の単語を記憶し、毎秒数百の命令を実行できました。コンピュータの専門家は熱狂しましたが、一般人に「本物のコンピューターがこの値段で手に入る」という理解を得るのが非常に難しかったそうです。


Apple Iの5年前に発売されたものの、1973年までに製造されたKenbak-1の総数はわずか50台だったため、「幻のコンピューター」となってしまったわけですが、1987年にボストンのコンピュータ歴史博物館の投票で「世界初の市販パソコン」として選ばれました。当時750ドル(現在のレートで4400ドル・約54万円)で販売されていたKenbak-1は、2015年11月のオークションでは2万ドル(約246万円)~4万ドル(約493万円)の相場がつけられるほどのプレミアがついているとのことです。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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