ハードウェア

PCの機能拡張に使われた「PCカード(PCMCIA)」と生み出された様々なガジェットたち

by derosieres

現在のラップトップPCはUSBポートやHDMIポートが搭載されていることが多いですが、かつてはPCカードスロットがあって、PCカードを挿せるようになっていました。この規格は日本とアメリカの団体が協調して規格統一を行ったインターフェースとして知られています。

PCMCIA History: From Laptops to CableCards
http://tedium.co/2017/01/26/pcmcia-pc-card-laptop-expansion-history/


PCカード - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/PC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89

規格の源流は1985年、日本電子工業振興協会(JEIDA)がICメモリーカードの規格の検討を開始したところから始まります。


もう1つの流れはアメリカで起きました。今やスマートフォンのような高性能なコンピューターがポケットに入れて持ち運べるのは当然のこととなっていますが、1980年代には「500gを切る重さでポケットに入るコンピューター」といえばかなりのもので、持ち運べるかどうかはコンピューターの価値としてそれほど重要視されていませんでした。事実、1989年9月にAppleが初めてリリースしたポータブルのMacintoshは重さが約7kgありました。

そこへ現れたのが、Poqet Computerという会社でした。Poqetは、省電力と様々なメカニカルパーツによって、当時よく用いられていたフロッピーディスクドライブほどのサイズの端末を実現していました。そのために必要になってきたのが、PC向けのメモリーカードで、開発にあたって富士通の協力を得られることになり、1989年9月、メモリーカードの規格統一に向けた「国際PCメモリーカード協会」(PCMCIA)が作られました。Poqetと富士通のほかにはMicrosoft、Intel、IBM、三菱電機などが参加しました。

PCMCIAでは最初、JEIDAから68ピンコネクタ一式を借りていましたが、やがて共同で作業をするようになり、両者の標準規格は相互に利用することが可能になりました。そして1990年、JEIDAのガイドラインバージョン4.0をもとに、PCMCIA 1.0の規格が定められました。この時点ではメモリーカードとしての互換性しかなかったのですが、やがて細部の互換性も詰められて、1993年にJEIDAとPCMCIAの規格を合わせた「PCカード」という呼称が定められました。ただし、今でも海外では団体名から「PCMCIA」と呼ぶ人もいるようです。

1994年にサンディスクはPoqetなどが採用していたものよりも小さな記憶媒体として、PCカードの規格に準拠した「コンパクトフラッシュ」を考案。PCカードが68ピンだったのに対してコンパクトフラッシュは50ピンで、アダプターを利用してPCカードスロットに挿すことができました。

by Chris Phan

これはネットワークカードを使っていた人の例。PCはヒューレット・パッカードのOmnibook 2100で、PCカードは左が56kモデム、右がイーサネットカード。

by Tilemahos Efthimiadis

PowerBook 550cにPCカード一体型PHSの「32Kパルディオ 321S」を接続したところ。1997年6月に発表された機種で、価格は4万7800円でした。

by raneko

ノートPCでも最大7.1チャンネルスピーカーシステムを用いたホームオーディオ環境が構築できる「Sound Blaster Audigy 2 ZS NOTEBOOK」。2004年11月発売で、価格は税込1万4800円。

by Tolbxela

ただし、一時代を築いた規格だけにキワモノもいろいろと発売されていました。たとえばヒューレット・パッカードのBluetooth接続マウス「RJ316AA」。PCカードスロットに挿して充電することができました。

Amazon.co.jp: HP(旧コンパック) Bluetooth PC Cardマウス RJ316AA: パソコン・周辺機器


PCカードスロットに収納可能なリモコンも。

Wireless Remote Control hides in PCMCIA card slot - SlashGear
https://www.slashgear.com/wireless-remote-control-hides-in-pcmcia-card-slot-1018875/


「StashCard」は中が空っぽ。PCカードスロットを収納スペースとして利用できました。

StashCard-A secret drawer for your laptop
http://www.stashcard.com/


メルセデスベンツの一部の車種にはPCカードスロットが搭載されていて、コンパクトフラッシュに入れた音楽を聞いたり、文章を表示したりすることができます。

Jumpin' Jack Flash, it's a Compact Flash - 2008 Mercedes-Benz C300 Long-Term Road Test
https://www.edmunds.com/mercedes-benz/c-class/2008/long-term-road-test/2008-mercedes-benz-c300-jumpin-jack-flash-its-a-compact-flash.html


以前はモバイルPCの代名詞であるPanasonicのLet'snoteシリーズでも当然のようにPCカードスロットが設けられており、その構造上、負荷に弱くて破損することが多々ありましたが、現行機種には搭載されているモデルはありません。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
22年前に開発された片手サイズでタッチパネル搭載の携帯情報端末「Star7」 - GIGAZINE

厚さ5mmのクレカサイズコンピューター「Compute Card」をIntelが発表 - GIGAZINE

5億円以上の価値を持つ「マクラーレン・F1」のメンテナンスには20年前のCompaq製ノートPCが不可欠と判明 - GIGAZINE

in ハードウェア, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.