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6人と握手するだけで世界中の人とつながる、というネットワークの仕組みを分かりやすく解説

by chiarashine

ちょっとした自慢ツイートが数時間後には拡散されて数十人・数百人の知るところになり、そのまま放置していたら10時間後には数千・数万人がシェアして絶賛コメントや中傷コメントを行っていて、数日後には収集のつかない事態に発展して元となったツイートを取り下げるも既に遅し……という事態はよくあるもの。ほんの数人の知り合いしかいなくても全世界の人々に通じてしまうというネットワーク上の「つながり」がどういう仕組みになっているのかについて、YouTube上で「六次の隔たり」という仮説が解説されています。

The Science of Six Degrees of Separation - YouTube


例えばあなたはSNSアカウント上で44人の友人がいたとします。


そして44人の友人たちには、あなたの知らない別の友人が44人いたとします。


さらに友人の友人には……


また別の44人の友人がいる、というように、44人の友人のうち1人を同じようにたどっていくと……


6つのステップをたどるだけで、72億6000万人の人とつながりを持つことができます。


現在、地球上の人口は約71億2500万人なので、6つのステップをたどるだけで、地球上の人口よりも多くの人とつながりを持ってしまうという計算です。


この、「六次の隔たり」という考え方を最初に支持したのが作家のカリンティ・フリジェシュ


「六次の隔たり」を基に考えると、わずか6つのステップでトム・クルーズやエリザベス女王ともつながることができます。アジアの市場に立ってカメラに向かって話す男性は、その場から浮いて目立ちまくっていますが、それでも隣にいる見知らぬ女性とも、6つのステップを踏むだけで本当はつながっているのです。


1960年代、社会心理学者のスタンレー・ミルグラムスモールワールド実験を行いました。実験では「アメリカ国民の中からランダムに2人を選びだすと、その2人がつながっている場合には平均して6人の知り合いを介している」という仮説が検証されました。


ボストンからネブラスカまでの範囲に住んでいる人々からランダムに300組の2人組を作ったところ、64組につながりがあり、該当する2人組は平均すると5.2人の知り合いを介していたとのこと。


また数学者のポール・エルデシュも、ネットワークのつながりについて解明しようとしていた1人です。


ただし、エルデシュの時代にはSNSなどは存在しないわけで、現実の人間が持つネットワークの情報はほとんどありませんでした。そこで、彼は糸とボタンを使った実験を行いました。


糸を使って2つのボタンをランダムに組み合わせていくと、規模は小さいですがたくさんの断片的なつながりができていきます。


すると、ある段階までは何も起こらないのですが、糸の本数がボタンの半数を越えた時あたりに1つのボタンを引っ張りあげると……


ずるりと芋づる状に多数のボタンが引き上げられました。社会学の観点から見ると、これが「ネットワーク」です。


それぞれのつながりは小規模なものでも、小規模なつながりの数が増加することでネットワークが出現するわけですが、エルデシュのネットワークが現実で可視化することはあまりありません。では、現実の世界のネットワークとはどんなものなのか?というと1994年に有名になったケヴィン・ベーコン数というものがあります。

これは「俳優のケヴィン・ベーコンと共演したことがある人を『ケヴィン・ベーコン数1』、ケヴィン・ベーコン数1の人と共演したことがある人を『ケヴィン・ベーコン2』とし……と数えていくと、ほとんどのハリウッド俳優のケヴィン・ベーコン数は、3から4におさまってしまう」というもの。小さなつながりからネットワークが現れる点はエルデシュのランダム・ネットワークと同じですが、ケヴィン・ベーコン数の場合は「よく共演する人」同士の群れのようなものができていたこと。


つまり、エルデシュの場合は完全にランダムな2人組からネットワークができていたわけですが……


ケヴィン・ベーコン数の場合は両隣とさらにその隣のボタンとのみつながりができていたと仮定できるわけです。


こうすると、ランダムに選んだ2つのボタンのつながりは遠くなります。


しかし、ここにいくつかの「ランダムのつながり」を作り出すと、群れの存在はそのままに、つながりのステップ数が短くなるわけです。


現実のソーシャルネットワークはケヴィン・ベーコン数と同じように「群れ」の特性を持ち、加えて少しのランダムなつながりがあるものなのです。この時、重要になってくるのが、わずかに存在する「ランダムなつながり」。


1973年に社会学者のマーク・グラノヴェッターは「弱い紐帯の強み」という説を発表しました。これは「新規性の高い価値ある情報は、自分の家族や親友、職場の仲間といった社会的つながりが強い人々(強い紐帯)よりも、知り合いの知り合い、ちょっとした知り合いなど社会的つながりが弱い人々(弱い紐帯)からもたらされる可能性が高い」というもので、ここでいう「つながりが弱い人々」というのがつまり「ランダムなつながり」。ランダムなつながりこそが自分の外の世界とのつながりのカギとなり、六次の隔たりを可能にするわけです。


実際に、Facebookが自社のデータを解析したところ、92%のユーザーは6ステップならぬ、5ステップでつながることができたとのこと。


にわかには信じがたいのですが、わずか6回の握手で世界中どんな人とでもつながりを持てるのが、我々が現在生きている「ネットワーク」なのです。

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in 動画, Posted by darkhorse_log

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