エボラ出血熱の感染患者をアメリカ国内で初確認、現在は隔離環境下に
By Phil Moyer
西アフリカ地域で猛威をふるい、感染患者29名が逃走する事件が起こるなど依然として収まる気配を見せないエボラ出血熱の大流行ですが、アメリカ国内でアフリカ以外で初となる感染患者の存在が確認されました。
Ebola case in Dallas confirmed by CDC, first diagnosis in U.S. | Dallas Morning News
http://www.dallasnews.com/news/metro/20140929-dallas-ebola-case-confirmed-by-cdc-first-diagnosis-in-u.s..ece
CDC confirms first Ebola case diagnosed in US
http://www.cnbc.com/id/102037055
感染が確認されたのは、感染拡大地域の一つである西アフリカのリベリアを訪れていたテキサス州の成人男性で、プライバシーの観点から氏名や年齢、詳しい病状は明らかにされていません。男性は帰国後にエボラ出血熱の症状を見せ始め、検査を受けた結果、感染が確認されたとのこと。現在はテキサス州ダラスの病院で厳重に隔離されている状態。これまでにも感染が拡大している地域で医療に従事していたスタッフが感染したケースは確認されていましたが、今回はそれ以外の人への感染が確認された初めてのケースとなっています。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のディレクターであるトーマス・フリードセン氏は「アフリカ以外で感染が確認された初めてのケースである」とプレス向けのカンファレンスの場においてコメントしています。これまではリベリア、シエラレオネ、ギニアの3国に感染が拡大されていることが確認されており、6500名以上が感染して3000名以上の死亡が確認されています。
By European Commission DG ECHO
今後の拡大の可能性についてフリードセン氏は「我々は間違いなくエボラのアメリカ上陸をコントロールしているので、アメリカ国内に広がることはありません」と語っています。
医師によると、男性はアメリカに住む家族のもとを訪れるため9月20日に旅客機で訪米。フライトの4日後になって感染の兆候が現れ始め、その2日後の9月26日には受診のために病院を訪れました。そしてさらに2日後の28日に感染が確認され、それ以降は隔離された環境に置かれているとのこと。最初の受診後すぐに隔離されなかった理由については「エボラの症状は、他の病気と非常に似通っているため」とフリードセン氏は説明しています。なお、同じ旅客機に搭乗していた乗客には感染のリスクはないとのことですが、9月20日以降に感染者と接触した可能性がある人物については当局による追跡調査が行われることになっています。
アメリカではこれまでに2名の医療従事者が現地でエボラ出血熱に感染し、帰国して治療を受けています。また、同様のケースとしては2007年に発生してエボラ出血熱に類似した病気「マールブルグ熱」による患者を治療した実績があるとのこと。この病気は空気感染をせず、症状が現れた患者の体液に直接触れることによってのみ感染します。エボラ出血熱への感染を防ぐためには、定期的な手洗いを行うこと、そして患者に接触する際には手袋を装着してカーテンなどの障壁越しに行って患者の体液に直接触れない環境を整備することが有効とされています。
By European Commission DG ECHO
日本の厚生労働省はエボラ出血熱に対する措置を以下のページで公表しており、日本国内での流行の可能性を「ほとんどありません」としていますが、アメリカでも拡大が確認されていることもあるので常に情報を入手するようにしておいたほうがよさそうです。
エボラ出血熱に関するQ&A|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola_qa.html
エボラ出血熱は、インフルエンザなどとは異なり、主として患者に直接接触することにより感染すること、流行地域はアフリカに限定されていることから、通常の日本人旅行者が現地で感染するリスクは非常に低いと考えられます。また、日本国内の医療体制や生活環境から考え合わせると、日本国内でエボラ出血熱が流行する可能性は、現時点ではほとんどありません。
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