レビュー

「1冊から」「数百円で」本が出版できる「OneBooks」を使ってみました

by Chiara Cremaschi

基本料金1冊200円でカバー・オビ付きの本が作れて、カラーでもモノクロでも同一料金、本当に1冊から本の出版を依頼できるサービスが「OneBooks」です。本を作る時に、1回の注文でたくさん本を刷る必要があるため在庫が出てしまうというリスクは大きいものですが、OneBooksならその心配もなさそうなので、実際にサービスを利用してみました。

OneBooks | 株式会社RED TRAIN
http://www.red-train.co.jp/onebook



ワンブックスの特徴は大きく分けて5つ。まず、本当に「1冊から」本が作れること。


カラー・モノクロいずれの印刷でも同じ金額で本がつくれ、かつ1冊でも100冊でも金額は変わらないこと。


本文用紙は全部で17種類、厚みの種類も含めると全部で36種類から選ぶことが可能。どの用紙を選んでも金額は一緒で、オビやカバーが基本料金に含まれているものもあります。


受け取り方は代金引換と来社引取の2種類。


また、本文用紙を途中で切り替えたり、さらに特殊紙を使ったりも、個別にスタッフが対応してくれるとのこと。


細かな注意事項は以下のような感じ。予約は最大30日前から可能で、最低3日前までに行うことが必要。入稿データ形式はPSDもしくはPDFで、ZIPファイルにして既存の転送サービスなどを利用してデータを送る必要があります。カラーは350DPI以上、モノクロは600DPIが推奨されており、入稿日から4~6営業日で完成した本が届けられます。


料金体系はこんな感じ。基本料金+本文料金+追加オプションが「一部単価」となり、一部単価に部数をかけることで製造料金が算出されます。


A6の文庫サイズなら表紙+カバー+オビ+無線トジ製本のセットが基本料金200円で、そこに4ページ10円の本文料金がプラスされ、さらに追加オプションとして遊び紙や見返しなどを作ることができます。例えば本文24ページの文庫本の場合は基本料金200円+本文料金60円の1冊260円でカバー&オビ付きの文庫本が作れるというわけです。これがA5・B6サイズになると表紙+カバー+無線トジ製本が基本料金200円で4ページごとに本文料金が15円、さらにA4・B5サイズになると表紙+無線トジ製本で基本料金200円になってきます。


だいたいどのくらいのページでどのくらいの金額になるのか、という料金表は以下のような感じで、本文112ページの文庫本なら480円、A5/B6本なら620円、A4/B5本なら900円。また料金内で選べる本文・オビ・カバーの用紙の種類には上質紙(プリンス)・コート(オーロラ)・マットコート(ユーライト)・b7トラネクスト・淡クリームキンマリなどがあり、プラス100円でペルーラ ホワイトやミランダ スノーホワイト、OKミューズキララ ホワイトなども選べます


料金内で選べる表紙用紙はアートポスト・マットポスト・上質白(しらおい)・紀州の色上質 黒をのぞく全色があります。なお、注文1件につき送料1000円+代引手数料が必要で、ワンブックスへ引き取りに行く場合は送料と代引手数料が不要になります。


オプション加工には「変形サイズ・断裁加工」「角丸加工」「天とじ」「観音開き」「見返し印刷」「巻頭口絵」「用紙変更」などが行えます。


原稿サイズはウェブサイト上に記載してありますが、テンプレートなどは特に用意されていないので、製本や出版になれていない人は既存のテンプレートなどをインターネット上で検索してダウンロード&使用する必要があります。


ということで、実際に本を作ってみるためまずは予約フォームから予約を行います。入稿希望日・メールアドレス・名前・住所・電話番号・出版する本の部数やページ数、用紙の種類などを選択して送信確認にチェックを入れたら「確認画面へ」をクリック。


内容を確認して間違いがなければ「上記内容を送信」をクリック。送信したら入力したメールアドレス宛にメールがやってくるので、ここから後はメールでやり取りしていきます。


これで予約はOK。次は入稿原稿を作成します。今回はPDF形式で入稿していくため、GIGAZINEでもトップ画像などを描いてもらっているmeraさんにお願いしてFirefoxちゃんのイラスト集「Foxy!」のデータをPDFファイルにしてもらいました。


データファイルはフォルダの中に「表紙.pdf」「本文1-24.pdf」のような感じで入れて……


ZIP形式に圧縮します。


これをファイル転送サービスのGigaFile便などにアップロードしてURLをOneBooks宛に送ればOK。


ということで約6日後、こんな感じの本が届きました。今回作ったのはA4・A5・文庫サイズの3冊。


左がオンデマンドでは特に印刷がキレイだと言われるグラフィック社のサービスを使って2014年8月に印刷されたFoxy!で、右が今回作ったもの。印刷の色の出方などは違うのか?ということで、グラフィック版Foxy!(左)をOneBooks版A5サイズFoxy!(右)と比べてみました。グラフィック版は髪色のグラデーションの滑らかさが見て取れますが、OneBooks版Foxy!はやや赤がオレンジがかっており、コントラストが強くなってしまっている印象です。


ということで、まずはA4サイズの冊子を見ていきます。


全28ページで、横から見るとこのくらい。


特殊紙も選ぶことが可能だったので、表紙には現在プラス100円で選択できるミランダ スノーホワイト130kgを選んでみました。キラキラしていて冬っぽい雰囲気。


A4版の中を見てみます。


見開きで宇宙の中にFirefoxちゃんがいる鮮やかなイラスト。単体として見ると色味はキレイに出ていますが、オンデマンド印刷はオフセット印刷に比べてテカると言われており、その例に漏れずにOneBooks版もツルツルテカテカ感があります。


左が新しく印刷したOneBooks版A4サイズのFoxy!で、右がグラフィック版Foxy!。この距離からだとほとんど色の違いなどは分かりませんが……


近寄ってみるとOneBooks版(左)の色合いがグラフィック版(右)に比べてくすんでいる印象。


文字はこんな感じ。


絵に近寄った時、OneBooks版とグラフィック版の粒子感はそこまで変わりませんでしたが、グラフィック版の方が線の明確さや色の鮮やかさはやや上で、選べる紙の種類によるのかもしれませんが、meraさん本人に確認してもらったところOneBooks版は印刷部のテカリ具合が「少し気になる」とのこと。


次はA5サイズのOneBooks版Foxy!。


A5版は基本料金200円で、カバーがついてきます。


横から見るとこんな感じ。


下に敷いたのがグラフィック版Foxy!で、上に載せているのがOneBooks版Foxy!。見開き右ページを比較すると、やはりグラフィック版のほうが色が鮮かに出ています。


中はこんな感じ。宇宙に行ったり海に行ったりFirefoxちゃんのカラフルなイラストが並びます。比較すると色の違いに気づきますが、単体として手に取ると特に違和感は感じません。


さらにこれがA6サイズの文庫版。小説を出版した場合はどうなるのか?ということを見たかったので、今回は太宰治の美少女に表紙をつけてみました。


文庫版は基本料金200円の中にカバーだけでなく、オビもつけることができます。


横から見るとこんな感じ。冊子の本文は淡クリームキンマリ24ページとなっています。


ペラッとページをめくって中を見てみます。


文字はこんな感じ。


カラー・モノクロが同一料金なので、途中に挿絵や写真を挿入することも可能です。


文章の色を途中で変えてもOK。


実際にサービスを使ってみたところ、ウェブサイトに入稿原稿のテンプレートや「フォントはPDFファイルに埋め込む」などの慣れている人であれば当たり前であろう細かなルールが記載されていないので、初心者が1から本を作るには事前のリサーチ作業が必要です。また「色にこだわったフルカラー印刷の冊子」の場合は事前に想定していた色の見え方と実際の色とが異なることがありますが、モノクロとカラーを交互に使うことができたりと、いろいろカスタムが可能で「数冊だけ本を作りたい」と思っている人にとってはかなり使い勝手がよいサービスとなっていました。

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in レビュー, Posted by darkhorse_log

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