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現在のキーボードの源流となったIBM製の名モデル「Model M」


IBMのキーボードModel Mは現在使われているキーボードの元祖ともいえる存在です。約30年前に作られたこのモデルにはどのような歴史があるのか、どのようにして現在のキーボードの源流となったのかを、The Vergeが明らかにしています。

King of click: the story of the greatest keyboard ever made | The Verge
http://www.theverge.com/2014/10/7/6882427/king-of-keys

現在のキーボードで使われているQWERTY配列は19世紀にタイプライターのためにデザインされたものですが、PCではタイピング用の文字だけでなく特殊なキーが必要だったため、PCでタイプライターのQWERTY配列をそのまま使うことは不可能でした。このため、1970年代から1980年代にかけてキーボード配列の模索が行われていきます。以下が1983年にIBMから発売されたPC/XT83キーボードの配列。ファンクションキーはキーボードのトップではなく左端に置かれ、Enterキーは文字ではなく矢印で表示されています。色分けすると分かり易いのですが、コントロール用のキーとタイピング用のキーが交互に配列されていて、スクロールロックは他のコントロール用キーから離れた場所にありました。


1984年8月にリリースされたPC/ATで使われていたキーボードは、83キーボードからやや進化します。ファンクションキーが2列に分割されキーボード左端に追いやられていることは同じですが、CtrlキーとAltキー以外のコントロール用キーはキーボードの右上に集中しています。83キーボードよりも見やすくなったのですが、専門雑誌には「難攻不落である」、つまりモノにするのが難しいキーボードだという評価を受けました。


プロにとっても一般人にとっても使いやすいキーボードを作るため、IBMは特別チームを作ってさらなる研究を進めます。あまりコンピューターに慣れていない人々にテストをしてもらうことで「重要なキーを大きくし、CtrlやAltのように一緒に使うことが多いキーは片手でも押せるように近くに配置する」など、今日でも使われている法則を導き、その結果の集大成として「Model M」が生まれました。キーボード上部にファンクションキーがあり、タイピング用キーの隣にナビゲーション用キーの集まり、その隣にテンキーがまとめて配置してあり、非常に分かりやすい形です。


1985年にIBM 3161端末の一部に導入されたModel Mは「IBMの拡張キーボード」と呼ばれるようになります。PCと互換性があるバージョンは翌年の春に発表され、1987年にリリースされたIBM PS/2でも使われることになります。そしてModel Mが一般で使われるや否や、市場には似たようなデザインのキーボードが出回るようになりました。

もちろんModel Mに対する批判的なレビューもあったのですが、IBMはレビューした人に対し「あなたはModel Mを愛することを学んだ方がいい。これはキーボードの未来の形なのだから」とコメントしたと、ある雑誌には残されています。

現在のキーボードの原型となったModel Mですが、1点だけ、象徴的な部分が受け継がれていません。それが「バネの使用」。IBMは柔らかな使用感にしたかったため、バネを使ったシステムをPC/XTから導入していたのです。バネの使用によってカチャカチャと音が響くため、現在のModel M愛好者は周囲の人間から「うるさい」と言われることもあるそうですが、キーを押した時の感触と音がハッキリしているためにミスが少なくなるという利点もあるとのこと。


1991年にIBMはタイプライター・プリンター・キーボード部門をLexmarkとして分社化。その6年後にLexmarkはキーボード部門から撤退し、1999年にModel Mは生産ラインから姿を消してしまったとのこと。今でもModel Mを80ドル(約8700円)ほどで購入することはできますが、現在Unicompの社長を務めるIBMの元マネージャーであるNeil Muyskensさんによると、Lexmarkがキーボード部門を手放してからUnicompが知的財産権を購入していったので、現在あるModel MにはIBMのロゴがついていないものも多いそうです。IBMは今でも商業向けにキーボードを販売していますが、もしIBMのロゴが付いたModel Mが欲しければオークションやClickyKeyboardsのようなウェブサイトで買うしかないとのことです。ClickyKeyboardsはキーボード愛好家のErmitaさんがリサイクルセンターなどから引き取った古いキーボードを復活させて販売しているウェブサイト。「iPadを使うのは楽しいし、Kindleも便利です。でも物語を書いたり、論文を書いたりするのにタッチスクリーンは使いません」とErmitaさんはキーボードの魅力について語りました。


なお、これまでに作られた歴代キーボードのタイプ音を使って演奏を行うというムービーが公開されており、キーボードの形や操作音の違いがよく分かるようになっています。

A chorus of keys: drop the space - YouTube


ムービーがどうやって作られたのか、というメイキングは以下から確認可能です。

How we turned 12 clicky keyboards into a music video | The Verge
http://www.theverge.com/2014/10/7/6935097/how-we-turned-12-clicky-keyboards-into-a-music-video


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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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