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なぜ「自分が選んだ道に限っていつも渋滞している」と感じてしまうのか?

By epSos .de

なるべくなら渋滞を避けたいもので、細心の注意を払い、神経を研ぎ澄まして混雑していない道路を選択したのに、選んだ道にかぎって大渋滞、やっぱりあっちの道が正解だったのか……という経験を誰しも持っているものです。そんな「選んだ道はいつも渋滞」というマーフィーの法則に出てきそうな現象はなぜ起こるのかを考察している人がいます。

The Road Less Traveled | Quanta Magazine
https://www.quantamagazine.org/20150903-the-road-less-traveled/

Quanta Magazineのコラムニストのプラデープ・ムータリックさんは、「なぜ自分が選んだ道はいつも渋滞して混雑していると感じてしまうのか?」という、誰にでも経験がある不思議な現象が起こる原因について考察しています。

ムータリックさんは心理学的な見地から考えられる原因として、人間の脳が持つ「記憶の感情喚起」という効果の可能性を指摘しています。これは、人間の脳は快適で心地よい体験よりも、不快で許せない体験の方をはるかに記憶しやすく思い出しやすいというもの。つまり、分かれ道に遭遇して一方の道を選んだときに、運良く渋滞のない道を選択してスイスイ走行している快適なときよりも、運悪く大渋滞に迷い込んでしまった不快なときの方が記憶に残りやすいため、「選んだ道はいつも渋滞」と感じてしまうというわけです。

By Philip Bitnar

また、記憶の感情喚起という効果に加えて、「確証バイアス」による心理的効果も有力な原因の一つであると、ムータリックさんは考えています。確証バイアスとは、「仮説の真偽を検証するときに、それを支持する情報ばかりを集めて反証する不都合な情報を無視しがちである」という傾向のこと。「選んだ道はいつも渋滞」だと結論づけたいが故に、「そういえばあのときも渋滞していた」という思い当たる経験ばかりを取り上げて、渋滞に出くわさなかった経験にあえて目をつぶってしまうというわけです。

さらにムータリックさんは、単純なモデルを考えて「選んだ道はいつも渋滞」であることの数学的な理由も指摘しています。例えば、2本のまったく同じ道に分かれる地点で、自動車がどちらか一方の道を選択して次々に流入していく場合、それぞれの道が選ばれる確率は2分の1ですが、実際にはどちらか一方に多くの自動車が集中してしまうことはあり得ます。この場合、当然、自動車の流入が多い道のほうが混雑しやすく、「選んだ道はいつも渋滞」になります。すると、「選んだ道はいつも渋滞」を経験する人(自動車)は、もう一方の道を選んだおかげで渋滞なしで走行できた人(自動車)よりも必然的に絶対数が多いため、記憶の感情喚起や確証バイアスの効果もあわさることで、「選んだ道はいつも渋滞」の方が起こりやすくなる、というわけです。


ムータリックさんは「選んだ道はいつも渋滞」の原因について、まだ確信的な答えにたどりついていないと考えており、この不思議な現象を解明するアイデアを募集中とのこと。興味深く洞察に富んだ解を提供してくれた人にはQuanta Magazine特製Tシャツをプレゼントするとして、「選んだ道はいつも渋滞」の原因を解き明かす説を募集しているそうです。

なお、かのマーフィーの法則には、「Everything that can possibly go wrong will go wrong.(うまく行かない可能性のあるものは、すべてうまくいかない)」という格言があることから、「選んだ道はいつも渋滞」はマーフィーの法則によると自明の理であるようです。

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in メモ,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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