人間が安定して関係を維持できるのはおよそ150人の範囲
by Wyatt Fisher
久々に会った知り合いの場合、顔はわかっているけれど名前が思い出せない……ということが起きることがあります。「人は何人の顔や名前を覚えていられるのか」について、具体的な数字をはじき出した研究はまだないそうですが、知人の名前をどれぐらい思い出せるものなのか、どれぐらいの人数なら関係を維持しているのかについては、具体的に数字が出ています。
How Many People Can You Remember? | FiveThirtyEight
http://fivethirtyeight.com/features/how-many-people-can-you-remember/
「人は平均して、何人の顔や名前を覚えていられるのでしょうか?」という質問を受けたデータジャーナリストのモナ・チャラビーさんによると、今のところ、「人間が何人の顔を覚えていられるのか」という研究は行われていないそうです。
しかし、知り合い関係がどれぐらい広がるのか、については1950年代から研究が行われています。よく知られている研究の1つが、イシエル・デ・ソラ・プールとマンフレッド・コッヘンによるもの。プールは100日にわたってノートを持ち歩き、その期間中に電話や手紙に出てきた知人の名前をノートに書き留めました。1度書いた名前は2度と書かないようにしていった結果、日が経つとだんだん記入する名前の数は減少していくことになります。最終的に、同じことを20年続けたとすると、名前の数は3500人ぐらいになるであろうという結果が出ました。
これと同じことを、1961年にマイケル・グレヴィッチと27人の仲間が実施。結果、同じように「20年間続けたとすると」という仮定で導かれる知人の数は、平均で2130人になりました。ちなみに、1960年にMITの学生がフランクリン・ルーズベルト大統領のスケジュール帳86日分から割り出した知人の数は2万2500人でした。
「名前を書き出す」のと、前述の「名前を思い出す」ということは別物である、ということはプールも気付いていて、どれだけの知人を覚えているのかを確かめるべく、シカゴとマンハッタンの電話帳から任意の30ページを選び、その中にある姓から同姓の知人を思い出すという作業を行いました。この結果、シカゴの本を頼りに思い出した知人の数は3100人、マンハッタンの本を頼りに思い出した知人の数は4250人でした。このことからチャラビーさんは、プールが実験で使った電話帳の役割を、今はFacebookやInstagram、TwitterといったSNSが担っているのではないかと考えました。
by Dave Fayram
しかし、実際のところ「姓が変わっていたから思い出せた、1度会った人」は、知っている人ではあっても「知人」というほど親しくありません。そこで出てくるのが、進化心理学のロビン・ダンバー教授による研究です。ダンバー教授は、霊長類が特定の社会集団の中で、どれぐらいの広さの個人関係を築くのかを調べました。すると、オナガザル科マカク属のトクモンキーはおおよそ17匹前後のグループを形成、オマキザル科ウアカリ属のウアカリと呼ばれる猿はおよそ4匹でグループを形成することがわかりました。
ダンバー教授は、諸々のデータから脳のサイズに基づいた公式を作り、典型的な社会集団の中で人間が築く個人関係の範囲は100人から231人の間になると推測。2002年に追跡調査として、クリスマスカードを出す相手が何人いるかを調べました。すると、前述の公式からの推測を裏付ける、平均153.5人という結果が出ました。
by UnknownNet Photography
これよりも少ないからダメという話ではありませんが、友人・知人と呼べる人の範囲はどんな人でもおよそ150人ぐらいで、およそ200人弱までの範囲に落ち着くようです。
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