乗り物

世界で初めて3Dプリンターで作られた電気自動車「Strati」


材料を積み重ねて立体物を作り上げる3Dプリンターの進化が続いており、今や金属などさまざまな素材を思い通りの形状に作り上げることが可能になっています。そんな中でついに登場した3Dプリンターで「印刷」された電気自動車「Strati」は、将来の自動車作りのあり方を予感させるものとなっています。

A World of Vehicle Innovations
https://localmotors.com/

Local Motors just 3D-printed a car live at an auto show | The Verge
http://www.theverge.com/2015/1/12/7532845/local-motors-just-3d-printed-a-car-live-at-an-auto-show

以下のムービーでは実際に「Starti」が製造され、走行している様子を見ることができます。

Riding in a 3D-printed car - NAIAS 2015 - YouTube


これが3Dプリンターで「印刷」された自動車の「Starati」。まるでレーシングカーのようなデザインです。


その最大の特徴は、車体そのものがほぼ全て3Dプリンターで作成されていること。黒いプラスチックがノズルから吐出され、薄い層が積み重なって立体物が形づくられていきます。


巨大な印刷装置で作られる車体ですが……


実はその装置はCESの会場に収まるほどコンパクトなもの。ほぼ全ての作成が1台の機械の中で進められるため、必ずしも従来のような長い製造ラインは必要とされないことがメリットといえます。


タイヤが収まるフェンダー部分には、印刷による積層の跡がそのまま残されています。


二人乗りのスポーツカーのような車体ですが、さまざまなタイプの車両を印刷することが可能なはず。


この車体を製造したのはアメリカ・アリゾナ州に拠点を持つLocal Motors。同社では世界各国からアイデアを出し合って車両を作り上げるMicrofactoryと呼ばれる小規模な工場を運営し、オフロード車のRally Fighterやカスタムバイク風のRacerといった車両を生みだしてきました。


そんなLocal Motorsが新たに作成した車両が、フル3Dプリントで作成された「Strati」です。実はStratiが公開されたのは2014年9月にアメリカで開催されたIMTS 2014(シカゴ国際工作機械見本市)の会場だったのですが、実際に会場内で車体を最初から作り始めて6日間にわたる会期中に完成するという華々しいデビューを飾ったことでも知られています。


その時の様子は、以下の記事で詳細に紹介されています。

ローカルモータースIMTS会期中に3DプリントCarを完成させる! | 3DP id.arts
http://idarts.co.jp/3dp/imts-local-motors/

そんなStratiですが、もちろん実際に走行することも可能。


会場内に設けられたコースを走行するStrati。モーターやバッテリーなどの駆動・電源系はルノー製の二人乗りEV「Twizy」のコンポーネントが流用されているとのこと。これは横浜でレンタルできる「チョイモビ」や奈良県明日香村で観光に使える「MICHIMO」などとも共通の車体です。


現在は1台のStratiを作り上げるのに要する時間は44時間とのことですが、Local Motorsではこれを24時間以内に短縮することを当面の目標に掲げています。実際に印刷された車両が公道を走り回るにはまだしばらくの時間が必要だと思われますが、3Dプリンターが可能にする次世代の生産技術を垣間見る一例と言うことができそうです。


3Dプリンターのように素材を積層して立体物を作り上げる技術「アディティブ・マニュファクチャリング」には新しい生産方式として注目が集まっており、国内ではDMG森精機ヤマザキマサックのような工作機械メーカーが参入しています。以下のムービーでは、「スプレー式」と呼ばれる方法でレーザーと粉末の金属素材を噴射して金属製のパーツが作られている様子を見ることができます。

アディティブ・マニュファクチャリング  LASERTEC 65 - YouTube


「スプレー式」と並ぶアディティブマニュファクチャリングの手法が、敷き詰めた金属粉にレーザーなどを照射して成形する「パウダー式」と呼ばれるもの。以下のムービーは、航空機メーカー「エアバス」で飛行機用の金属部品が3Dプリンターによって製造されている様子を収めたものです。

Airbus 3D Printing technology transformation underway - YouTube


従来は大きな金型や機械を必要とした製造の方式を大きく変える「アディティブマニュファクチャリング」は、今後のものづくりを語る上で覚えておく価値のある手法といえそうです。

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in ハードウェア,   乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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