メモ

「Buffer」が売上の内訳を分解して利益額などを解説、驚愕の情報公開とは


SNSの利用やマーケティングにも便利なサービスを提供している「Buffer」は情報の透明化に力を注いでいることが知られています。そんなBufferはなんと自社の売上額やコスト体系、そして利益率などを詳細に分解してブログで公開し、企業の営業活動で最も繊細ともいえる部分をさらけ出しています。

Transparent Pricing: What Your Money Goes Toward With Buffer
https://open.bufferapp.com/transparent-pricing-buffer/

◆Bufferと、そのビジネスモデルとは?
Bufferはアメリカ・サンフランシスコに拠点を構える企業で、FacebookやTwitter、Google+、LinkedIn、App.netなどのSNSに対して日時を指定して一括投稿を行うことを可能にするウェブサービス「Buffer」を提供しています。各SNSアカウントを持つユーザーがBufferにアカウントを作成し、Bufferと各SNSを連携させることで投稿を行う仕組みになっています。

実際の使用イメージは以下のとおり。FacebookとTwitterに対して同じ内容のエントリを作成し、日時を設定して投稿を予約している様子が示されています。


さらに、Buffer経由で投稿した内容のRT数や「お気に入り」の数、クリック数などを解析できる「Analytics」機能が提供されており、SNSを活用したマーケティングに活用できるサービスとなっています。

Bufferの基本的な機能は全て無料で利用することができますが、投稿の予約枠が多く、連携させるアカウント数が増加する有料プラン「Awesomeプラン:月額10ドル(約1200円)」と「Businessプラン:月額50ドルから(約6000円~)」も用意されており、この利用料がBufferの売上の源泉となっている、というわけです。

◆情報のオープン化を進めるBuffer
ネット時代ならではの新しいサービスを展開するBufferですが、その思想も先進的といえます。Bufferでは以前から情報のオープン化に積極的に取り組む姿勢を見せており、2013年12月にはCEOを含む全スタッフの給与額をブログで公開しています。

Open Salaries at Buffer: Our Transparent Formula and All Our Salaries


さらにBufferでは、年間収益の詳細や、スタッフ毎の持ち株比率をブログで公開するなど、従来の常識ではあまり考えられなかった情報も公開するという攻めた姿勢を鮮明にしています。これに似た例では、日本のユニクロ(ファーストリテイリング)が年収早見表を公開したというケースを耳にしたことがある人も多いはず。

そんなBufferが参考にしたのが、アパレル通販サイトのEverlaneが行っている取り組み。以下の画像はEverlaneの商品ページをキャプチャしたものですが、その中では非常に特徴的な情報が記載されています。

The Slim Fit Oxford - Smoke (Best Seller) – Everlane


ページ下部には、各商品の材料費や製造費用、輸送費などの諸費用をもとにした商品原価を記載し、さらに企業が得る利益がわかるような形で価格が表示されています。従来の常識では考えられなかった情報を提供し、非常に透明性の高い価格設定を行っているのがEverlaneの大きな特徴となっています。


Bufferでは、そんなEverlaneの取り組みに影響を受けて同社のサービスについても情報公開を行うことになりました。月額10ドル(約1200円)の「Awesomeプラン」を費用別に分類して作成したインフォグラフィックが作成されています。

以下の画像がそのグラフィックなのですが、サービス代金10ドル(約1200円)のうち従業員の給与が6.56ドル(約770円)、文化活動費が0.92ドル(約110円)、各種ツールの利用料が0.98ドル(約120円)など、まるで手の内を明かすような情報が表示されており、ライバル企業はもちろんのこと一般ユーザーにとっても非常に興味深い内容となっています。


さらに、実際の金額を入れて作成された表がこちら。最下部の「Total」で表示されているひと月あたりの売上高34万1202ドル56セント(約3997万円)に対する費用と利益の実体が明らかにされています。


ブログでは、さらに各項目ごとの詳細まで記載されています。

◆人件費:10ドルのうち6.56ドル(全体の6.56%)
最も比率が高いコストである人件費を、各スタッフごとに並べたグラフがこちら。Bufferの共同設立者でCEOでもあるジョー・ガスコイン氏はおよそ1万5000ドル(約175万円)という給与を得ているほか、最も額が少ないスタッフでもおよそ6000ドル(約72万円)という優れた給与体系となっている様子です。人件費の平均月額はおよそ23万4000ドル(約2740万円)となっています。


スタッフの分野別の給与額の配分を示したグラフがコレ。Product(商品)に関するスタッフの給与額が突出しているのはウェブサービス企業らしい特徴だと言えそうです。


◆サーバ・ホスティング費用:0.67ドル(全体の6.7%)
Bufferのサービスは、Amazonが提供するアマゾン ウェブ サービス(AWS)によってホスティングされています。その中でも特に活用しているのが以下のサービスとのこと。

・Elastic Beanstalk
・EC2
・SQS
・Redshift
・Elastic Map Reduce
・Route53
・S3

また、データベースの運用にはCompose.ioのサービスを利用しているとのこと。両者に支払っている月額費用の平均額はおよそ2万2890ドル(約270万円)で、それぞれに支払っている額は以下の通りとなっています。

・AWS:1万740ドル(約125万円)
・Compose.io:1万3486ドル(約158万円)

◆福利厚生/文化活動:0.56ドル(全体の5.6%)
Bufferでは5か月に一度という頻度で研修を兼ねたイベントを開催しており、その際にかかる費用は全てBufferが負担しているとのこと。下記の例では、ニューヨークでイベントを開催した際の費用の一例が記載されているのですが、総額で11万3500ドル(約1330万円)という費用をBufferが負担した様子がわかります。


この他のイベント費用を合計して月額になおした金額はおよそ1万5775ドル(約185万円)となり、福利厚生・文化活動費用のうち88.5%を占めているそうです。この他にもこの項目には全スタッフに支給されるAmazon Kindleと、電子書籍の購入代金として月平均で400ドル(約4万8000円)、各スタッフに支給されるライフログリストバンドのJAWBONEの購入費用などが含まれ、一月あたりの総額はおよそ1万9182ドル(約225万円)となっています。

◆運営費(法務・会計):0.36ドル(全体の3.6%)
企業運営のための費用は月あたりおよそ1万2519ドル(約145万円)となっています。

・会計・給与支払い・費用・金融関連
コンサルティング企業のForesightに委託しており、平均して一月あたり3428ドル(約40万円)の費用を支払っています。これについてBufferは「とても満足している。フルタイム従業員2~3名分の仕事をこなしてもらっている」と満足げな様子

・法務関連
Wilson Sonsiniに委託し、月額2455ドル(約28万円)を支払い。

・健康保健・労災補償関連
全スタッフに対して健康保健への加入を行い、全額をBufferが負担。その費用は月額になおして6635ドル(約78万円)となっています。

◆料金徴収代行費用:0.41ドル(全体の4.1%)
ユーザーからの決済にウェブ決済システムのStripeを導入しており、その手数料として1万3885ドル(約163万円)を支払っています。
通常のStripeの手数料は決済額の2.9%+30セントというものですが、Bufferに対しては特別ディスカウントが適用されて2.2%+30セントという特別レートが設定されているそうです。Stripeのサービスは以下の記事で詳細を見ることができます。

簡単ステップでウェブサイトに決済システムを導入でき、収益が最大化するよう手助けしてくれる「Stripe」 - GIGAZINE


◆オフィス費用:0.36ドル(全体の3.6%)
オフィス関連の費用としてBufferは月あたりおよそ1万2166ドル(約140万円)を支出。Bufferでは各スタッフの勤務態勢に分散型ワークスタイルを導入しており、単純な「オフィス費用」でひとまとめにはしきれない状況があるそうです。

・サンフランシスコオフィス
Bufferの本部となるサンフランシスコオフィスは、旧倉庫街で現在では最先端のオフィス街に姿を変えているSoMaエリアに位置しており、およそ7175ドル(約84万円)の家賃を支払っています。サンフランシスコに住むスタッフはわずか6名で、しかもオフィスでで勤務するスタッフは2~3名程度とのことです。

・コンピューターおよび関連機器
Bufferでは全スタッフにノートPCを支給し、キーボードなどの周辺機器やテスト用の携帯端末なども費用を負担しているとのこと。月額およそ2578ドル(約30万円)。

・オフィスサプライ・Bufferサポーター関連費用
オフィスの消耗品をはじめ、Bufferが開催したTwitterチャットイベントに参加したBufferサポーターに対して送られた手書きの「サンキューカード」の作成費用などでおよそ1120ドル(約13万円)。ユーザーからは喜びの声が寄せられているので、正しい費用の使い方といえそう。


・インターネット費用
自宅をオフィスとして使っているスタッフに対しては、ネット接続費用をBufferが負担。月額およそ1293ドル(約15万円)の支出。これらの費用がBufferが負担するオフィス運営にかかるコストとなっています。

◆広告・マーケティング費用:0.18ドル(全体の1.8%)
Bufferではあまり広告やマーケティングに費用をかけていないようで、その規模は月額になおしておよそ6300ドル(約74万円)。2014年初頭にはGoogle AdsやFacebook、Twitterなどで広告キャンペーンを実施したこともあったそうですが、狙ったほどの効果が得られなかったために現在は縮小しているとのことでした。

◆各種ツール類:0.42ドル(全体の4.2%)
Bufferではサービス向上とユーザーエクスペリエンスの向上のために数々のツールやサブスクリプション型サービスを利用しているとのことで、2014年10月の時点では33種類のツールに対して利用料を支払っています。

ツール類にかける費用の比率はこんな感じ。やはりというべきか、水色部分の技術関連(Tech)に最も多くの費用が向けられている様子がわかります。


これらツール類にかける費用は月あたり5200ドル(約61万円)。ブログのエントリ内では、以下のNew RelicMortarを筆頭にさまざまなサービスの名前が列記されているので、興味のある人はページをチェックすると参考になるかもしれません。


◆Bufferの利益:0.46ドル(全体の4.6%)
そして、おそらく最も関心の集まるであろう利益率は4.6%で、一月あたりの平均利益額は1万5667ドル(約188万円)となっています。これは「Awesomeプラン」の利用料10ドル(約1200円)のうちわずか46セント(約54円)だけという数字になります。予想外に低いと感じられる利益率ですが、Bufferではユーザーに対して適正な価格でサービスを提供し、双方にとってサステナブルな(持続可能な)サービスを提供すること、そして株主・投資家に対しても適正な利益を供与することを目的にしているための結果であるとしています。


非常に透明性の高い体制を構築するBufferですが、このような取り組みがビジネスとしての成功につながるのか、興味深いケースになると言えそうです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Twitter/Facebook/LinkedInから予約投稿ができるネットサービス「Buffer」 - GIGAZINE

優秀なCEOが生産性を高めて100%以上の成果を出すのに実践している8つのこと - GIGAZINE

CEOが巨額の報酬を得ている企業ほど実際の業績は悪化しているという現状が明らかに - GIGAZINE

問題を起こすクライアントを回避して収益を上げる3つのルール - GIGAZINE

Twitterが真の「透明性レポート」の公開を求めてアメリカ政府を提訴 - GIGAZINE

3日間で1000万台売り上げたiPhone 6/6 Plusの製造原価は2万円台 - GIGAZINE

in メモ, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.