Googleが事故記録を含むセルフドライビングカーのマンスリーレポートを公開へ
Googleが開発を進めてきた自動運転車は2015年夏にも専用車両での公道でのテスト走行を開始する予定になっていますが、一方では6年間で11回の事故に遭遇していたことも判明しています。そういった情報も含めた、セルフドライビングカーの開発にまつわるマンスリーレポート(月間報告書)について、今後はネット上に公開することをGoogleが明らかにしました。
Monthly reports – Google Self-Driving Car Project
http://www.google.com/selfdrivingcar/reports/
Google to report driverless car accidents going forward
http://www.usatoday.com/story/tech/2015/06/05/google-to-report-driverless-car-accidents-going-forward/28538915/
レポートの公表は公式サイト上で行われることになっており、記事作成時点では2015年5月分が公表されています。
(PDFファイル)report-0515.pdf
レポートによると、2015年5月時点でGoogleが保有しているセルフドライビングカーは合計32台で、そのうち23台が専用に改造されて公道での走行実験に用いられているレクサスのSUV・RX450hとのこと。そして残りの9台が実証実験用に作成された「Prototype」と呼ばれる専用車両で、これまではテストコース内での走行実験が続けられてきましたが2015年夏からこちらも公道での走行実験を始めるとみられています。
2009年から開発が始まったGoogleのセルフドライビングカーですが、これまでに自動運転モードで走行した距離は約100万マイル(約160万km)で、実に地球40周分に相当する距離とのこと。さらにその走行距離は、毎週平均して1万マイル(約1.6万km)ずつ伸びていることが明らかにされています。
◆実際に記録された走行状況
レポートでは、車両が実際の路上でのさまざまな出来事に対応している事例が紹介されています。
以下の図では、緊急車両に対応した時の様子が示されています。図の中央には交差点で停まっていたGoogleの車両が表示されており、この時は自車の前の信号が青に変わった瞬間を捉えています。そのまま発進できる状態になったのですが、交差する車線から救急車が走ってきたことをコンピューターが感知。図中では、紫色のボックスの上に、赤いランプが乗っている状態で救急車が再現されています。この事態を受け、コンピューターは車両をそのまま発進させずにその場にとどまり、救急車をやり過ごしてから走り出したとのこと。
別の図では、車道で危険な走行をしていた自転車との関係が示されています。赤いボックスで示されている2台の自転車がフラフラと車道を走行しており、そのうちの1台が車両のほうに向かってくる兆候を示しました。この時のセルフドライビングカーは走行中でしたが、自転車の動きを水色の線のように予測したコンピューターは危険状態と判断し、車両を停止させて危険を回避したそうです。
◆事故記録も公開
このように高い安全性を備えているとみられるセルフドライビングカーですが、時には事故に遭遇してしまうこともありました。レポートでは13件の事故が報告されており、そのうちの7件が後方からの追突を受けるいわゆる「オカマ事故」だったことが記されています。また他の事故に関しても原因は他のドライバーの不注意によるものであり、セルフドライビングカーに起因するものはなかったと主張しています。
開発を率いるGoogleのクリス・アームソン氏は事故について「後方からの追突事故は、北米で最も多い事故原因です。そして、そのような状況に陥った場合に、前にいた車両がとれる回避手段はほとんど何もありません」と語り、事故が回避不能だったことを語っています。また、追突事故以外の場合の状況についてもアームソン氏は「車両に乗車していたテスト監督スタッフによると、事故相手の車両は車線をフラフラと走っていたり、運転中のドライバーが本を読んでいたりしたそうです。中には、トランペットの練習をしていたドライバーもいました」とのこと。
このように、Googleでは事故の原因があくまで他の「人間ドライバー」にあったことを示唆し、コンピューター車両に高い安全性が備わっていることを示しています。特に、先述した自転車との事故未遂は夜間に発生しており、人間の目では発見することが難しい状況でもコンピューターによる「目」が、周囲の状況を確実に捉えていたと述べています。
Googleのセルフドライビングカーが走る様子は、以下のムービーなどで見ることができます。
Ready for the Road - YouTube
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