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サイレンサーが一体化したドミネーターのような銃「Maxim 9」を実際に撃ってみたムービー


スパイ映画などで登場する銃の射撃音を軽減する装置「サイレンサー」は、一般的に銃口の先に取り付ける筒状のものがほとんどである中、アメリカのサイレンサー販売数の40%を売り上げるSilencerCoが、銃とサイレンサーをひとつにまとめたSFチックなデザインの一体型ピストル「Maxim 9」を開発中で、Ars Technicaが試作品を実際に射撃してレポートしています。

実際にMaxim 9を撃っている様子は、以下のムービーの5分すぎから確認できます。

Reviewing the Maxim 9 from SilencerCo - YouTube


「Maxim 9」は、9mm口径の「スミス&ウェッソン M&P」をベースに、サプレッサー(サイレンサー)・機関部・銃身をひとまとめにしてしまったサプレッサー内蔵の一体型銃です。よく見かける筒状の形状のサイレンサーはついておらず、アニメ「サイコパス」に登場する「ドミネーター」のような角張ったデザインの銃に仕上がっています。


一般的なサプレッサーは銃口の先に取り付けるタイプが多いものの、装着の手間がかかることや、正しく取り付けていないと射出した弾丸が消音機構に衝突する「バッフルストライク」が起きる可能性もあります。Maxim 9は既製品の弾薬に対応しており、サプレッサーを標準装備しているためカンタンに取り扱い可能でホルスターにそのまま収納できるという利点を持っています。

現代の銃器は火薬の爆燃によって発生したガスによってカートリッジの弾丸が銃身から発射されます。その時に聞こえる「パン」という割れた音は、急激に発生した高温のガスが噴射する時の音圧によって発生します。サプレッサーは内側に取り付けられたバッフルで発射時の高温のガスを拡散させることで、音圧による音を減少させるという仕組みですが、現代の半自動銃や自動銃のほとんどは、発砲時のガスから生じる運動エネルギーを使って薬室に弾丸を装填するアクションを行っているため、単にガスを拡散させると、銃本来の循環アクションに悪影響を与えてしまう可能性があるとのこと。


また、ハリウッド映画ではサプレッサーを付けた銃は一様に「プシュ」といった音が鳴りますが、同様の消音効果が望めるものはほとんどなく「入り口に立つ2人のガードマンの片方だけを気付かれずに倒す」というシーンはあくまで「ハリウッド仕様」とのこと。「消音器」というよりは「減音器」のようなもので、多くのサプレッサーの説明書には「聴力安全値(130db以下)で射撃可能にする」と書かれていると、Ars Technicaは説明しています。

というわけで、実際にMaxim 9と比較用にサプレッサーを装着した9x19mm弾ピストル(グロック26、Beretta 92FS)をArs Technicaの記者が射撃したところ、最も音が小さかったのはMaxim 9だったとのこと。また、サプレッサーが一体になっていることで重心がブレにくかったことや、マガジンを抜いた状態で構えても銃口側に重みを感じることはなかったそうです。特に反動の少なさは驚きのレベルで、Maxim 9に内蔵したサプレッサーは発砲時のガスで反動を抑える効果もあるため、他の銃にない撃ち応えだった、とArs Technicaの記者は語っています。


「製品レベルの完成度だった」と言われるほど実用的なMaxim 9ですが、販売時期は早ければ年末ごろで、価格は今のところ未定です。アメリカでサプレッサーを所持するには200ドル(約2万4000円)の納税印紙を当局に提出した上で、サプレッサーを購入し、さらに当局へ登録する、というプロセスが必要だということですが、サプレッサー一体型の銃が発売されれば、銃を購入するだけで済むようになるかもしれないとのことです。

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in ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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